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nyae
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1年以上前
いろんな意味を含めて、すごい漫画でした。どんな意味を含んでるかというのを以下に記します。 読んでいる途中からなんとなく思ってましたけど、これはニジという動物をとおして生き物を飼育することの大変さや楽しさを伝えるような漫画なんかじゃなくて、なんというか、なんてカテゴリに入れたら良いのか全くわからない漫画ですね。ペットあるある的な描写も入れ込みながら、それ以上にニジイロテンゴクオウムの生態が明らかになればなるほどそれがあまりにも特殊すぎて、でも特殊なのにファンタジーってわけじゃないから、「ニジ、居そう」なんですよね………。その違和感(なのか?)が絶妙。 そして包み隠さずにいうと、「可愛い・愛おしい」と「キモい・こわい」が常に同居してる漫画です。キモいっていうのは作品に対していってるんじゃなくて、ニジイロテンゴクオウムに対してです。そこに作者の狙いがあるかどうかはわからないので置いておいて、まず、ペットって可愛いだけじゃないじゃないですか。だからニジの存在も可愛い面と同じくらい、ウッ、という面もちゃんと描かれてて、うんうん動物ってこうだよね〜〜ってなるんだけど、なるんだけど、ニジイロテンゴクオウムの場合は他の動物とは違って、人間同士の間で育まれる愛情とほぼ同様のものを飼い主に対して持っていて、しかもそれを生きる糧としていて、もしそれが失われると(例えば飼い主が結婚するとか)、自傷したりストレスで死ぬから、そんなん私がクロ(主人公)だったら発狂してるかもしれん…とか思っちゃいますね。そんな生き物と一緒に暮らせます…?無理〜! むしろニジイロテンゴクオウムを飼うことによって人間が負わなければならない負担や障害、犠牲などをリアルに伝わるように描いたんだったら納得できます。だとしたらほんとにすごい。 でももし、"ニジという天使のような可愛い子に出会ってクロを取り巻く世界が変わって幸せになりました!"みたいなメッセージしかないならズッコケちゃうね。 まあそこの正解を知りたいわけではないですしまったくの見当違いかもしれないし、それならそれでいいです。 「いい話だった…!」だけでも全然良かったんですけど、ちょっとそれで済ますのは自分の中では「嘘」だなと思ったのでこうなりました。
いろんな意味を含めて、すごい漫画でした。どんな意味を含んでるかというのを以下に記します。

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どくだみの花咲くころ
言葉が無粋になる少年たちの情緒と創作 #1巻応援
どくだみの花咲くころ
兎来栄寿
兎来栄寿
筆者の城戸志保さんは2020年に安野モヨコさんの「ANNORMAL展」を見て触発されて描いたのがこの作品だそうですが、2022年の10月に四季賞でその安野さんより「絵柄やセリフ・エピソードの選び方に独創的なセンスを感じる」「無造作な美しさが個性であり武器」と講評を受け、そして大賞を受賞。そして連載化して、今日単行本1巻が発売と創作が人の心に及ぼす素敵な連鎖を感じさせてくれます。 安野さんが指摘する通り、この物語の人物の配置は少し特殊です。癇癪持ちで怖い噂もあり関わりにくい信楽くんという問題児の存在と対置される主人公の優等生・清水くんは、一般的にはマジョリティ的感性から信楽くんに戸惑う普通の人物として描かれることが多いでしょう。しかし、清水くんは勉強も運動もできるにも関わらず、お金持ちの家の息子としてやや感性が庶民からズレており、言動も信楽くんに負けず劣らず危うく突飛なところがある少年として描かれます。 そして、何より大事なのは清水くんだけが信楽くんの創り出すものに心酔し、信楽くんに神聖性を見出すところです。他の誰も知らない、世界で自分だけが知っているダイヤモンドの原石のように。狂信的になる清水くんの気持ちも、とても解ります。 清水くんは冒頭で ″俺は自覚なく信楽くんを傷つけるだろうし そうなったら信楽くんがどうなるのかわからない それはいやだ″ と客観的な視点からの自覚を持っているのですが、その気持ちの大きさ故にとてつもなく不器用になって暴走してしまうところも痛々しいほどに解ります。子供のころなんて自分の感情を上手く表現できなくて当たり前ですし、それ故に失敗することも多々ありますが、ままならない情動に苦しむ信楽くんも含めてそんな淡く苦い記憶を呼び覚まされるようです。 人間が誰か特定の個人と結びつくのはそれだけでも貴重ですが、それが双方向的に圧倒的に強く結びつく瞬間というのは、奇跡と呼んでも差し支えないものです。そんな言葉では表せない奇跡の眩いばかりの尊さが、この物語では描かれていて惹かれます。 湿った日陰で育ち、生臭い魚のような臭いから魚腥草とも呼ばれ、海外でもfish herb・fish mint・fish wortなどとも呼ばれるどくだみ。その花言葉は、「白い追憶」「自己犠牲」「野生」。仄暗さと高潔さ、危うさを含む他者との関係性と激しさが同居するようなそれらは、この作品全体のイメージとしてどくだみは非常に合っているように感じます。 ジャリジャリのミロや、アスパラのエピソードなど、独特の感性から描き出されるひとつひとつの要素も印象的です。 果たして、彼らの関係性や未来はどのようになっていくのか。言葉では何とも言い表し切れない強い魅力が随所にあり、今目が離せない物語です。 余談1 信楽、清水、瀬戸、伊賀、砥部、美濃、九谷、小鹿田、壺屋など、登場人物の多くは焼物から名前が取られています。作っては微細なコンディションの差で失敗し、壊してまた作り直す焼物もまた本作において象徴的な存在と言えるのかもしれません。 余談2 2話の最初で、教室の後ろに掲示されている書が「一意専心」はともかく「鬼手仏心」は趣深いです。九谷さんの「魁」書道バッグも好きです。
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