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「柔道一直線」の作画で知られる永島 眞一先生の短編漫画集です。ここに納められている7編は1962年から1963年にかけて描かれた作品なので、画風やあらすじが少し古臭いのは否めません。でも、今読んでもそこにえも言われぬ新鮮さが感じられるのは、作品の一つ一つがいつまでも変わることのない、人間の本質を見抜いた鋭い感性から描かれているからでしょう。
各作品は物語が淡々と語られるように進行するのみで、読者をハラハラさせる展開も、ドキドキさせるクライマックスも、納得させるオチもありません。ただただ、解釈の方法は読者の手にゆだねられているかのようです。どの作品も楽しく、明るいテーマを題材としているものではありません。犯罪者の複雑な心境や苦労人の話など、どちらかと言えば暗いテーマを取り上げているのですが、読んだ後には何とも言えない温かさや清涼感を覚えます。漫画というよりは、優れた短編小説集なような味わい深い作品集です。