甘〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!!!

グラブジャムンやティムタムすら裸足で逃げ出してしまいそうな、甘さが天元突破した社会人ラブコメです。

社内の人間に内緒で付き合いだした28歳の同期の男女が、社内で、社外で、人目を忍んでひたすらイチャイチャする様を見せつけられます。こっそり手を繋いだりとか、初めての名前呼びで盛り上がってしまったりとかもう……学生の恋愛か! けしからん、もっとやれ!!

好きすぎて態度に出るのを恐れるあまり、社内の人目のある所ではあえて険しい態度を取り繕いながら、二人になると甘えん坊の子猫のようになる三ツ谷がひたすらにかわいいです。その殺傷力は最早大量破壊兵器。

5話と6話の間の描き下ろしなど最高です。ご馳走さまでした。胸焼けで殺されそうですがまた食べに来ます。

読みたい
目の前の神様
笑いも熱量も狂気もある快作将棋マンガ #1巻応援
目の前の神様
兎来栄寿
兎来栄寿
『バンオウ―盤王―』を激推ししている私ですが、『ジャンプ+』でまた新しい将棋マンガが始まったときは驚きました。 題材が被っているけど大丈夫かな? と私含め多くの人は思ったことでしょう。しかし、そんな杞憂を一瞬で払拭する面白さがこの作品にはありました。 要素としては色んな作品のエッセンスを感じますが、総合するとかなり独特な読み味です。とにかく1話から主人公の大刀がゆるい。 「スマートスピーカーのやること少なくね⁉︎ 電気消す仕事ってなんだよ…… お前一日中家にいるのに仕事それだけかよ オレだって電気消す仕事のほうがいいよ……!」 などの独特のセンスによるギャグパートが分量的にもかなり割かれているのですが、面白くて好きです。その後、更に発展するスマートスピーカーのやり取りは声を出して笑ってしまったほど。 チョコチップも大納言あずきも食べたい気持ちを抑えられず、翻訳サイトみたいな喋り方になる田原先生なども好きです。 一方で、そんな笑いと並列にゾクっとするような棋士の狂気や、対局の熱さも描かれます。 2,3話まででも読めば、この作品の上手さは存分に伝わるでしょう。 「一番を目指す気持ちが無ければ こっちに来ちゃいけないよ」 と田原先生が桜吹雪の下で語るシーンの 「一番になれないと苦しい なるまでも苦しい」 という言葉。そこまでは、そうだろうと納得できるでしょう。しかし、それに加えて 「なれたとしてもずっと苦しい」 と言い切ります。そうまでして、何のために一番を目指して指し続けるのか。 その件を受けての3話。 他者を見下す村井が、「奨励会という箱の中」で苦しんだ末にいつしか将棋のことがただの仕事になってしまい、最後に大刀との差異をはっきりと自覚して吐露するシーン。 それぞれ単体のシーンとしても良いですし、2話からの3話という構成としてとあまりにも綺麗で、そこからはもうずっと大好きな作品です。 その後の老練な棋士とのプライドのぶつけ合いも熱いですし、異能ひしめく棋界の魅力的な登場人物もどんどん出てきて盛り上がりを見せてくれます。しかし、そんな強者たちの中にあっても主人公が埋もれない魅力を持っているのもすごいです。 笑えて、滾れて、震える。 毎回、次を早く読みたくて仕方なくさせてくれる注目の将棋マンガです。
いじめ撲滅プログラム
いじめのないディストピアの可否 #1巻応援
いじめ撲滅プログラム
兎来栄寿
兎来栄寿
