「どくだみの花咲くころ」感想
どくだみの花咲くころ 城戸志保
まさにタイトルどおり、強烈な匂いを放つ作品だった。(誉めてます)
癇癪持ちで謎の行動も多く周囲から浮いた存在の問題児・信楽と、その彼が生み出す創作物?に魅了され心酔していく優等生・清水。信楽の作品の魅力に彼だけが気づき、関わりを持ちたくて空回りつつ頑張る姿は、微笑ましくてつい応援したくなる。
それにしても、読み終えてみて改めてタイトルの秀逸さに唸った。
…その独特な匂いに周囲が敬遠する中、ただ1人だけ白く美しい花が咲いていることに気づき、知ろうとする物語なのだ。
黄色い本 ジャック・チボーという名の友人
黄色い本に収録されている短編の中で「マヨネーズ」が一番好きです。高野文子先生ご自身もこれは珍しくエロを描きましたというようなことをおっしゃっていたと思いますが、大人の恋愛模様を描いた作品です。
物語の始まりの巧みなカットの連続もかっこいいのですが、やっぱりスネウチさんのキャラクターが魅力的ですね。ひとことで言うとガサツな人です。彼が何にでもマヨネーズをかけることがタイトルの由来にもなっています。
タキちゃんがいつスネウチさんのことを好きになったのか明確には描かれてはいません。でも心の動きって自分でも予測不能だったりしますよね。すごくマンガっぽく描かれているけど実際の恋愛がモデルになっているようなリアルさがすごくあります。