何を隠そう、影絵が趣味さんは、この宗像教授シリーズが大好きで大好きで仕方ありません。「なんでそんなに好きなのか」という問には、とにかく面白いからとしか応えようがないんですが、同じく手塚賞でデビューしていらい盟友として、あるいは切磋琢磨するライバルとして星野之宣と並べられることの多い諸星大二郎、彼のマンガも大好きなんですが、同じ民族学を題材にするマンガ家同士といっても好きの種類がどうも違うような気がするんです。

諸星大二郎はすっとこどっこいといいますか、あの無茶な演出がバカバカしくて好きなんですけど、星野之宣はというと、ひたすら律儀で骨太な演出を淡々と積み重ねてゆく。たぶんそこが好きなんですね。宗像教授シリーズは短編連作としてかなりの巻数を重ねていますが、毎回〃〃もの凄く面白いものを読んだなぁと深い後読感が残るんですけども、何を読んだのかと言われるとアレ? となってしまう。というのは内容が伝綺とか伝説だからなんでしょうけど、読んでいるあいだは律儀で骨太な演出に引き込まれて興奮しながらページを捲ってしまうんですね。これがもの凄い。

諸星大二郎については語ろうと思えばいくらでも語ることができると思うんですが、星野之宣はというとこんなに面白いのに何故か口吃ってしまうようなところがある。これがいつも不思議なんです。ひょっとすると星野のマンガはある種の透明性に達しているのかもしれません。

読みたい
制服ぬすまれた
この突拍子のなさを楽しむ
制服ぬすまれた
影絵が趣味
影絵が趣味
個人的な衿沢世衣子との出会いは『コミックH』にて、原作:よしもとよしとも、作画:衿沢世衣子で発表された『ファミリー・アフェア』という漫画でした。話が好きなのはもちろんですが、コマのほとんどがアクションで構成されているような短編マンガとしては類い稀な躍動感にびっくりして、いまでも大好きなマンガのひとつにこの『ファミリー・アフェア』を挙げることがよくあります。 さて、このアクション的なコマ作りはよしもとよしともの資質でもあったわけですけど、当時のよしもとは衿沢世衣子にもこの資質を見出していたと思います。事実、のちに『ファミリー・アフェア』が収録されることになる単行本デビュー作の『おかえりピアニカ』は年頃の少年少女が描かれる青春群像のような体をなしているんですが、コマ作りはアクションそのものです。アックスでの連載になった『向こう町ガール八景』を経て、『シンプル ノット ローファー』ではアクションとともに絵柄も洗練されてきて、つぎの古地図というテーマを掲げた『ちづかマップ』でプチ・ブレイクを果たします。このテーマの新規性がウケたということがあると思うんですが、『ちづかマップ』においても屋台骨としてマンガを支えているのは、やっぱりアクション的なコマ作りだと思います。もっともこの時期には、アクション的なコマ作りというより、それを血肉にした衿沢世衣子ならではマンガ的呼吸のようなものに変質しているような気がしますけども。 衿沢世衣子のばあい、マンガを作るとき、これこれの話があって、頁がこれだけあるから、こんなふうにコマを割っていこう、みたいな作り方をおそらくしていないのではないかと思うわけです。というよりは、まずは活発なガールズに動いてもらう。それによって何らかのマンガ的事件が生じて、それに対してさらに活発なガールズが動きまわり、二転三転あって、当初からぼんやり思い描いていたこんなコマを描きたいという山場にのぼって、おりゃっと力業でフィニッシュする。有り体に言えば「ドタバタ」ということになるんでしょうけど、もっと力が入っているところは入っているし、抜けているところは抜けているし、「ドタバタ」よりも自然体でプリミティブな何か、強いて言うなら「ドタバタかわいい」とでもいうような何かが衿沢世衣子にはあるような気がします。 『うちのクラスの女子がヤバい』はタイトルからしてとても良く、衿沢世衣子の「ドタバタかわいい」さが全面に出ていると思います。そして、『制服ぬすまれた』これもまずタイトルがとても良い。