幽霊が視える葬儀屋さん

距離感が不思議な葬儀屋さん

幽霊が視える葬儀屋さん 吉良いと
ゆゆゆ
ゆゆゆ
少年ジャンプ+に連載された『ようこそ亡霊葬儀屋さん』の読切版ストーリーの後日譚だそうです。 ???となったのですが、読切版のあとジャンプルーキー経由して商業連載を勝ち取ったのでしょうか? 連載作品が『ようこそ亡霊葬儀屋さん』。 連載前に公開されたストーリーについて、それぞれ後日譚を描いたのが、この『幽霊が視える葬儀屋さん』シリーズみたいです。 すごく読みやすくて、きれいな絵柄で、これで個人出版ってどういうこと?と思ったら、そういうことのようでした。 最近ジャンプ+を読み始めたので、まったく知らず、こんなおもしろい作品があったとはと思いました。 アプリや電子書籍が増えていろいろ読むのが容易になったものの、おもしろそうなものを掘り起こすすべが難しいんですよね。 さて、話がズレました。 個人出版の『幽霊が視える葬儀屋さん』シリーズは何作品か公開されているようですが、こちらの作品は 亡くなった姉の死化粧がしたいという妹。 彼女の願いは叶えられるのか。 というストーリーがベースになっています。 身内が亡くなって、一緒に悲しんでくれる人がいるかどうかで、気持ちの行方は変わると思うのですが、この読切シリーズの遺族はそういう方がいない設定が多いです。 そこで葬儀屋さんがグリーフケア兼亡くなった方と遺族をつなぐ役割を果たします。 簡潔に言うとそれを柱とした物語の数々なのですが、人生いろいろなのねとヒューマンドラマに心を動かされます。 葬儀屋さん、なにものなんでしょうね。 まだ、幽霊が視える葬儀屋の社長としかわかっていないのですが、連載版を読めば明らかになるんでしょうか。 楽しみです。 ジャンプルーキー https://rookie.shonenjump.com/series/FlR8CfEg3zk
イケメン夫はゴリラ妻とプリティ娘を愛しすぎてる【同人版】

ゴリラというか、筋肉と優しさあふれる静さん

イケメン夫はゴリラ妻とプリティ娘を愛しすぎてる【同人版】 伊達しのぶ
ゆゆゆ
ゆゆゆ
タイトルで、んー?と思った方、Kindleで読める「透と静さん」を読んでから、こちらも読んでみてください。 印象が変わります。 私は印象が変わったことで、「透と静さん」の後日譚というか既刊にあたる、こちらも読みました。 どちらもおもしろいです。 元モデルでドラマや映画にも出演歴のある旦那さん。 元アスリート(柔道など)で身長190近くあって、北斗の拳のキャラクター並みの筋肉質で、女の子らしいものに時々憧れる、顔の彫りが深めでよく見たら美形の奥さん。 二人の間に生まれたかわいい女の子。 幸せなラブでラブな夫婦コメディで、とてもよいです。 くすっと笑えたり、ほのぼのしたり。 突出した特徴を持つ家族をそれぞれがそういうものと受け入れている(興味がない)点も良いです。 静さんの全方位に対する優しさ(筋肉対応)にも、惚れてしまいそうです。 「おまえのかーちゃんゴリラ」と我が子へ言ってきた男に対して、ゴリラっぷりを見せて圧倒させ、さらに心を奪うなんて、イケメン対応過ぎる。 https://twitter.com/date_shinobu/status/1646421180717608960
ギャル義姉とみっくん

クールに徹せないギャル義姉のかわいさ #1巻応援

ギャル義姉とみっくん 卯月ミヤ
兎来栄寿
兎来栄寿
『望月さん家のヤンキー』の卯月ミヤさんによる、義姉弟ラブコメです。 現実に兄弟姉妹がいる人には「こんなのはマンガの中だけ!」と言われがちですが、マンガの中の妙なる関係性からいつだって栄養を獲得して生きてきている皆さま、こんばんは。 たとえそれが刹那の幻想だとしても、良いではないですか。この世とて胡蝶の夢かもしれないのですから。 本作は、心の中では義弟・みっくん大しゅき状態でありながらそれを外側には出さず普段はクールなギャルの体裁を保っている義姉・亜純(あすみ)を描いた作品です。 亜純の友人たちはビッチで「筆おろし真希さん」の二つ名すらある様相ですが、そんな彼女らの毒牙にかからぬよう亜純は必死に義弟を守護(まも)ります。一方、みっくんの友人たちはオタク揃い。脇役も良い味を出しています。色々と対照的なふたりですが、そうであるからこそ関係性に趣深さも宿るというものです。 クールを貫こうとするも、みっくんのあまりの尊さに装甲を貫通され素が出てしまう亜純の姿が、この作品の一番の美点でしょう。いじましくかわいらしく面白いです。それを補強するのが卯月さんの魅力的な絵。スタイリッシュで非常に読みやすいのも、本作のストロングポイントです。 義姉弟なので、実の兄弟ではなし得ないこともできてしまう関係であるということもあり、ふたりの今後がどうなっていくのか楽しみです。
螺旋じかけの海

