外国人視点の開国後日本
ふしぎの国のバード 佐々大河
原作となるイザベラ・バードの本は読んだことがある。
でもこれほど情景豊かに想像はできなかったし、イザベラ・バード視点のみなので、やはり周辺情報が客観的に描かれる漫画はやはり違う。
絵があると、それがすべて本当のように引っ張られてしまうのが弱点と何かで読んだ。
でも、自分だけの想像力では描ききれない、田舎の恐ろしいほどのノミやその他虫、そして不衛生さ。
それらが日常の様子として描かれ続けているので、漫画とはすごいものだなと思い知らされた。
そもそも、バード女史、よく行ったな。肉もないのに。
また、環境だけでなく、懐からボトルに入れた筆を取り出し記録をしたためる鶴吉の一連の仕草。
大人になったことを誇りに思う女の子の表情。
細やかな当時の人々の日常が、ドラマの何気ないワンシーンのように描かれていて、今は消え失せた文化を知らされる。
ちなみに、ヨーロッパより難儀な雑草が多い日本で、バード女史が農民が勤勉に働き雑草を刈るから「雑草がない」と表現したコマに、フフとなった。
有名な場面ですね。
キリスト教的な倫理観が根付いている現代の我々が、当時の日本へ気軽にトリップできる、すてきな漫画です。
須川佳先生いったい何者…!?メチャクチャ面白かったです!
現実世界の日本に似ているようでちょっと違う日本が舞台。夏はホタルではなく外来種のウィル・オー・ザ・ウィスプが飛び交い1991年にはカッパが絶滅したその世界では、多様な人間が暮らしている。
ノームが住む地域らしい大阪から娘に会いに境界都市にやってきた母親は、自動で“標準”人種に設定されてしまう地図アプリにも信号機にも適応できず……という第1話。
とにかく絵が可愛らしくて胸がギュンギュンする。すこしふしぎな世界もたまらない。
誰かに不自由を押し付けて我慢させるのが当たり前になってしまっている現実と、それをなんとかしたいと思っている人達の姿にジーンとしました。
これからこれが毎月読めるなんて嬉しすぎる…!
タイトルの意味が全く謎なので明らかになるのが楽しみです。