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しれっとすげぇこと言ってるギャル。―私立パラの丸高校の日常―
トロッコ問題すらしれっと解決するギャル #1巻応援
しれっとすげぇこと言ってるギャル。―私立パラの丸高校の日常― おつじ 松浦太一
兎来栄寿
兎来栄寿
https://youtu.be/JfvbpGcwyc8?si=87H35GAwt33QJS70 ここから始まった『私立パラの丸高校の日常』。YoutubeやTikTokで人気でしたが、コミカライズもされその1巻が本日発売となりました。 本作は全員何かしらの特殊能力を持っている世界における、私立パラの丸高校を舞台にした、ゆるい群像コメディです。 元々は、ぴかるんことただ体が発光するだけの能力を持った多々光(ただひかる)が主人公でしたが、元の動画版の方でも別格の再生数を誇り大人気のギャルズがこちらのコミカライズ版では主人公のようになっています。 未来視(ヴィジョン)の能力を持つ見里未来(みさとみらい)さんと、平行世界移動(バタフライエフェクター)の能力を持つ黒髪ロングストレートギャルの「へー子」こと平翔子さん。 共に超絶チート級の能力を持ちながら、ギャル特有の異常に軽いノリが合わさって化学反応がものすごいことになっています。 2話の平行世界移動を繰り返す話での 「ここ有機生物が酸素を必要としなかった世界だ」 「えーじゃこっちのうちらなにで代謝してるん?」 「ベリリウム」 「やば 緑柱石かよ」 「まあ酸素と同じ第二周期だしね」 という会話など大好きです。「あーね」とか「が?」「が」くらいのテンションで気軽に物理法則が捻じ曲がっていくのえぐちです。 皆大好き、オタクに優しいギャル回では、マンガを描いていたクラスメイトに 「てかこれワンチャン『転スラ』に影響受け過ぎ?」 「『盾の勇者』もじゃね?」 と、異世界ものへの解像度が高く的確にアドバイスする様も激チルです。 「説ある」が「説あるコアトル」に進化するなどの語彙の無限の羽ばたきも、ギャルらしさが溢れていてエモです。更に、本作には競馬回ありホラー回あり巨女ありと、さまざまな属性の人が引っかかるフックが存在します。 作画を担当しているのが『いびってこない義母と義姉』や『通りがかりにワンポイントアドバイスしていくタイプのヤンキー』のおつじさんということもあり、ヴィジュアル的にもつよつよで、未来とへー子がより魅力的になっています。 時折捩じ込まれる『ハンターハンター』や『エヴァ』ネタも私には効きます。巻末おまけも10Pもあるので、単行本でまたじっくり楽しむのも良きでしょう。
ふしぎの国のバード
外国人視点の開国後日本
ふしぎの国のバード
ゆゆゆ
ゆゆゆ
原作となるイザベラ・バードの本は読んだことがある。 でもこれほど情景豊かに想像はできなかったし、イザベラ・バード視点のみなので、やはり周辺情報が客観的に描かれる漫画はやはり違う。 絵があると、それがすべて本当のように引っ張られてしまうのが弱点と何かで読んだ。 でも、自分だけの想像力では描ききれない、田舎の恐ろしいほどのノミやその他虫、そして不衛生さ。 それらが日常の様子として描かれ続けているので、漫画とはすごいものだなと思い知らされた。 そもそも、バード女史、よく行ったな。肉もないのに。 また、環境だけでなく、懐からボトルに入れた筆を取り出し記録をしたためる鶴吉の一連の仕草。 大人になったことを誇りに思う女の子の表情。 細やかな当時の人々の日常が、ドラマの何気ないワンシーンのように描かれていて、今は消え失せた文化を知らされる。 ちなみに、ヨーロッパより難儀な雑草が多い日本で、バード女史が農民が勤勉に働き雑草を刈るから「雑草がない」と表現したコマに、フフとなった。 有名な場面ですね。 キリスト教的な倫理観が根付いている現代の我々が、当時の日本へ気軽にトリップできる、すてきな漫画です。
キメねこの薬図鑑
数gで宇宙や神へと至る物質 #1巻応援
キメねこの薬図鑑
兎来栄寿
兎来栄寿
SNSで大人気のキメねこさんによる、自称「卓越した道徳的書物」。表現の自由の極北を驀進していく1冊です。 大麻やLSDから始まり、さまざまな合法市販薬から海外で売られているキノコや薬物などの詳細なレポートマンガ、また自身が逮捕された際の留置場生活のレポートマンガなどが盛り込まれた内容です。フィクションで実在のものとは関係ないとのことですが、良い子のお友だちは真似しないでくださいね。 担当編集は『地元最高!』、『ゴールデンドロップ』、『ごくちゅう!』などでもお馴染みの草下シンヤさんということからで、内容とクオリティについては一定の安心感が生まれます。 かわいいフルカラーの絵でありながらリアルに描かれるさまざまな薬物やその使用レポート、世界の見え方の変容などはマンガという媒体の長所を生かし切っており、視覚的に解りやすく描かれています。自分と世界の区別がつかなくなるさま、音が見えたり味が輝いたりするさま、幻視や幻覚、圧倒的感謝……。 幾何学的模様が見えてくるのは、自然界において存在する黄金比のように視覚野と生命科学が生む美しい秩序であるという節などは、なるほどと得心しました。 ″神への直通回線″と呼ばれる宇宙最強の幻覚剤「アヤワスカ」など、自分では絶対に使いたくはないものの好奇心はそそられる対象についても詳述されていき面白いです。 「TDLでLSD」 「真昼のエレクトリカルパレード」 「★大麻(ガンジャ)に感謝――――――!!」 「成人は4錠、しかし聖人であれば20錠以上は飲んでおきたい」 などなど言語感覚の良さに笑わされてしまうところも多々。 他方で、 「存在するのは、毒だと分かっていても、刹那的な夢を見ようとして、取り憑かれ、堕落してしまう人間の悲しき性だけである」 といった名文もあり、さまざまな味わい深さがあります。 『ミッドサマー』のトリップ描写は解像度がとても高く正確、などの普通に生きている上ではまず見聞きしない類の情報に溢れており、普段刺激されない部分を刺激してくれます。 「絵描きの不幸はある意味で幸いである なぜなら漫画の出力を誘うためだ」 で始まる、大麻取締法違反で逮捕された際の モノクロで描かれる留置場レポートも面白く、作者のエッセイ系マンガの上手さを感じさせられます。いえ、フィクションだそうですけどね。 「ここが留置場かぁ〜  テーマパークに来たみたいだぜー」 と野原ひろしになってる場合ではない、とツッコミを入れたくなるところや 「今ち◯かわってどうなってる?」 「ち◯かわも牢屋入ってるよ」 といった会話にも笑わせられました。 終盤で出てくる、普通に生きるのには向いていなかった筆者が語る 「創作の世界だけは人格的な部分にとらわれず  最終的な成果物のみで評価してもらえる  極楽浄土です」 という言葉は胸に残りました。 大麻の合法化についてはさまざまな議論もありながら、世界的な潮流としては合法化される国が増えてきていることも言及されています。まともな議論の土台となる知識を得ようとしても、日本では違法であるためまずその第一歩が難しい状況にはあり、そういったときにこうした作品の存在がその一助になることはあろうと思います。
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