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本作の1巻を私はカラー版で読んだのですが、2巻を買う時に何故かモノクロ版をカートに入れて、そのまま購入してしまったのです。
電子書籍なので返品も効かず、カラー版を買い直す程の財力も無いのが悔しくて少しいじけてから、物語は同じだしと己を納得させて読み進めればまぁ……何とも重い百合が展開しているじゃありませんか。
本来争い合うはずの、蜂種族のプリマベラと蟻種族のラムリッタ。まだ幼く弱いラムリッタを保護し、戦い生きる術を教えるプリマベラ。少しずつ親愛の情を交わす二人の生活に、プリマベラの知人と思しき蜂種族の女性が介入する。
互いを救うべく行動するプリマベラとラムリッタ。ラムリッタの命を救いながら姿を消すプリマベラを、探すために強くなってゆくラムリッタに震える。
切ないのは、互いを想う心に反発する「本能」。同族と争うのを止める幻影、プリマベラがラムリッタを想う反面の殺戮衝動。果たして二人の想いは、本能を御することができるのか……ラムリッタが獲得した「強さ」が今後、カギとなるのかも知れない。
モノクロ版は『風の谷のナウシカ』漫画版のような退行世界のざらつく質感を充分伝えてくれる。その質感は、本能に抗う物語に生と死のリアリティを与え、物語をスリリングにしているのです。
カラーでもモノクロでも素晴らしいなぁ……という事が分かったので、今回は己の間違えを許してやろうと思うのでした。