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大友克洋は、ダメでダラダラした若者を描く漫画家だったのだ。
それこそが、大友克洋だったのだ。
馬鹿話をしながら延々と麻雀を打ったり、暇で暇でしようがなくて山の中に大麻草を捜しに行ったり、シンナー売ろうとしてヤクザにボコられたり、なんとなく人を殺しちゃったり女を犯そうとしちゃったり、とにかく、ダメでダラダラしたクソみたいに不細工な若者たちを、これでもかと丁寧にヒリヒリと描き出す漫画家だったのだ。
小生意気なガキと、皺くちゃな年寄りを、やけにリアルに描く漫画家でもあった。
そして、「現在の漫画」のすべては「ここ」から始まり、やがて世界を変えてしまったのだ。
奇想天外社版のこの本を読んで自分は、マイルス・デイビスのLP『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』を買った。それが初めて聴いたジャズのアルバムだった。
もう一度言う。
すべては、ここから始まったんだ。