最近GACKTさんにも絶賛されて話題の『ひとでなしのエチカ』や『ゴクシンカ』のピエール手塚さんが作画、『枕営業の眠さん』の藤見登吏央さんが原作を担当する作品です。 電子では1週間前に発売済みですが、本日紙の書籍が発売となりました。 内容はタイトル通りのもので、人間が人間である限りなくならないいじめに対してAIによりいじめを検知して対処する「いじめリアクター」が開発され、システマティックな統制を行なっていこうとする社会を描いた物語です。 いじめっ子に対しては、物理的な対処を行った上で脳に機械を埋め込み「優しい人間」になってもらうという処置までセットになっています。 『時計仕掛けのオレンジ』や『PSYCHO-PASS』などを髣髴とさせる設定で、ディストピア感もあります。いじめに苦しめられた経験のある人や現在進行形でいじめに苦しんでいる人の中にはこのシステムの実在を望む人も多いのではないでしょうか。 人類史を紐解いていくと、狩猟採集の時代から人間は誰かへの陰口を叩くことによって仲間と結束してきた歴史があるそうです。その時代は弱い者を排斥しないと、直接的に自らの命が脅かされる危険性があったことも影響しているのでしょう。 強い者も弱い者も皆で支え合って生きていく社会というシステムが高度化しても、いまだに弱い者や異なる者を排斥したり、それによって結託したりしようとするのは人類がアップデートすべきバグです。 現実的には人権の問題があるので、個人の脳に機械を生み込んで思考を統制するようなことは禁忌ですが、どうしても起こってしまういじめひとつひとつに対して対症療法を行うよりは根本的な原因を取り除きたいという心理は理解できます。 個人としては堪え難い辛苦を受けた先で、それを再び生み出さないためにどうすれば良いのかという問への回答を自分なりに出した牧人。それ自体は法的にさまざまな問題があるとしても、その大元の気持ちは否定できません。 現実にこれからも存在し続けるであろういじめという社会問題。倫理道徳の境界線上で、考えさせられる物語です。
女神の標的
戦後の金塊争奪サスペンス #1巻応援
女神の標的
兎来栄寿
兎来栄寿
『がんばれ元気』、『お〜い!竜馬』、『あずみ』などでお馴染みの、小山ゆうさん最新作。『颯汰の国』を挟んで、『雄飛』と同じ昭和の物語が新たに紡がれています。 本作は1953年の戦後間もない時代が舞台。大衆演劇の花形役を務める主人公の春子が、日本軍の大佐であった父が隠した日本再建のための金塊を巡る争奪戦に巻き込まれていくサスペンスです。 男剣士を凛々しく演じる美しく強い春子は、恩義のある座長のもとで何も知らず暮らしていましたが、ある日を境にその日常が崩れていってしまいます。ただ、戦後という時代もあり、ただやられるばかりではなく暴力に対し時に立ち向かって反撃していく姿もあり痛快です。 鴻鵠の志で金塊を隠した春子の父に対して、本当に存在するのかどうかも解らない「女神」(作中で金塊の隠語と語られる)を巡って、多くの人々が醜悪な争いを起こしていくさまは何とも言えません。 そしてまた、もし金塊が時の総理の下に首尾よく回っていったとしてもそれが正しく使われるかどうかは別の問題として存在するのもまた無常感を覚えさせられます。仮に総理が高潔な志で差配を行おうとしても、さまざまな思惑や柵が絡んだ政界でどこまで理想通りに事を運べるのか。栓なきことと解りながらも、考えてしまいます。 ともあれ、さまざまな勢力が互いに画策し合い息もつかせぬ展開で、誰を信用できて誰が信用できないのかも解らない春子の緊迫感がそのまま伝わってくるようです。 小山ゆうさんももう76歳ですが、筆に翳りは見えません。池上遼一さんも今月で80歳を迎えますが、皆さんお元気でい続けて欲しいです。
DOUBLE HELIX BLOSSOM
コロコロ発SF少女バディアクション #1巻応援
DOUBLE HELIX BLOSSOM
兎来栄寿
兎来栄寿
