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殺人犯の正体

正体は言い過ぎ

殺人犯の正体 鍋島雅治 岩田和久
hysysk
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実際にあった残虐な事件の内容や、それに至る流れが描かれている。正体と言うのであれば事件前後の部分にもっと焦点を当てて欲しかった。情状酌量の余地がない犯人もいれば、社会の構造が生み出したとも思える犯人もいて、やり切れない気持ちになる。 第一話の一家支配解体殺人事件は『闇金ウシジマくん』の「洗脳くん」編のモデルにもなった事件。これと第二話の愛犬家連続殺人事件に関しては巻き込まれて加害者側になってしまった人が不幸過ぎる。とにかく悪い人間に目をつけられると自分も加害者になってしまう可能性があると思うと怖い。道徳だけではどうにもできない。 第八話のホームレス襲撃事件もひどい話だが、これだけで「今そうした子どもたちが確実に増殖している」という結論になるのは違和感を覚えた(ここ20年くらいで少年犯罪の件数も率も減っている)。 事件がきっかけで法律が変わったほどの話もあり、良くも悪くも人間の想像力の限界を突きつけられる。しかし法律が整ったとしても社会が自動的に規律正しくなる訳ではないし、監視を強めたり、ましてや犯罪を起こしそうな人間を排除することは解決ではないだろう。読後感は悪いが、人間がここまで酷くなれてしまうこと、一体社会がどうなっていれば止められたのかなど、考えるきっかけになると思う。
ふしぎの国のバード

外国人視点の開国後日本

ふしぎの国のバード
ゆゆゆ
ゆゆゆ
原作となるイザベラ・バードの本は読んだことがある。 でもこれほど情景豊かに想像はできなかったし、イザベラ・バード視点のみなので、やはり周辺情報が客観的に描かれる漫画はやはり違う。 絵があると、それがすべて本当のように引っ張られてしまうのが弱点と何かで読んだ。 でも、自分だけの想像力では描ききれない、田舎の恐ろしいほどのノミやその他虫、そして不衛生さ。 それらが日常の様子として描かれ続けているので、漫画とはすごいものだなと思い知らされた。 そもそも、バード女史、よく行ったな。肉もないのに。 また、環境だけでなく、懐からボトルに入れた筆を取り出し記録をしたためる鶴吉の一連の仕草。 大人になったことを誇りに思う女の子の表情。 細やかな当時の人々の日常が、ドラマの何気ないワンシーンのように描かれていて、今は消え失せた文化を知らされる。 ちなみに、ヨーロッパより難儀な雑草が多い日本で、バード女史が農民が勤勉に働き雑草を刈るから「雑草がない」と表現したコマに、フフとなった。 有名な場面ですね。 キリスト教的な倫理観が根付いている現代の我々が、当時の日本へ気軽にトリップできる、すてきな漫画です。
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