小説家・荻原浩が描いた短編漫画集。心温まる話が多くて、とても良い短編集でした。若干の読みにくさもありましたが、全体の情景、時間の流れ方、世界観など、小説家ならではの表現に溢れています。特に表題作は「明日の記憶」を思わせる内容で素晴らしい一遍です。

なぜ小説家が今になって漫画を描くに至ったかは、本の後書きで詳しく語られてますが、気になる方は下記のインタビュー記事を読んでみてください。

2016年に『海の見える理髪店』で直木賞を受賞した荻原浩さんは、60歳で漫画家デビュー。『人生がそんなにも美しいのなら 荻原浩漫画作品集』(集英社)には8編の多様な作品が収められている。漫画は1作…

また、Webで公開されている漫画家・こうの史代先生との特別対談インタビューも読み応えがあります。

“凡人”だから、物語を紡げる。 『人生がそんなにも美しいのなら 荻原浩漫画作品集』刊行記念特別対談 こうの史代×荻原浩【前編】 愉快に笑ったあと、気づくとしんみりする。怖ろしそうなのに、なぜだか胸が温まる。喜びとペーソスに満ちた作品で人気の小説家・荻原浩さんが、60代にして「漫画家」デビュ...

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特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
「ヒロシマのおばちゃん」を読みたくて購入
特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
ひさぴよ
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https://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b110795.html 『漫画が語る戦争 焦土の鎮魂歌』(小学館クリエイティブ)で読んだ曽根富美子の短編「ヒロシマのおばちゃん」が衝撃的だったので、もう一度読みたいと思って電子書籍版を探してたら、この短編集に収録されていた。 「ヒロシマのおばちゃん」以外の短編は、戦争の話というよりちょっと昼ドラっぽい話が多いものの、それでも表題作を読むためだけに買っても損はないと思う。 作品の詳しい時期は分かってないのだが、状況からして1990年代頃の設定と思われる。広島での戦争体験を語り継ぐの”一人のおばちゃん”を通して、戦時中の自身の半生を振り返るところから物語は始まる。巧みな語り口と、曽根先生お得意の、不幸で陰湿な心理描写にグイグイと引き込まれてゆく。そしておばちゃんは不幸のドン底と同時に、原爆の日を迎えるのだが…。 変わり果てた広島の街を、怨念そのものとも言える鬼気迫るタッチで描き出し、一度目にしたら忘れられないような光景がこの漫画にはある。おばちゃんは最後に「あれは地獄だったよ」とだけ語る。と同時に、この出来事が教科書の中のたった数行に収まってほしくない、と願うのだった。 個人的には「はだしのゲン」と同じく、ぜひ読み継がれてほしい戦争漫画の一つだ。

人生がそんなにも美しいのなら 荻原浩漫画作品集

じんせいがそんなにもうつくしいのならおぎわらひろしまんがさくひんしゅう
著者:荻原浩
最新刊:
2020/04/24
じんせいがそんなにもうつくしいのならおぎわらひろしまんがさくひんしゅう
人生がそんなにも美しいのなら 荻原浩漫画作品集
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