ネタバレ

「お前ら」「僕ら」という主語のデカさに抉られる。
勝手に希望を抱いて勝手に理想を押し付けて勝手に裏切られて、自分勝手に傷ついているだけなのに主語は「僕ら」になっている。
なんて歪なんだろう。でもわかってしまう。

映画好きでひとりぼっちの小林君。ある日映画館で1個上のリカ先輩と出会う。
同じ映画を観て泣いていたリカ先輩。僕の映画論を聞いて「わかる」と微笑んでくれたリカ先輩。
僕と同じ映画好きで、心の美しい女性だと思っていたのに……というお話。

小林君のぐちゃぐちゃな心情に焦点を当てて描いているけど、リカ先輩視点の物語も見てみたい。
好きなバンドマンの感性を少しでも理解したくて、ひとりぼっちの後輩に近づいて、理由もわからないままに人間性まるごと拒絶されて。
小林君もリカ先輩もこの日々のことを忘れられずに生きていくんだろうな。
こういう歪みをわかんないように重ね合わせたものが人生かもしれない。かもしれないけど辛いね。

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