このタイトルにこの表紙に、我が意を得たりって感じではないですかね。1ページ目をひらいてみれば、いきなり、まさにいきなりですよ、アイドルの衣装のようなフリフリの服を着ているガールがベンチにぽつんと座っている。もはや、ガールズに敢えて動いてもらわなくても、そこにガールズをぽつんと座らせておくだけで、コマがざわざわと躍動してしまう。この突拍子のなさ、これだけでこのマンガの楽しさは保障されたも同然だと思います。『制服ぬすまれた』という幾分かセンセーショナルなタイトルをアイドルのようなフリフリな衣装で軽~く飛び越えてしまう。で、行きずりの女性とフリフリの衣装で制服捜索に入るわけですけど、フリフリの衣装で校内を歩かせるだけでもうコマが躍動してしまうんですね。 あと、とっても好きなセリフがありました! 「私も 今日は自主練するつもりはなかったんです  でも なんか昨日の夜 燃えるボクサーの映画観ちゃって いてもたってもいられなくなって……」
ペコロスの母に会いに行く
ペコロスの母に会いに行った
ペコロスの母に会いに行く
影絵が趣味
影絵が趣味
森崎東の追悼特集に通っている日々であります。森崎東というのは『ペコロスの母に会いに行く』を遺作にして亡くなった映画監督で、彼の撮る映画、これがまたとんでもない! 館内は幕開けから幕下りまで老若男女の笑い声に包まれるんですけど、これがしだいに笑い声と咽び泣きとが入り混じるようになる。みんなあんなに大笑いしていたのに、幕が下りて明るくなると、みんなくしゃくしゃに泣き崩れた顔を覆いながらそそくさと館をあとにするんですね。人前で泣くのは恥ずかしいですから、ピンと気合いを入れて嗚咽しそうになるのを抑えているんですけど、溢れた涙がどんどん顔をつたっていく。こんなご時世ですからマスクが涙でびしょ濡れになって、呼吸をするごとにぴたぴたと顔にひっついてきて堪ったもんじゃありません。 今回の特集は22タイトルもあり、その中には当然遺作のペコロスも入っているんですけど、まあ、22タイトルもありますから、ペコロスは公開時にも観に行っているし、ソフト化もされているから今回は観なくていいだろうと思っていたんです。 ところが、ある夜、感慨に耽りながら家に帰ってきて、名残り惜しさにユーチューブで予告編なんかを観ようとするわけですけど、森崎東の映画はほとんどがソフト化されていませんからユーチューブにも動画がほとんどないわけです。それで致し方なくペコロスの予告編をうっかり観てしまったのが時の運、館内で涙を堪えていた分、色んなものが一気に溢れでてしまって、もう嗚咽が止まらくて止まらなくてどうしましょう! そのときペコロスさんは黒い帽子を被っているんですけど、呆けたお母さんは息子を悪い人だと勘違いする。それでペコロスさんが帽子をとってハゲた頭をお母さんに見せつける。そのハゲ頭でお母さんは息子のことを認識してベタベタとハゲ頭を撫でまわす。笑えるんですけど、なんか同時に涙が止まらなくなるんです。この予告編にやられてしまって本編も観に行くことに決めたというわけです。 平日の最終回でしたから、観客はそんなに多くなくて、たぶん30人くらい。でも、主にハゲネタを中心に30人がずっと笑いっぱなしで、しかも、じぶんの座席から見えるほかのお客さんの半分くらいの後頭部が同じようにハゲあがっていて、それがとても愛おしいんです。 映画の時間が進むにつれて、お母さんの呆けも進行する。ついにはハゲ頭を見せてもペコロスさんは自分のことを息子と認識してもらえなくなる。また知らない人が来たといって暴れるんです。そのとき鎮静剤で眠ったお母さんの姿を、ペコロスさんはあの丸みのある愛らしいペンタッチで描いていく。このあたりから涙事情は相当にやばいわけです。お母さんの部屋の壁にペコロスさんのお母さんの絵がだんだん増えていく。よく撮られていたのは「母ちゃんいつもありがとう! 忘れてもよかけん、ずっと元気で!」という言葉の添えられたお母さんがピースしている絵。もうマスクが顔にぴたぴたひっついてきて堪ったもんじゃありません。 この時点ではお母さんを演じている赤木春恵とペコロスさんの絵がじつはそんなに似ていないことは特に気にもしなかったんですが、泣き腫らしながら迎えたエンドロールで、なんと、もうひと仕掛けある。撮影を見学に来られた実際のペコロスさんとお母さんのオフショットがエンドロールの脇の小さな画面に流れているんです。そのお母さんの顔がペコロスさんの描くお母さんにそっくりなんです! ただでさえもうお釣りがくるほど涙が流れているのに、そのことに気づいたときには着ていた服の衿口に顔を隠しましたよね。
