なみだ坂診療所 1020話全部読むにコメントする

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まみこ
まみこ
8ヶ月前
「医者とは職業ではない 医者という生き方なのだ」 このフレーズは、主人公、織田鈴香の恩師、嵐山鉄寛が事あることに口にする言葉ですが、まず、この物語の中で、この命題が、通奏低音として一貫しています。 とにかく、織田鈴香が、クセ強過ぎ超人なんですよね。 栃木の大病院のお嬢様、お父様は国会議員、一流大学を首席で卒業、前職は救急外来で、時として容赦なくメスも振るう、問診/触診の達人で難しい病気も一発で当てる、合気道三段、暴力は大嫌いだけど、いざとなったら腕力を使うことも躊躇しない。そして、何よりも地域の町医者として、人生を捧げることを厭わない。 これだけの能力と意志をもってしても、救えない命がある。むしろ救えない命の方が多い。それは、医療行政、社会のあり方、個々の感情、諸々があります。これを丁寧に、分かりやすく、かつ、残酷に描く物語なのです。 まぁ、「医療従事者簡単に刺され過ぎ」「医療従事者簡単に死に過ぎ」「登場人物簡単にセックスし過ぎ」とか諸々のポイントはあるんですが、週刊漫画TIMESなので、そういう物語ということです。 20年以上、生と死を見つめた主人公の死をもって、この話はクローズします。 最終話、主人公、織田鈴香の台詞「いえ、もう少し …だってこんなに素敵な景色 初めて見たもの」を見た時、読者は分かるんですよね。彼女は、脳腫瘍が進んでしまって、立つことはおろか、視野も失っていることに。 勿論、ラストには明日も未来もあります。それで良いではないですか。
銀のくに
雪国に降り積むあたたかな想い #1巻応援
銀のくに
兎来栄寿
兎来栄寿
はやしわかさんについては以前に『変声』の際に書きましたが、その表題作「変声」を含んだ短編集が新たに『変声』として発売になると同時に、こちらの『銀のくに』と同時発売となりました。 新潟の外れにある雨生町を舞台にした、雪国のヒューマンドラマです。 通学にバス45分+電車で20分かかる学校に通う高校1年生の五十嵐風花の家に、体を悪くした伯父の息子で同じ高1の賢心と、小3の娘のゆき枝が神奈川から突然やってきてしばらく同居していくことになります。 思春期の少年少女にとっては、どちらの立場からしても大きな戸惑いが生じるできごとでしょう。最初はお互いにぎくしゃくしていますが、さまざまなできごとを通して少しずつ、雪がとけるような速度で歩み寄っていきます。 それは、何も風花と賢心の間のだけの話ではなく、環境の変化への不安から涙をこらえられないゆき枝と、一見すると偏屈に見える風花の祖父もそうです。自分も、小3のころにあった大きな環境の変化に上手く順応できずゆき枝のように心細い想いをしたなぁと懐かしい思い出が蘇りました。一方で、祖父の方としても折り合いがつこなかった息子の方の孫ということで、接し方が難しいのも大人になると解ります。 どうしたって、初めは潤滑にはいかない関係。社会にはざらにありますが、そこで何とか互いに歩み寄っていくことで世界は開けます。そんな様態を、いじましく尊い努力を上手く描いている作品です。 また、雪国での生活のさまざまな困難が克明に描写され、10cm雪が積もったらニュースになる東京や神奈川との違いを感じさせます。一方で、そういう風土であるからこそ受け継がれてきた伝統料理の「のっぺ」のような存在もあり、美味しそうで食べてみたくなりました。 年頃なので、当然同級生たちを含めて恋愛方面の話も出てくるわけで、そうした部分における展開もどうなっていくのか気になります。 読んでいて凍えるような銀色の世界で営まれる生活がまずベースにあり、その上で絡まり合って動いていく人間模様。雪国育ちの人は共感を覚えるところも多いと思いますし、そうでないところで育った人も楽しめる物語です。
なみだざかしんりょうじょかんぜんばん
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