女の子同士のバディものは古来から名作が多いと相場が決まっています。そして、ちょっと啀み合っているくらいがちょうどいい。そう思う方には、うってつけの作品です。 コールドスリープから目覚めると、自分がいた2020年代から60年経った2080年代の東京にいた東雲菊。その時代では通称「特能」と呼ばれる外部神経を体外に伸ばしてコントロールする超能力が極一部の人間に発現しており、法規制されているものの犯罪が後を絶たない状況に。悪化する治安を食い止めるべく、民間企業に警察の業務が委託され「民警」と言われる民間警察が普及しているという世界設定です。 菊の相棒となるのが、菊のことを「おばあちゃん」と呼ぶ16歳の月下香(つきさがりきょう)。世界で唯一の「クラス9」の特能使いで、大量殺人を行った凶悪犯罪者です。地雷がどこに埋まっているかもわからず、何かあると菊も殺そうとすらする危う過ぎる人物なので緊張感もありながら、その中で発生するコミュニケーションに面白さがあるコンビです。 時代によって失われた誰かを守るために真っ直ぐであろうとする価値観を持ち続けて戦場で駆ける菊。そんな菊の在り方に、ときに苛つきときに戸惑いながらも少しずつ距離を縮めていく様子が良いです。 コロコロレーベルということで対象年齢はやや低めに作られていますが、子供のころからこうした良質なバディものに触れられたなら素敵な大人に育っていくだろうなと思わずにはいられない作品です。
東遊高校の日々
変人奇人たくさんの高校コメディ #1巻応援
東遊高校の日々
兎来栄寿
兎来栄寿
みなさんの学校では先生はどんなあだ名で呼ばれていましたか? 私の学校の先生方は「極道」、「ソルジャークラス1st」、「化身」(いずれも女性の先生)などと呼ばれ親しまれていました。そんな懐かしい記憶を呼び起こしてくれたのが、この愉快な4コママンガでした。 生徒も先生もキャラがとにかく濃い東遊高校を舞台に繰り広げられる学園コメディで、ギャグ色強めのラブコメ成分も多めに含まれています。 バレエをやっていたものの背が伸び過ぎてモデルをやっており、同じ事務所に所属する超美形の恋人もいるものの、独特の感性を持った美人ゾーィ。 人間観察が趣味で、茶道部に入って「頂上(てっぺん)」を取ろうとしている、自分の容姿に自信がありすぎる鈴音。 身長は低いもののラグビー部で活躍する、優しいけど鈍い、いつも笑顔でスマイル王子と呼ばれている鍛冶。 中学時代から鍛冶を慕いストーカー化しているが自覚に乏しい怜。 そんな怜への気持ちに徐々に自覚的になっていく、この作品の中では常識人寄りで清涼剤のような存在の小川。 おとなしいメガネ文学少女的な外見で、バイオレンスアクション小説を書いている青山さん。 10年間「とび森」をやりこみ続け公共事業をコンプリートしている斉木。 ミステリアスな美人だが、目を開けたまま眠ることができ、鍵開けが得意で、男子ふたりのかけあいに妄想を昂らせる五十嵐さん。 他にも、書ききれないほどたくさんの個性的なキャラクターたちが登場します。 教師のあだ名も「アンドロイド」、「板長」、「アガペー」など特徴的で、それだけで日々の賑やかさが伝わってきます。倫理教師のあだ名がアガペーになるところ、好きです。 それぞれのキャラクターたちが複雑に関係し合って織りなされる群像劇は実際の学校生活さながらで、その中で萌芽を見せるいくつかのラブの部分も見どころとなっています。ラブらないところも、それはそれでまた良く。 私はこういった耽美な絵柄で描かれるエキセントリックなギャグが大好きです。同じ趣味の方、変な人間が好きな方にオススメです。
空の音色
心が晴れやかに澄み渡る音がする #1巻応援
空の音色
兎来栄寿
兎来栄寿
『姫ちゃんのリボン』で一世を風靡した水沢めぐみさんも、昨年で還暦を迎えられたという事実に隔世の感があります。私が生まれる前からずっとマンガを描き続けられている水沢さんですが、未だに作品には優しさや瑞々しさが溢れており敬服するばかりです。 『空の音色』、どうしたって『空色のメロディ』を思い出さずにはいられないタイトルですが、内容は異なります。 漫画家として10年目を迎えるものの直近はぱっとせず行き詰まりを感じていた主人公・花音(29)。ある日、姉夫婦が事故で他界し5歳の姪・音色を引き取って育てることに。