ただひたすらに、彼女のことを思うマルコをみていて、任期を終えたら10年前に戻っているのかなと思った。 むしろ、そう願った。 だって、細胞から入れ替わるかのように転移させられて、モスリにたどり着いたから、また元の世界に戻してくれるんじゃないかと思った。 それは閉じた星に住む生き物だからこその願いだと途中で気付かされた。 開かれた星では時が進んでいて、運が良ければ知り合いにだって任期中に再び会える。(最初は失踪するように消えるのは同じだけど) そして、10年間帰れないというどうにもならない事実がメインに描かれたのは最初だけ。上の人が決めたことは、どうにもならない。 描かれなくなった分、星をつくる仕事と合わせて様々な異星人の暮らしと歴史が描かれる。 『ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~』のモンスターたちのように設定はとても細かい。 設定だけで読切が作れそうなほど細かい。 次にくるマンガ賞にノミネートされるだけあって、深くて異星人とのやりとりがおもしろい。 所長の10年目はだれがそばにいるんだろう。
仕事や生活に疲れきった人間が理想郷に飛ばされてしまうお話はよくある。謎の生きものに優しくされたり、子どもの頃の思い出を巡ったり、そういうお話はわりと見たことがある。 それに近いお話ではあるけれど、ちゃんと理由があるからよかった。疲れた人間が見た妄想じゃなくて、事実として優しい空間が存在する。すてきなことだ。 みんな悩んだり迷ったり寂しくなったりするんだよ、夢を叶えたひとも懐かしいあの場所もみんな一緒だよ。わかってはいるけど忘れてしまいがちなメッセージがすっと受け入れられる。 妄想だったり幻だったりしない、優しい優しい世界。理由があるって優しい。
遠〜くの話。 宇宙人の話で不思議な生き物たくさん出てくるのに身近に感じます。 星を作るために10年働く運命になった主人公。脱出しようとするのがなかなか良いですね…自分だったら諦めて状況受け入れてしまうかもしれない。 出てくるキャラも景色も奇妙なんだけど綺麗な世界を想起させますね…綺麗な話だな〜
星を作り、星を壊し、宇宙を廻す「果ての管理者」に選出された青年の物語。ハードすぎず、かといってソフトすぎもしないSFです。 突然、拉致されてしまった主人公が果たして地球に無事に帰れるのかどうかというのも気になる所なのですが…… 何より子どもの頃に空想したような、まったく知らない星のまったく知らない生態を持った生命体や技術、異文化が次々と登場して好奇心を擽られました。単行本描き下ろしの本編では語られなかった詳細設定がまた、図鑑を読んでいる時のような楽しさがあります。 まだ見ぬ世界に憧れを持つ方、変な生き物が好きな方、ぜひこの不思議な宇宙に誘われてみて下さい。
ただひたすらに、彼女のことを思うマルコをみていて、任期を終えたら10年前に戻っているのかなと思った。 むしろ、そう願った。 だって、細胞から入れ替わるかのように転移させられて、モスリにたどり着いたから、また元の世界に戻してくれるんじゃないかと思った。 それは閉じた星に住む生き物だからこその願いだと途中で気付かされた。 開かれた星では時が進んでいて、運が良ければ知り合いにだって任期中に再び会える。(最初は失踪するように消えるのは同じだけど) そして、10年間帰れないというどうにもならない事実がメインに描かれたのは最初だけ。上の人が決めたことは、どうにもならない。 描かれなくなった分、星をつくる仕事と合わせて様々な異星人の暮らしと歴史が描かれる。 『ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~』のモンスターたちのように設定はとても細かい。 設定だけで読切が作れそうなほど細かい。 次にくるマンガ賞にノミネートされるだけあって、深くて異星人とのやりとりがおもしろい。 所長の10年目はだれがそばにいるんだろう。