5.0
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あくまでもこの作品はホラーとかミステリーの類で、クリーチャーやモンスターを見る感覚で楽しむのがいいと思います。
いいとは思うんですが、こういう人って実際にいるんだよなあ……という現実が余韻となって襲ってきます。
人気エッセイスト・中井ルミンのオンラインサロンには悩みを抱えた多くの人たちが集まります。
「みんなで幸せになろう」を合言葉に、おっとりとした口調とあたたかい言葉で人々を照らす彼女。
学生時代にクラスであったいじめや、執拗なファンに誹謗中傷されたことなど、自身の辛い経験を糧としながら人のために前を向く彼女。
たしかに魅力的だけどなんかもやもやする……と思って読み進めていくと、徐々にその違和感の正体が明かされていきます。
中井ルミンを暴く側の視点だけでなく、中井ルミン視点も描かれているのがこの作品の面白いところです。
誰も嘘をついているつもりがないから救いようがないし、まともな人間は心折れて立ち去るしかないのだなと思い知らされます。
相手は化け物なんだから逃げるしかないと思えればいいけれど、逃げるしかないと気づいた時にはもう遅い。
月並みな言葉だけど、お化けより何より人間がいちばん怖いと思い知らされる作品でした。