仕事や恋愛も大変な渦中で、さらにまったくの未経験である子育てが加わりてんてこ舞いになる花音の奮闘の日々が描かれていきます。 身内が亡くなったことを悼む暇もなく、忙しない上に神経を使い続けなければならない日々の到来。父と母がなくなったという事実すら受け止めきれていない5歳児との向き合い方の難しさが伝わってきます。 お弁当の中では特にたまごやきが好きだという音色のために、たまごやき入りのお弁当を作って持たせるものの残され続けてしまい、些細なことであると頭では理解しながらも心にダメージを負って荒んでいってしまうさまなどはリアリティがありました。子供に悪気はまったくなくても、削られてしまいますよね。 ただ、そうした辛さや大変さを乗り越えて、道端の何気ない風景をゆっくりと眺めながらふたりが段々と距離を縮め家族となっていく描写の暖かさには心をほぐされます。 彼氏がまたダメな男で無神経に人の心を削ってくるのですが、幸いにして友人には恵まれており多香ちゃんのような子が側にいてくれるのはありがたいことだなぁと思います。 かわいくて読みやすい絵柄と水沢めぐみさんらしいハートフルさは、本作でも十二分に堪能できます。ファンの方はもちろん、そうでない方もここから水沢めぐみさんの世界に入るのも良いでしょう。
ワンショットロマンス
6つの青春恋愛短編 #1巻応援
ワンショットロマンス
兎来栄寿
兎来栄寿
『やっと君とめぐり逢えたんだ』、『そんなことより今すぐあそぼ!』、また『マーガレット』にて新連載の「かいじゅうの花束」も始まっている雨花深衣さんによる恋愛短編集です。 本書ではフレッシュな高校生たちによる6つの物語が繰り広げられます。それぞれ簡単に紹介していきましょう。 「瞳のシャッターを押して」 負けず嫌いな性格の詩穂が、高校入学直後に成田先輩に煽られて写真部に入るお話。 詩穂の真っ直ぐで気取らない性格が良いです。そのせいで証明写真が酷いことになっているのも含めて好きです。 「オン ユア マーク」 陸上部で″魔女″の異名を持つ高2の一夏と、保健室の宮城先生に恋するエース大樹のお話。 最後の方の一夏のセリフがとても好きです。こういうの、こういうのが良いんですよ。 「君のこころ」 バスケ部2年の龍二が、隣のクラスの小田原さんはもしかしたら自分に気があるのでは? と思い悩むお話。 皆さんも経験ありますでしょうか。年頃の子は、さり気ない一言や一挙手一投足にさまざまな想像を巡らせてしまうらものですよね。それが勘違いだとしたら恥ずかしいし、勘違いでなかったらそれはそれで大変なのですけど。 「エキストラの心がけ」 自分をモブ自認する16歳の栞里が、バスケ部キャプテンのイケメンを″推し″として強火でファン活動していくお話。 ″神様と付き合いたいとか思う!?″ という言説は、推し活と恋愛の差、より宗教に近い推しへの感情が明瞭に表されていて好きです。 「ふたりで帰ろう」 乃木坂にいそうと頻繁に言われる人気者の美憂が、中1からずっと同じクラスで同じ地元ながら自分を嫌っている青山がいるバスケ部のマネージャーになるお話。 「エキストラの心がけ」と同じバスケ部の物語です。嫌われている所から始まる関係や、メガネ男子が好きな人に刺さるであろう一篇です。 「あの子の元カレ」 友人の千果が、彼氏の高槻くんを差し置いて別の男子と両思いになってしまった報告に付き合わさせられる友理葉のお話。 あまりにあっさりと引き下がってくれた高槻くんの真意がどこにあるのか。それを探る途中でちょくちょく出てくる変顔が好きです。 すべて独立した1話完結のお話たちですが、うっすらとお話とお話の間の関係もあって1冊として読むとまたより楽しめます。 決めシーンの表情の描き方など、雨花深衣さんの絵の魅力も作品を盛り立てています。 真っ直ぐ過ぎず、かといって拗らせ過ぎず。ちょうどいい塩梅のさまざまな青春の光耀を浴びることのできる短編集です。サクッと読める良い恋愛少女マンガはないかとお探しの方にオススメです。
