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5年位前だが「ハッピーアワー」という映画が、自分の界隈で話題だった。
ロカルノ国際映画祭最優秀女優賞・脚本スペシャルメンション、ナント三大陸映画祭「銀の気球」賞・観客賞、シンガポール国際映画祭最優秀監督賞 濱口竜介監督映画『ハッピーアワー』公式サイト
ざっくりいうと、それぞれ性格も価値観も異なる妻(一人はバツイチ)たちが、色んな理由で旦那から離れていく(離れていった)というのを描いた作品。
演技経験がない女性をキャストに使ったことで、逆にリアリティが強く、自分は今でもこの映画がすごい印象に残っている。
本作「金魚妻」を読んで、まずこの映画が思いだされた。
本作も端的にいうと、妻が不倫・浮気する瞬間をオムニバス形式で描いている。
巻数を重ねるごとで関連性も出てくるが、基本的には1話完結で色んな家庭環境の妻を描いている。
作者である黒澤Rは女性であることも存分にあると思うのだが、目線というか、女性的な着眼点、ふとした瞬間に起こる衝動的なところが、男子目線で読んでてハラハラさせてくれる。
特に、心が離れる要因として、物理的なDVなどはわかりやすいのだが、そうでない所の描きが秀逸なのだ。
ちょっとした不満の蓄積(えてして価値観に軽微な影響を与え続けるもの)、旦那が何もフォローもしない無関心な様子だったり、退屈だったり、結局わかりあえない関係性を身近な他人とのセックスで満たそうとする流れが、理解できそうで、理解できない。
この感じが、もどかしく男女間の違いなのだろうと読むたびに痛感させられる。
エロスな面が強調されるが、こうした男女の機微も味わい深い作品です。
特に、上記の映画を知っている人は、ハマるかと思います。