泥濘の食卓 伊奈子
単行本(電子書籍)5巻の女性と男性は…
両親の教えにより自己肯定感皆無な主人公。
彼女がバイト先のスーパーの店長と不倫をし、その店長の息子から好意をもたれ、その息子にも好意というか狂気じみた愛情(ストーカーっぽい感じ)で接してくる幼馴染みがいる。
そして、店長の奥さんは鬱病で家庭にも問題がある状況。
もうこの時点でお腹いっぱいなほど、こってりした人間関係なんですが、どれも目が離せなくてグイグイ読ませてくれます。
とりわけ主人公が、上述のように自己肯定感皆無だから、色々トリッキーな動きをします。
スーパーのバイトを辞めて、カウンセリングまがいなことをはじめて、店長の奥さんに接近します。
接近して何するかといえば、奥さんを治そうとする。
店長に幸せになって欲しい一心で、家族を助けようとする。
普通、不倫関係の相手の家庭がボロボロだったら、そこに付けこんで奪いにいくもんですが、治す方向にいく。
この斜め上をいく行動に、どこか狂気すら感じます。
店長の息子・ハルキに好意を持たれ、彼に好意を寄せる幼馴染み・みふゆとの複雑な関係も、物語を面白くしてくれます。
特に二人共、店長との不貞を知っており、それをネタにかき回していく感じがゾクゾクします。
ただの泥沼不倫劇以上の奥行きをみせてくれて、まだ3巻ですが、どの方向にいくのか今後も予想がつかず楽しみな作品です。