群青のカルテ
精神科医の娘が自殺しかけた理由とは #1巻応援
群青のカルテ
兎来栄寿
兎来栄寿
『37.5℃の涙』の椎名チカさんの新作は、精神科医。 精神科医の夏島凛子(35)は、離婚して娘・悠里(15)の親権を持つ女性。悠里は父親との板挟みには遭っていながらも特に大きな問題なく学校生活を送っていると思っていたある日、悠里が突然ベランダから飛び降り自殺未遂を図り、気がつくと悠里の体に意識が入れ替わってしまったというサスペンスミステリです。 4月の新入シーズンで退職代行も話題ですが、名の知れた大企業のブラックさが露わになることもいまだに日々起きている昨今。本作でも1話からブラック企業で働かされ日々大きなストレスをかけられて病んでしまった女性のケースが取り扱われますが、さまざまな精神科の患者、また精神科に行くべき症状を持つ人の様子も描かれていきます。 実際に精神科医による医療監修も入れて描かれているということで、ケアが必要な人に対しての診断やかける言葉などは本格的です。 「もっと精神病患者が増えればいい」 と『Shrink(シュリンク)~精神科医ヨワイ~』でも言われていましたが、まさにその最初に行くときのハードルの高さ的な部分が描かれています。精神科に行くという行為自体が特別で恥ずべきもの的な意識がある方も多いかもしれませんが、作中のあるキャラクターのように「これは治るもの」という意識を持ててもっと気軽に病院に行くという選択肢が取れるようになれば良いと思いますし、そういう社会を形成していくことを助けてくれる作品です。 友人や知人にも仕事や人間関係の問題で心を悩ませて苦しんでいる人は多いですが、人の心があまりにも軽視され蹂躙されることもある社会で、どうか何より大切な命や心が脅かされすぎないようにして欲しいです。 悠里に何があったのかという物語の根幹の謎が強い引きとして作用しながら、個々のエピソードで人の心の動きに寄り添ってくれる部分が多々ある今の時代に価値を放つ物語です。
ふくふくまんぷく
江戸×人情×料理 #1巻応援
ふくふくまんぷく
兎来栄寿
兎来栄寿
歴史に詳しくなくても楽しめる、心温まる人情グルメマンガです。 江戸後期、文化文政の時代を舞台にした料理人の娘である「ふく」が主人公の物語。母親を亡くして家のことも父の手伝いも率先してこなす健気な偉い子です。彼女が最も興味を示すのは料理。料理本を読み漁って読み書きを覚えてしまったほど、料理にのめりこんで育ちました。 元々は殿様にも仕えて料理を作っていて、 ″お殿様でも棒手振りでも うまいうまいと毎日笑って飯が食えりゃァ それが一番幸せよ たった4文の串にだってそんな力はあるのさ″ という尊敬できる父親と何年も休みなく働いて、遂に念願の料理店を居抜きで開業したものの、宣伝が足りず閑古鳥が鳴き父親は急逝。 ふくは残った借金のカタとして、料理茶屋という名目で女の子たちが男性を接待する店で働かされることになっていきます。 なかなか逆境の多い人生ですが、父親譲りの技術と人を喜ばせたいという想いで料理を作れるふくが、さまざまな人の心を動かす料理を作っていくさまにはカタルシスがあります。始めは偏屈だった人も、ふくの作ったものを頬張った瞬間にそれまでにない表情を見せるのが痛快です。 巻末の参考文献の多さからも解るように、江戸の風俗や食文化を丹念に研究して描いているのが伝わってきます。実際に現代でも手に入る食材を使った料理の数々は、シズル感が強くて幕間ではレシピもマンガで描かれているので実際に作って食べてみたくなります。口の中でしゅわしゅわ溶けると評される霰豆腐など、いいですね。 また、一方で人間ドラマとしての魅力も大きい作品です。食べることは生きること。人が食をきっかけに生きる力を得るシーンもたくさん描かれていて、読んでいるだけでも胸が一杯になります。五話のエピソードなど、特に好きです。 タイトル通り、読むと福を得られた気分になれる作品です。時代的には女性が料理人をやるのには数々の困難があると思いますが、すべて乗り越えていってたくさんの人をますます笑顔にしていく料理を作っていくさまを見続けたいです。