マッドメン
諸星大二郎試論 ~きわめて視覚的な、きわめて即物的な~
マッドメン
影絵が趣味
影絵が趣味
諸星大二郎といえば、民俗学的であったり、神話的であったり、異界的であったり、幻想的であったりと語られ、じっさいに柳田国男の研究書やクトゥルー神話を愛読している一面があったり、扉絵や表紙の絵などからはたしかにシュルレアリスム作家ダリの影響を彷彿とさせずにはいられない。しかし、これら数多の要素は諸星大二郎について何か説明するひとつひとつの所以にはなりえようが、漫画家・諸星大二郎を語るさいの言葉としてはどれをとっても全てを合わせてみても片手落ちになっているような気がしてならない。 さきほどシュルレアリスムという言葉を出したが、これを日本語に訳すと超現実主義となるらしい。超現実とはすなわち、現実を超えるということであり、これを画家という立場に合わせて言うなれば、目に見えない何かを描くということになるだろうか。まさしくそのようにして幻想画家としてのダリが生まれている。ところで、ある種の民俗学にしても、神話にしても、異界にしても、幻想にしても、それらはひとしく目には見えないもののはずだが、じっさいのところ諸星大二郎の漫画ほどよく目に見えるものもないのではないか。衝撃の連載デビュー作となった『妖怪ハンター』では民俗学的な切口から、いきなり異界がひらけて、ヒルコなる怪物との遭遇が為されるが、本来ならば目には見えない異界なるものが、これでもかというぐらい目に見えるように描かれている。さらなる衝撃の長編デビュー作となった『暗黒神話』では、よくよく読んでみればふざけているのではないかと思うぐらい唐突に、これまた異界がひらけて、神話の怪物がしっかりと目に見えるように描かれている。諸星大二郎という作家は、目には見えないはずの、手では触れられないはずの幻想的な何者かとの遭遇をあまりに唐突に意図も簡単に描いてのけ、しかも、それらの怪物たちはふつうの現実の人間であるところの登場人物に、まるで自身の存在が幻想の産物ではないこと示すかのように、抜け目なく傷まで負わせてゆくのである。 まさに『暗黒神話』は主人公の少年が異界の怪物と遭遇するたびに四肢のひとつひとつに傷を受ける物語であったし、『壁男』では壁男が壁ごと人型にくり抜かれて倒れてきてアパートの住人に傷を負わせるし、『鎮守の森』では男がいきなり異界に迷いこみ目に怪我を負いながら十数年も放浪したのちに汚れたそのままの姿でいきなり現実に戻ってくる。 さらには異界やその怪物ばかりではなく、諸星大二郎の真骨頂とも言うべきは、本来は目に見えるはずもない人間の内面の感情のようなものをあっけらかんと視覚的に描いてしまうことにある。まさしく『不安の立像』では不安という名の目に見えない感情が外套の影のような姿で描かれ、『夢の木の下で』ではひとの内面での変化が植物が枯れることで如実に描かれ、『遠い国から』のとある惑星ではひとがもの凄く感動したときにすぐその場で自殺をするように描かれ、『感情のある風景』にいたっては感情がそのまま目に見える文様として描かれている。 諸星大二郎の漫画はこのように幻想的であったり超現実的というより、むしろ、視覚的過剰によるきわめて体験的なものとして私たちの目に飛び込んでくる。そこで私たちは何かの幻想や超現実に想いを馳せる必要などまるでなく、向こうの方からすでにいきなり唐突に、視覚的現実としてそれが目に突き付けられている。 あるいはマッドメンや縄文人をはじめ、身体に傷を負う(入れ墨を負う)という行為は、神や異界の存在を現実のものとして視覚的に示すものだったのかもしれない。
