豪雨を待つ

豪雨を待つ

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人生で一度くらい、雨でも降っていれば格好ついたかなという瞬間があると思う。雨だったら晴れだったらゴミが一発で入ったら……動き出すきっかけを探しているだけに過ぎないが、あの瞬間自分を見ている何かが確実に存在する。
自分が見ている世界のフレームに自分が入ることはないのに、入っている気がする。

そんなことを考えながら読んだ。

クラスメイトに告白したい女の子。勝負のタイミングを伺うガンマン。漂流するクルーザー。日照りに苦しむアフリカの人々。
違う場所、違う時代を生きる人たちが同じように豪雨を待っている。物語を動かすために雨が降らなければならない。物語は入れ替わりながら、日常と非日常を混ぜ合わせて進んでいく。
今雨が降り出したら自分もこの物語に取り込まれてしまうのではないか。自分も豪雨を待つものに、物語られるものになってしまう。

ガルシア・マルケスとか好きな人は読んでみてほしい。つい豪雨を待ってしまうはず。

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見た目も収入も申し分ないけどモラハラ気質で古い男が、恋人にフラれたことをきっかけに自らをアップデートしていくストーリー。 恋人が仕事終わりに作ってくれたご飯に、色味がどうだ出汁がどうだバランスがどうだとケチ(アドバイス)をつけ、そりゃプロポーズしてもフラれるわ!ざまあみろ! と思うものの、ちゃんと傷つきちゃんと学ぼうとする姿を見るとだんだん応援したくなってくる。 そして変わろうとするのは何も男ばかりじゃない。勝男をフった鮎美も、自分が本当に好きなものを見つけ人生を変化させていく。 読んでいくと2人はお似合いのカップルだったんだなあ、と皮肉じゃなくて本当に思う。 理屈じゃなく惹かれあった男女が、結婚という目的や男と女という役割に縛られてお互いが見えなくなっていく、なんて悲しい話。 そうさせているのは世間の空気や常識や今まで歩んできた人生など要因は様々だけど、「わたし」と「あなた」だけをしっかり見ていれば起こらないはずなのになあ……。でもそれが難しいんだよね。 勝男と鮎美の人生が再び交わるかどうかはさておき、2人もわたしもみなさんも、自分と相手の好きを大切にして人間関係を築いていけたらいいなと思った。

豪雨を待つ

ごううをまつ
著者:えさしか
ごううをまつ
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