ネタバレ

「自分をさらけだしたほうがいい」

という編集者のアドバイスをうけて

自分をさらけだす

31年間彼女がいなかった自分が、恋愛をして彼女をつくるまでを漫画にする

と宣言してはじまる本作。

え?さらけだすってそういうことなの?というツッコミはいったん横においておいて、エッセイのような著者の体験談がベースとなっているのが特徴です。

彼女をつくるために、合コンなり街コンなりオフ会なりに出向いて、
そこで出会った女性とデートしていく。

この字面だけ追うと、非リアな自分なんかは

「デートに誘って、デートできるだけで十分だろぉぉおお!」

と血涙して憤死しそうになりますが、どっこい、著者自身も自称しているように陰キャなコミュ障なので、1回のデートはうまくいくのですが、なかなか続かない。ましてや彼女にまで到達することは困難な状況。
それに悩み、悪戦苦闘する感じは、共感を超えて疑似体験している気分になります。リアリティがハンパない。

相手の趣味に自分が興味ないと会話を広げられなくなるの、あるある~
咄嗟に気の利いたこと言えなくなる感じ、わかるわぁ~

まるで、これ自分ですか?と。
自分をみているようで、なんか痛々しくなりました。

それでも、自分と決定的に違うのは「メンドクセ」と断絶せずに、
積極的に色んなことにチャレンジする著者は、本当にすごいなと思いました。
バイタリティもですが、メンタルも。

彼女ができるまで・・・と一見ポップな感じですが、実際、恋愛を通した人間関係も描いていて、そこもまた面白かったです。
著者が色んな人と出会い、時に傷ついて、少しずつ考え方や価値観が変わっていくのも一緒に成長させてもらっている感じがします。

自分のような非リアかつ陰キャには、著者の行動力はとても眩しく、また勇気をもらえました。やればできるのか、と。
3巻で終了がもったいなく、もっと続いて欲しかったな~。

読みたい
嵐のJボーイ ぶっとび闘人(ファイト)
小学生のときに食い入るように読んだ
嵐のJボーイ ぶっとび闘人(ファイト)
六文銭
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小学生の時にサッカー好きの友人がいて、彼に紹介されて読みハマったことをふいに思い出し、懐かしさでイッキ読み。 子どもの頃は、ボンボン派で、最近読み返すまで、ずっとボンボンで連載していたと思っていただけに探すのに手間どった(「ボンボン サッカー漫画」でずっと検索してた) 結果、コロコロコミックだったし、また、作者が『学級王ヤマザキ』とか『コロッケ!』の樫本学ヴ先生だとは全然知らなかった。 これも、大人になって読み返す醍醐味だなと痛感。 内容は、サッカー少年の主人公・闘人(ファイト)が、架空のJJリーグ(ジュニアJリーグ。要は小学生版のJリーグみたいなもの)を舞台に、仲間有りライバルありの王道スポーツ漫画。 「消えるシュート」など少年漫画には必須の必殺技もしっかりおさえてあります。 コロコロコミックの少年漫画なので、とんでも設定など色々ご愛嬌ではあるが、それでも小さい頃ハマった記憶と相まって、やっぱり面白い。 闘人の「少年漫画の主人公然とした姿」(負けず嫌いで、誰よりも努力する姿など)も、心焚きつけられます。 また当時、Jリーグ発足したばかりで、その熱をリアルタイムで感じていた自分としては、JJリーグという設定には心が踊ったもんです。 こういうのが電子書籍でまた読めるのも良い時代だなと思います。
iメンター すべては遺伝子に支配された
遺伝子とAIに支配された世界
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六文銭
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グリーンボックス【合冊版】
一国か自分の命かを選ぶ設定が秀逸
グリーンボックス【合冊版】
六文銭
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気がつくと謎の部屋「グリーンボックス」に閉じ込められた主人公。 その部屋には 「欲しいものを思い浮かべながら滅ぼしたい国を選べ 当たりなら開放」 の文字と世界地図。 最初はテレビの企画か何かと疑い何もせずにいるが、徐々に我慢の限界になり試しに1つの国のボタンを押し自分のスマホと交換。 スマホからニュースを確認すると、それが現実であることを知る。 自身の命(というか食欲などの欲)と一国を天秤にかけるという設定が秀逸で、その後タカが外れたように国を滅ぼすことに抵抗がなくなっていく主人公の心理が面白い。 ボタン1つで国が滅びるというのが実感がなく、また人ひとりではなく、国単位なのも想像しにくいからより葛藤がないのだろう。 また自身もこの部屋に閉じ込められたという被害者意識から自らの欲を優先していく様が、生々しい。 当然、各国もだまっていなくて対策を講じるも、根本的な解決にならない。 このボックスの正体も徐々に明らかになっていくが、ジリジリとしたストーリー展開ですごい先が気になるつくり。 とにかくヒキがうまい。 どうオチがつくのか最後まで見届けたい作品です。
武士沢レシーブ
謎に読み返したくなる
武士沢レシーブ
六文銭
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思春期に「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」をリアルタイムで読んでいた人はわかってくれると思うのだが、ギャグ漫画としてのマサルさんの衝撃はとにかく凄まじかった。 意味不明なのに爆笑できるという体験をさせてもらった作品で、シュールのような斜に構えたものでもなく、浦安鉄筋家族のようなわかりやすいギャグでもない。 でも面白い!という今でも強烈に覚えているほど私には衝撃的だった。 そのうえで、次回作がコレ。 そして、『ピューと吹く!ジャガー』に続く。 つまり、マサルさんとジャガーの間が本作。 わかりやすく言うと打ち切りなのだが、これはこれで私にとっては衝撃的だった。 マサルさんの衝撃後、同著者の新連載ということで本作を読んだら、文字通り ??? となった。リアルタイムで読んでいた人は(以下略 雰囲気はマサルさんチックなのだが、ヒーローに憧れるとかバトル要素が強く、どことなくギャグのキレも弱い。 でも、大人になるとなぜか無償に読みたくなる。 マサルさんの著者なのになぜ?と友人とよく話していた思い出補正もある。 加えて、マサルさんからジャガーへ昇華される段階なのか?という捉え方ができたり、純粋に天才だと思った作家の人間味を感じる。 ギャグ漫画の鬼才だと思っていた人間も、迷走するんだなと。 (マサルさんの後半も結構失速感はあった) 大好きな作家の、そんな一部が垣間見えるということで、謎に読み返したくなる作品です。 作家ファンの人にとっては貴重な体験になるのではないでしょうか。 最後に、ギャグのキレが弱いと言いましたが。「イヌーピー」(要はアレ)というキャラだけは、腹かかえて笑いました。

僕に彼女が出来るまで

ぼくにかのじょができるまで
ジャンル:エッセイ
最新刊:
2018/03/19
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