ニュースなどで何かと世間を騒がせる証券業界のブラック労働の実態を描いたエッセイ漫画。作品の時期は2014年頃と、少し古い部分もあるが、いま令和の時代に読んでもゾッとするほどリアルで引き込まれる内容だ。

作者の方は、執筆時はアマチュア同然ながら、退職後に会社で体験したことをマンガで描きはじめてこの作品が生まれたとのこと。お世辞にも絵のレベルは高いとは言えないものの、上司や同僚に追い詰められ、自分を責めて心が壊れていく過程を客観的かつ冷静な視点で捉えており、細かいプロセスまでも丁寧に描いているのが凄い。

話を追うごとに話のボルテージは上がり、後半の長時間会議のエピソードなどは、本当に気が滅入るような話で、読むだけで身体がどっと疲れる読書体験をさせてくれた。

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特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
「ヒロシマのおばちゃん」を読みたくて購入
特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
ひさぴよ
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https://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b110795.html 『漫画が語る戦争 焦土の鎮魂歌』(小学館クリエイティブ)で読んだ曽根富美子の短編「ヒロシマのおばちゃん」が衝撃的だったので、もう一度読みたいと思って電子書籍版を探してたら、この短編集に収録されていた。 「ヒロシマのおばちゃん」以外の短編は、戦争の話というよりちょっと昼ドラっぽい話が多いものの、それでも表題作を読むためだけに買っても損はないと思う。 作品の詳しい時期は分かってないのだが、状況からして1990年代頃の設定と思われる。広島での戦争体験を語り継ぐの”一人のおばちゃん”を通して、戦時中の自身の半生を振り返るところから物語は始まる。巧みな語り口と、曽根先生お得意の、不幸で陰湿な心理描写にグイグイと引き込まれてゆく。そしておばちゃんは不幸のドン底と同時に、原爆の日を迎えるのだが…。 変わり果てた広島の街を、怨念そのものとも言える鬼気迫るタッチで描き出し、一度目にしたら忘れられないような光景がこの漫画にはある。おばちゃんは最後に「あれは地獄だったよ」とだけ語る。と同時に、この出来事が教科書の中のたった数行に収まってほしくない、と願うのだった。 個人的には「はだしのゲン」と同じく、ぜひ読み継がれてほしい戦争漫画の一つだ。

雨宮鬱子の証券会社で働いたらひどい目にあった

あめみやうつこのしょうけんかいしゃではたらいたらひどいめにあった
著者:雨宮鬱子
ジャンル:エッセイ
最新刊:
2020/11/02
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定額制夫の「こづかい万歳」 月額2万千円の金欠ライフ

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