読んでまず、すごく丁寧につくっている作品だなという印象でした。

自分が好きな作家八十八良先生(「不死の猟犬」「ウワガキ」)のようなやわらかい絵柄で読みやすく、昨今のストーリー漫画に多い、飽きさせないようにやたらとヒキをつくり「がち」なものが、この作品にはない。
(ない…は言いすぎたが、無理がなく、仰々しくもない。)

悪く言うと地味なのかもしれないが、家族を題材とした内容とよく合っており、個人的に好感がもてる。

さて、大まかなストーリーだが、地元でワルだった父親と娘の二人の話。
母はすでに他界しており、いない。
素行不良だった父親のせいで、周囲から孤立してしまった娘は、いつしか父親を恨み、避けるようになる。
父親も父親で「過去は変えられないから」と、昔に何があったか話そうとしない。
そんな父親の煮え切らない態度が原因で大喧嘩をし、父親が出ていってしまう。
数日後、帰ってきたときは、なぜか赤ちゃんになっていて…という話。

赤ちゃんになった父親とともに現れた、死神を自称する猫サンシロウ。
なんでも彼がミスったことが原因で、父親の肉体までもリセットしてしまったという。
しかも、成長速度が早い状態で。

そんな感じで、子供に戻った父親と娘の、少し変わった親子の物語。

面白いなと思うのは、娘に育てられてワルだった父親はどう変わるのかということと、結果娘と父親の関係はどうなるのかというところ。
過去は変えられないという父が、子供からやり直し、何かを変えていくのか。
父親がいなくなったことで、少しづつ明らかになる、子供になる前の父親の素顔と、それに伴って起きる娘の心境変化。

親子関係を中心に面白くなりそうな仕掛けが色々あり、どう転ぶのか楽しみです。また娘が現実を受け入れながら、学校と育児をこなして成長していく姿は、素直に応援したくなります。
大変で、愚痴るときもあるけど、何だかんだ頑張ってしまう姿は、リアリティあってグッときます。

久しぶりに完結まで続いて欲しいと思った作品でした。

読みたい
ザシス

ザシスの意味とは

ザシス
六文銭
六文銭
「ろくでなしBLUES」から「べしゃり暮らし」まで、一通り読んでいる作家さんだけに本作も当然手に取りました。 1話読んで、サスペンスであること、その世界観にひきこまれ これは完結してからイッキに読もう と思い、完結を楽しみにしてましたが(変な話ではありますが)まさか3巻でおわってしまうとは。 一気読みした最初の感想としては、ギャク色の強い作風の作家さんなのに、この手のストーリーもイケるのかと唸った。 誰が犯人なのかはもちろん、主要な登場人物の誰もが、実は後ろ暗い過去をもっているびっくり展開は、良い意味で緊張感があって、最後どう転ぶのか気になり読んでてあっという間だった。 ミステリでありがちな、くどい説明とかもなく、絵だけで魅せてくるのも読みやすかったし、不気味なタイトルが結局何なのか気になりながら最後につながるのも良かった。 総じて、面白かったという月並の感想なんだけど、3巻でキレイにまとまっている作品だと思います。 この手の作品で、個人的に重要だと思っている、読者に結論を委ねる部分もしっかりあって、そういう意味でも読後感は良かったてす。 3巻完結なので、イッキに読んでザシスの意味を噛み締めて欲しい。
嵐のJボーイ ぶっとび闘人(ファイト)

小学生のときに食い入るように読んだ

嵐のJボーイ ぶっとび闘人(ファイト)
六文銭
六文銭
小学生の時にサッカー好きの友人がいて、彼に紹介されて読みハマったことをふいに思い出し、懐かしさでイッキ読み。 子どもの頃は、ボンボン派で、最近読み返すまで、ずっとボンボンで連載していたと思っていただけに探すのに手間どった(「ボンボン サッカー漫画」でずっと検索してた) 結果、コロコロコミックだったし、また、作者が『学級王ヤマザキ』とか『コロッケ!』の樫本学ヴ先生だとは全然知らなかった。 これも、大人になって読み返す醍醐味だなと痛感。 内容は、サッカー少年の主人公・闘人(ファイト)が、架空のJJリーグ(ジュニアJリーグ。要は小学生版のJリーグみたいなもの)を舞台に、仲間有りライバルありの王道スポーツ漫画。 「消えるシュート」など少年漫画には必須の必殺技もしっかりおさえてあります。 コロコロコミックの少年漫画なので、とんでも設定など色々ご愛嬌ではあるが、それでも小さい頃ハマった記憶と相まって、やっぱり面白い。 闘人の「少年漫画の主人公然とした姿」(負けず嫌いで、誰よりも努力する姿など)も、心焚きつけられます。 また当時、Jリーグ発足したばかりで、その熱をリアルタイムで感じていた自分としては、JJリーグという設定には心が踊ったもんです。 こういうのが電子書籍でまた読めるのも良い時代だなと思います。
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