さうのあっ!
きらら発JK×サウナマンガ! #1巻応援
さうのあっ!
兎来栄寿
兎来栄寿
世は大サウナブームです。子供のころは熱いだけで一体何が良いのかまったくわからなかったサウナ。しかし、気付けばいつの間にか私も同年代の方々も30代くらいからみなサウナの虜になっています。しきじにもDESSEにも足を運びました。これが加齢……もとい歳を重ねるということでしょうか。 ところで、マンガ界の鉄板といえば「美少女」と「おっさんの好きなもの」の掛け合わせ。故に、こうした作品が出てくるのも時代が生んだ必然と言えましょう。 今までも「美少女×お風呂」というマンガはいくつかありましたが、完全にサウナに特化した「美少女×サウナ」マンガの真打がきららから登場しました。その名も『さうのあっ!』。フィンランド語にある「サウナに入る」という意味の動詞だそうです。 ゲームや動画鑑賞が大好きで、その時間を削られるお風呂は嫌いで数日に1回しか入らない景山こかげ。 フィンランドからやってきて銭湯に居候しているサウナ大好き少女のリューディア・アラヤ。 クラスの委員長でサウナ知識を語り出すと早口になる清水芹香。 ひとりだけ他クラスで、スーパー銭湯の娘でお嬢様口調の高野槇。 4人の高校1年生たちを中心とした、サウナコメディ4コマとなっています。 ・サウナの効用 ・交互浴の基礎 ・ととのうとは ・フィンランドのサウナと日本のサウナの違い ・アウフグースやヴィヒタについて ・野外でのテントサウナ などなどについて、サウナ初心者であるどころか、そもそもお風呂に入る時間ももったいないという主人公のこかげの視点からサウナに関する知識を0から学んでいくことができる内容となっています。 サウナ後はオロポも良いですが、作中で紹介されるフィンランドコーヒーも飲んでみたいです。その際の「飲料を提供する場合は保健所の許可や手洗い設備などの設置が必要〜」という件からは、昨今の情勢を鑑みた細かい配慮を感じました。 シンプルにキャラクターたちがかわいく、きららジャンプをしているところなどもあり、青春の1ページが楽しく描かれています。 「怪我人の救急搬送」 「歩きスマホに注意のポスターみたいですわ」 など、ちょくちょく挟まれるツッコミにもセンスを感じるものが多くクスッとします。専門知識ネタに偏りすぎることもなく、しっかりとツボを押さえながらメインテーマをバランス良く描いている作品です。 最近はなんだかんだ若い女性でもサウナ好きが増えていますが、この作品がアニメ化されて更なるサウナブームが起こったらますます老若男女問わずサウナに入るようになる世界が訪れるかもしれませんね。元々日本人はお風呂好きですし、それによって健康が増進されていったら良いことだと思います。
このかいしゃにすきなひとがいます
この会社に好きな人がいます 1巻
この会社に好きな人がいます 2巻
この会社に好きな人がいます 3巻
この会社に好きな人がいます 4巻
この会社に好きな人がいます 5巻
この会社に好きな人がいます 6巻
この会社に好きな人がいます 7巻
この会社に好きな人がいます 8巻
この会社に好きな人がいます 9巻
この会社に好きな人がいます 10巻
この会社に好きな人がいます 11巻
この会社に好きな人がいます 12巻
この会社に好きな人がいます 13巻
この会社に好きな人がいます 14巻
この会社に好きな人がいます 15巻
ストアに行く
本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
ドラマな恋は基本から