設定が小難しいけどおもしろい

螺旋じかけの海 永田礼路
ゆゆゆ
ゆゆゆ
食費をうっかりお酒代にかえては、一緒に暮らすハルに叱られる生態操作師のおじさん・オト。 料理はすごく不味いらしい、射撃の腕はピカイチな若者・ハル。 人以外の遺伝子をもつ異形成キャリアと呼ばれる人たちがいる世界。 水没した街には何故か特に多く住んでいる。 この世界の法律では人以外の組織の割合が一定を超えた異形成キャリアは基準外キャリアと呼ばれ、人とはみなされない。 とはいえ、見捨てられた水没した街の人々は、他の生き物のパーツが体に発現するまで、自分が異形成キャリアであることすらわからない。 街に近い洋上で暮らすオトとハルは、国の定めた基準を超えてしまった異形成キャリアの人たちを、生体操作をして助けていく。 人以外の組織が1%でも超えたら人ではなくなるのは、おかしくないか。 服などで見えない部分が超えていたらわからないのに、人ではなくなるのか。 人間らしい思考を持っているのに? じゃあ、人間らしい思考を持っていたら、あきらかに別の生物でも人なのか? 「人間と他の生物を分かつものは何か」 あらすじにあるこの問いを、「螺旋じかけの海」は様々な物語から問うている。 そして、めずらしい(より人のかたちに近い)異種形成キャリアは高値で取引されることが、問題を複雑にする。 作者の本職は医者とのこと。 色々悩みながら描かれているのかもしれない。 小難しい漫画に思えるが、食えない性格のオトとおだやかそうなハルの掛け合いがおもしろいので、さくさくと読める。 続刊があるのかないのかわからないけど、続くなら読みたいなと思う。 追記 11話の5巻でいったん終わりだと、単話11話前編として公開された電子書籍内に書かれていました。 https://twitter.com/nagatarj/status/1642143272561954818 追記の追記 5巻が発売されました
お前の寝言がわからない

男女差も文理の違いも、人によるからね

お前の寝言がわからない 永田礼路
ゆゆゆ
ゆゆゆ
文系理系でなんやかんやいうのは嫌いなんですが、おもしろく読めました。 文理というより、この人たちが変だからでしょう。 男は〜女は〜という言い分に、文系理系という区分を組み合わせたラブコメディです。 ラブコメらしく始まって早々に、久しぶりに出会った昔なじみとルームシェアになるのですが、二人揃って大人のせいか、にじみでる熟年夫婦感というか。 とはいえ、熟年夫婦だともう言わないような生活の不満を言い合うフレッシュさというか。 なんというか、月日を感じさせない仲良しさがあります。 そして作中で描かれる、一緒に住んでいてのちょっとした不満は「あー、そう!それ!!それ!!あるある!!!」みたいなのがわりと出てきます。 「少女漫画ぽく愚痴る。」には出てこなかったタイプの愚痴です。 ちょっとした不満が大きくなりすぎないうちに、ちゃんと解決しようと話し合えるのが素晴らしいです。 衝突は起きれど、ルームシェアは円満長続きしそうなお二人です。 ちなみに、賞味期限を気にしない人は、文理問わず気にしません。 彼の人たちは、細菌の増え具合などを凌駕する腹を持っているようです。なお、腹を壊すかどうかは外国の水と同じく、ある程度は慣れのようです。 https://twitter.com/nagatarj/status/1578613334618038272
夢に落ちる少女

黒髪のベタが良いふたりの少女のお話 #1巻応援

夢に落ちる少女 しぐま
兎来栄寿
兎来栄寿
「共依存鬱百合コメディ」の響きだけで強くなれる気がしますね。ささやかな喜びを潰れるほど抱き締めるような物語が好きな皆さん、こんばんは。 しぐまさんがwebで連載していた本作が、まず昨年末に本として発刊されました(それは 同人誌と言うには あまりにも大きすぎた 大きく ぶ厚く 重く 大ボリュームだった)。そして、この度各ストアで電子版の配信も始まりました。264Pの同人ということで紙版は3000円を超えていましたが、電子版はかなりリーズナブルにお求めいただけるようになったと思います。 「ボク」と「オレ」のふたりの少女の掛け合いを中心に繰り広げられる物語ですが、とにかく先ずしぐまさんの絵が好(ハオ)ですね。黒髪に対して真っ黒にベタを塗る人は昨今逆に少なくなっており、吸い込まれそうな漆黒の髪と瞳に郷愁すら覚えます。本作以外のイラストなどでも、黒の使い方がとても良い作家さんです。 そして、そんなふたりのそれぞれのキャラクター性が話が進むにつれて細かく描かれていき、数々のエピソードと共に両者への愛着が高められていきます。「オレ」の方が背が低いけどカッコいいところとか、「ボク」のみならず読んでる方もときめいてしまいます。 序盤は「コメディ」部分が強めですが、徐々に出てくる「共依存鬱」パートがまた非常に良く、私が本作を推す理由となっています。 百合好きの方にはもちろん、そうでない方も読んでみて欲しい魅力のある作品です。
坂本太郎 名作劇場

