私のアリカ 藤沢もやし 隈屑
「ただそれだけの話です」
兄の嫁と暮らしています。 くずしろ
一巻無料でなんとなく読んだら、なにこれ、すごくおもしろい。
あはは、でなくて、興味深いほうのおもしろさ。
帰宅した主人公。
玄関を開けて出てきた美人さんに対して主人公のモノローグ。
――嫁です。
ページをめくって、追加モノローグ。
――兄の嫁です。
この流れに、グッと心を持っていかれた。
その前に兄が死んだ話をされている。
それでも兄の嫁と、兄との思い出を語り合いつつ暮らしている。
――両親は昔 死んで 兄も半年前に死んで
――今は 兄の嫁と 暮らしています
――ただ それだけの話です
主人公のモノローグはたんたんとしている。
なんてことない日常が綴られているのに、少し歪な関係が加わるせいで、相手を利用していると罪悪感が端々からこぼれてしまう。
幸せそうにしているのに、どこかうまくいってない。
うまくいってるように思えると、出てくる亡くなった兄の影。
ふたりとも、喪失感を受け入れないといけない。
一巻まで読んだところだと、幸せな日常に見えてどこか欠けていてつらい。
あらすじに「日常センシティブストーリー」と聞き慣れない単語があるのは、この気持ちをあらわしているんだろうか。
友人が面白いと言ってたのを思い出したので試しに一巻読んでみました。
なんとも絶妙な関係!
兄が実は真ん中にいるのに、もういないので姿は出てこないんですね。
兄の嫁と妹という普通だったら気まずそうな関係、だけどもう他人では無い家族になるしか無い関係。
内容は日常なのに普通ではちょっと想像しにくい関係性です。
兄の嫁おっとりしてるのにちょっと蘊蓄あるのいい。
友人には読んだよと言ってないですが、ここで面白かったと記しておきます。