ドラマな恋は基本から

「35歳独身、彼女なし、実家暮らし」の平凡なサラリーマン・悠木慎史。独りで生きる未来に不安があるけれど、恋愛経験は少ないし婚活も怖い――。そんな悠木が、とあるアクシデントで医師・伴瑛理子と出会い、人生がひっくり返る「想像以上の恋」に落ちる!  大ヒット社会人恋愛漫画『この会社に好きな人がいます』の榎本あかまるが贈る、ミドサーから始める恋愛トレーニング!!
たべものけもの

たべものけもの

しぼんだ心を癒す、不思議なたべもの動物爆誕!? 母親とふたりで暮らす小花(6歳)。とても聞き分けがよく、お母さんの前では明るい少女だが、ひとりぼっちになると寂しさがこみあげてきて…!! そんな小花の前に突然たまご型のうさぎが現れた!? 見た事もない生物に戸惑いつつも、大切な事をたべものけものたちから学んでいく。ヘンテコだけど癒される、新感覚ペット漫画登場!!
文野さんの文具な日常

文野さんの文具な日常

離れ小島の二人席。牧田主任のとなりには、鉄壁対応で恐れられる新入社員の文野さんがいる。しかし、彼女には懐かしい文具で遊ぶ趣味があり…。文具×OLコメディ開幕♪ 1巻収録の文具たち→「ロケット鉛筆」「まとまるくん」「多機能筆箱」「スーパーカー消しゴム」「BOXYボールペン」「ぺんてるくれよん」「かみつきばあちゃん消しゴム」「ジャポニカ学習帳」「デザイン定規」「カラーペン」「チェックセット」「ミニ四駆レースえんぴつ」
宇宙兄弟

宇宙兄弟

2025年。兄は、もう一度だけ自分を信じた。筑波経由火星行きの物語がはじまる!本格兄弟宇宙漫画発進!幼少時代、星空を眺めながら約束を交わした兄・六太と弟・日々人。2025年、弟は約束どおり宇宙飛行士となり、月面の第1次長期滞在クルーの一員となっていた。一方、会社をクビになり、無職の兄・六太。弟からの1通のメールで、兄は再び宇宙を目指しはじめる!
SPY×FAMILY

SPY×FAMILY

名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った“娘”は心を読む超能力者! “妻”は暗殺者で!? 互いに正体を隠した仮初め家族が、受験と世界の危機に立ち向かう痛快ホームコメディ!!
ゴルゴ13

ゴルゴ13

すべてが謎に包まれている男・ゴルゴ13。フィクションの背後に光る恐るべき事実……ゴルゴ13が放つ銃弾の軌跡が、世界の濁流の行方を左右する!!英国諜報部は、大戦末期に莫大な偽札を隠匿した元ナチの親衛隊長を消すためにゴルゴ13を雇った。要塞化した城で待っていたものは!?
BLUE GIANT

BLUE GIANT

ジャズに心打たれた高校3年生の宮本大は、川原でサックスを独り吹き続けている。雨の日も猛暑の日も毎日毎晩、何年も。「世界一のジャズプレーヤーになる…!!」努力、才能、信念、環境、運…何が必要なのか。無謀とも言える目標に、真摯に正面から向かい合う物語は仙台、広瀬川から始まる。
違国日記

違国日記

【電子限定!雑誌掲載時のカラー原画を特別収録!】35歳、少女小説家。(亡き母の妹) 15歳、女子中学生。(姉の遺児) 女王と子犬は2人暮らし。少女小説家の高代槙生(こうだいまきお)(35)は姉夫婦の葬式で遺児の・朝(あさ)(15)が親戚間をたらい回しにされているのを見過ごせず、勢いで引き取ることにした。しかし姪を連れ帰ったものの、翌日には我に返り、持ち前の人見知りが発動。槙生は、誰かと暮らすのには不向きな自分の性格を忘れていた……。対する朝は、人見知りもなく、“大人らしくない大人”・槙生との暮らしをもの珍しくも素直に受け止めていく。不器用人間と子犬のような姪がおくる年の差同居譚、手さぐり暮らしの第1巻!
【推しの子】

