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新年早々ものすごい読み切りを読んでしまって感動してます。
「大きな数(意味深)」が頭の上に浮かんでいるクラスメイトの地味で暗い女の子と親密になっていく様子が描かれた、重松清の小説のような繊細なジュブナイル作品。
夫婦円満な両親のもとに生まれ、一軒家に自分の部屋と学習机を与えられ、夏休みには男女6人でプールに行く予定がある平均より少し恵まれた男の子・瀬戸。
お母さんの交際相手のタバコを一本だけとって、声を聞かなくて済むよう公園で時間を潰している女の子・鈴本さん。
ある日突然、瀬戸が人々の頭の上に「タバコを吸った本数」が見えるようになったことで、鈴本さんの数の理由を知るために鈴本さんに接近する…というあらすじ。
スマホも電話もないなかで、公衆電話からワン切りして意外と頻繁に瀬戸に連絡する鈴本さん。
仲のいい友達とは話さないことを鈴本さんとなら話せる瀬戸。
息子が頻繁に夜中に抜け出してることに気づきながら、お母さんには内緒で見守ってくれるお父さん。
その人が持ついろんな顔が少しずつ見えるのが物語に奥行きを出していてすごく好きですし、丁寧で生活感のある背景描写のお陰で、2人が生きる中学生の世界をリアルに感じられるところもたまりません。
そして何より、「思春期とタバコ」という切っても切り離せない関係を真正面から描ける・描かせてくれるジャンプ+すごいなという気持ちでいっぱいです。
家庭と学校という狭い世界のなかに閉じ込められ抑圧され苦しい思いをしている子供には、規範を破り軛から解放されている僅かな時間が大事な安らぎになります。
「未成年(やそう見える人物)がタバコを吸う描写があるからNG」などのように思考停止したガイドラインではなく、この作品が何を描きたいのかを真に理解したうえで許可を出してくれる編集部には感謝しかありません。
もうほんと最高すぎるなあ…最高すぎる。
両先生にはコンビでこういう中高生のお話もっとたくさん描いてほしい…!そして短編集にして売って下さいお願いします。
供給に飢えて重松作品を読んで生きながらえようかなという気持ちにすらなってるので、ガチでお願いします。