令和5年「坂本太郎さんの単行本」が発売! #1巻応援

坂本太郎 名作劇場 坂本博義
兎来栄寿
兎来栄寿
坂本太郎さんのマンガに出会った日のことは今でも鮮明に覚えています。 『ドラゴンクエスト』が大好きで大好きで仕方がなかった小学生時代。毎巻楽しみにしていた『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』の最新11巻を馴染みの書店でウキウキしながら買ってきて早速読み始めると、ひとつ異質な作品が載っていました。 「ピエール」というシンプルなタイトルと共に描かれていたのは、鋭い眼光で黒光りする「グレートスライムZ」。当時はパロディ元のマジンガーZのことも知らなかったにも関わらず30分くらい笑い続け、「抱腹絶倒」という言葉を身を持って体験をしました。従来の作家さんは「ふんどし!」などはありながらも、基本的に『ドラクエ』の世界観を忠実に守った作品を描いていました。しかし、それを清々しい程にガン無視した坂本太郎さんのマンガは、破壊的インパクトを与えてくれました。 その後も『スターオーシャン』や『ヴァルキリープロファイル』、『モンスターファーム』など私も死ぬほどやり込んだゲームの4コマ作品や、『ギャグ王』や『ヤングガンガン』等で連載していたオリジナル作品でもそのハイセンスぶりを遺憾なく発揮し続けた坂本太郎さん。徐々にかわいくなる女の子キャラに対して、濃すぎるおっさんたちの存在感は常に一定。「スポーティな視線」や「スペース朧ノエル」が解る方はソウルメイトです。 しかし、当時から一部でカルト的な人気を博していたにも関わらず、オリジナル作品の単行本化は一切されてきませんでした。一時期はwebで読めたものもありましたが、それでもファンとしては単行本で欲しいもの。やがてwebで読めた作品も閲覧できなくなり 「ああ、坂本太郎さんは今何をしているんだろう……」 と、ことあるごとに思い返しながら時は2015年。1994年から1999年まで発刊されていた雑誌『ギャグ王』がエイプリルフールで1日だけオンラインに復活するという椿事が起こり、そこに何と坂本太郎さんの新作マンガも掲載されたのです! これには狂喜乱舞でした。女の子の絵柄はまた少し可愛くなりながら、汚いおっさん入り乱れる狂気的作風は健在。坂本太郎さんが元気に生きてらっしゃるだけで、嬉しかったです。 そして更に時は流れ、2020年11月。『週刊少年ジャンプ』で同姓同名の「坂本太郎」を主人公とする『SAKAMOTO DAYS』が始まり、記憶を刺激されずにはいられませんでした。 「ああ、坂本太郎さんは今何をしているんだろう……」 と思いを馳せること幾星霜。すると、その1ヶ月後に奇跡が。 https://twitter.com/hiromoka_09/status/1341274354324127745?s=46&t=qkYMagUe7ZxV5G5YoVLrLA !?!?!?!?!? さ、坂本太郎さん御本人が…………!? Twitterを!! それから、日々コンスタントに過去作品やリメイクなどを発表してくださり、飢えに飢えていた坂本太郎さんのマンガからしか得られない栄養素を数十年分補給させてもらっています。 そして、権利関係などの整理が行われた結果、遂に遂に遂に世界が待ち望んだ坂本太郎さんの単行本が今日、令和5年1月27日に発売となりました!(スタンディングオベーション) 今夜は祝杯を傾けながら、細かすぎるドラクエネタから当時の時事ネタまでエロスとカオスの入り混じった世界を堪能しようと思います。今読んでもまだ時代の方が追い付けていない、この世界観が大好きです。 そして、嬉しいことに『坂本太郎 名作劇場 1』というタイトルなので、未収録作品を収めた続刊も心から楽しみに待ちたいと思います。 (なお、現在は坂本太郎改め「坂本博義」または「坂本ヒロヨシ」名義となっています。恐らく坂本太郎名義の方が通りが良いと思い、文中では坂本太郎名義での表記とさせていただきました)