【推しの子】

「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」 地方都市で、産婦人科医として働くゴロー。芸能界とは無縁の日々。一方、彼の“推し”のアイドル・星野アイは、スターダムを上り始めていた。そんな二人が“最悪”の出会いを果たし、運命が動き出す…!? “赤坂アカ×横槍メンゴ”の豪華タッグが全く新しい切り口で“芸能界”を描く衝撃作開幕!!
BLUE GIANT SUPREME

BLUE GIANT SUPREME

止まるわけにはいかない宮本大は、単身ヨーロッパに渡る。降り立ったのはドイツ・ミュンヘン。伝手も知人もなく、ドイツ語も知らず、テナーサックスと強い志があるだけだ。「世界一のジャズプレーヤーになる…!!」練習できる場を探すところから始まる挑戦。大の音は、欧州でも響くのか―――
娘の友達

娘の友達

家庭では「父親」として、会社では「係長」として、「理想的な自分」を演じるように生きてきた主人公・晃介。だが、娘の友達である美少女・古都との出会いにより、彼の人生は180度変化する。社会的には「決して抱いてはいけない感情」に支配されながらも、古都の前では自己を開放でき、社会の中で疲弊した心は癒やされていく……。「社会」のために「自己」を殺す現代社会へ鋭く切り込む、背徳のサスペンスが幕を開ける。
女の園の星

女の園の星

【電子限定!描き下ろし特典ペーパー収録】「声を出して笑った」の声、続出!!! 漫画賞総ナメ『夢中さ、きみに。』の和山やま初連載! ある女子校、2年4組担任・星先生。生徒たちが学級日誌で繰り広げる絵しりとりに翻弄され、教室で犬のお世話をし、漫画家志望の生徒にアドバイス。時には同僚と飲みに行く…。な~んてことない日常が、なぜこんなにも笑えて愛おしいんでしょう!? どんな時もあなたを笑わせる未体験マンガ、お確かめあれ! 電子版にも本体表紙を収録!
SPY×FAMILY

SPY×FAMILY

名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った“娘”は心を読む超能力者! “妻”は暗殺者で!? 互いに正体を隠した仮初め家族が、受験と世界の危機に立ち向かう痛快ホームコメディ!!
推しが武道館いってくれたら死ぬ

推しが武道館いってくれたら死ぬ

岡山県で活動するマイナー地下アイドル【ChamJam】の、内気で人見知りな人気最下位メンバー【舞菜(まいな)】に人生すべてを捧げて応援する熱狂的ファンがいる。収入は推しに貢ぐので、自分は高校時代の赤ジャージ。愛しすぎてライブ中に鼻血ブーする…伝説の女【えりぴよ】さん! 舞菜が武道館のステージに立つ日まで…えりぴよの全身全霊傾けたドルヲタ活動は続くっ! 『まんがの作り方』の平尾アウリ、待望の最新作!!
ゴールデンカムイ

ゴールデンカムイ

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!
柔道部物語

柔道部物語

俺は三五十五(さんご・じゅうご)。高校に入学したばかりで何も知らない俺は、先輩たちの甘い言葉に乗せられて柔道部に入ることにした。ところが、入部したとたん、先輩たちの態度が豹変。シゴキはあるわ、坊主頭にさせられるわ、もちろん女の子との交流会なんて真っ赤なウソ。でも、一度やると決めた柔道だ。強くなってみせるぞ――!!読み出したら止まらない!!珠玉の本格柔道コメディ、第1巻!!
魔界の主役は我々だ!

魔界の主役は我々だ!

悪魔学校バビルスに入学した野心家の悪魔・シャオロン。怪しい師団からの勧誘、使い魔召喚、飛行試験など彼を待ち受ける試練の数々…。果たして彼は、特待生・入間くんよりも目立つことはできるのか!? 大人気、動画製作グループ「○○の主役は我々だ!」全面協力の夢のコラボコミック!! 悪魔学校バビルスで紡がれる、もう一つの物語。珠玉のサイドストーリーである!!
ひたすら甘いイチャラブを摂取したいあなたへにコメントする