8月31日のロングサマー 伊藤一角
ちょっとでもマシな生き方を選ぶ
ダーウィン事変 うめざわしゅん
もっとポップなヒーローコメディかと思って読み始めたら全然違いました。
聖者じゃなければ凡人もシリアルキラーも一緒だとは思わないだろう、とか、キャベツやアリが痛みを感じるかはわからなくても牛が痛みを感じるのは明確だろう、とか、セリフが非常に印象に残りました。今よりちょっとでもマシな生き方を選ぶという考え方から目を背けちゃいけない。
チャーリーの淡々としたスタンスにとても勇気をもらえます。
こりゃー事変だ。
3巻まで一気に読了。
すごい漫画だ、そしてすごくアメリカだなぁとつくづく感じる。
かといってこの題材で日本だと現実味はないとわかっててアメリカなんだろう、想像してみりゃわかる自然さと、リアルすぎる文化が入り交ざっている。
どうなっていくんだろう、どうするんだろうという期待も含め、これまで自分の読んできた短い名作たちと同じ短めな物語になってしまうのを想像してしまう。
ただ、自分の感覚ではこの時点ですでに名作だ。
自由の国では何を主張してもいい、みたいな風潮はあるけど主張したことで起こるその後の事については誰も守ってなんかくれない。
例えば(この漫画でも序盤に話題に出てくるが)私はヴィーガンはある種の宗教のようなところがあると思うけど、多数の人が集まるとそうなってしまうもんなんだろう。
ヒューマンジーであるチャーリーは唯一無二だが、この世界において生を受けたという意味ではただの一人でしかない。ONEであることはひどく難しい、というのがよくわかる。
なんか色々言いたくなる漫画でもあるなー、とにかくすごい漫画。
単行本派なので次号で終わってしまいそうな心配も少しあれど、それはそれで仕方ないとも思う。
うめざわしゅん先生の知識や想像力がいかんなく発揮されているので、この後の目を瞠る展開を楽しみに待ちたい。