ベンケー
理由を置き去りにする速さ
ベンケー
影絵が趣味
影絵が趣味
1988年、さそうあきらのデビュー作にあたるのが『ベンケー』というスポーツ漫画になります。のちに音楽漫画で名を馳せるさそうあきらがスポーツ漫画でデビューしているというのは、ちょっと変な感じがしないでもないですが、おそらく1985年に同じくヤンマガからデビューしている望月峰太郎の『バタアシ金魚』からの影響があるのでしょう。『バタ金』の薫くんが下手っぴなのに水泳部に入るように、『ベンケー』の藤山弁慶くんも運動音痴なのに陸上部に入部します。『バタ金』が流行ったから、こういうテイストでいこうというのが、たぶん、編集部の側にあったんだと思います。 それでも、『ベンケー』にはすでにさそうあきらの色がふんだんに発揮されている。さそうあきらの漫画では、しばしば奇跡やミラクルと称されるような説明のつかない体験が描かれます。いわゆるフラグを立てて伏線を回収するといったような方法論はあまりとられず、山場やクライマックスにはどうも説明のつかない体験が描かれる。それがより顕著なのが、やはり音楽漫画で、じぶん自身でも涙を流しながら読んでいて不思議に思うわけですけども、じっさいに耳には聴こえてこない音楽演奏に感動している。それでいて、演奏をおこなう必然性とか、物語的な要素が感動を呼び起こしているわけでもない。 でも、今回『ベンケー』を読んでみて、そこらへんの謎がすこし解けたような気がします。弁慶くんはエスカレーターにも上手く乗れないほどの、超が付くほどの運動音痴(略して、うんち)で、そんなうんちがスプリントで世界新記録を樹立する。これだけ書くと、なんで? どうやって? という疑問が湧いてくるのが普通のことだと思うんですが、さそうあきらはそういう次元で漫画を描いていなくて、うんちが世界新記録を出してしまう理由はびっくりするぐらい何も描かれていない。ただ、最高速度で走る、描かれているのはそれだけなんです。これは音楽漫画の演奏シーンにも言えて、ただ、漫画の最前線にて演奏が行われている。そこに演奏者たちの真剣な顔がある。速く走れる理由とかそういうのはあまり関係なく、ただ、とにかく、その最前線にて最高のパフォーマンスを発揮しようとしている。理由とかそういったものからあらかじめ自由なんです。だからこそ、奇跡が起こる。 最後にセリフを引用させてください。 「ベンケーは鳥の気持ちがわかるんだろ? 鳥が空飛ぶって何だか不思議なことだと思わないか? 頭から空の隅々までが飛ぶためだけに動く・・・ だからあんなに気持ちよく飛べるんだ・・・ そんな世界が人間にあるとしたら・・・ 速く走れた時の・・・ あの感じって・・・」
昏倒少女
一本背負いをくらったかのような清々しさ!
昏倒少女
影絵が趣味
影絵が趣味
『町田くんの世界』でお馴染みの安藤ゆきワールドがこの短編集にも活き活きと迸っています! ―まずクラッときて ―一瞬にして左右上下 ―感覚がなくなって ―それはつまり ―受け身も取れない いきなり、こんなふうに昏倒してしまう表題作の『昏倒少女』は安藤ゆきの安藤ゆきらしさというか、安藤ゆきワールドを存分に体現しているように思います。とくにこの「いきなり」というあたりがいかにも。何はともあれ、いきなり昏倒してしまうことで『昏倒少女』は安藤ゆきワールドの台風の目のなかにすでにいる。昏倒した当の本人は、まさしく台風の目の静けさのごとく気を失っているのかもしれませんが、まあ、周囲は振りまわされるわで大騒ぎになる。 町田くんという人がまさにそうでしたけど、安藤ゆきワールドでは発端がいつもこちら側にあるんです。たとえば、町田くんという人はちょっとすっとこどっこいなところはあるんですけど、その行動はいつだって何かの理由を受けて後手後手にまわるのではなく、つまり、周囲に振りまわされるのではなく、あくまでも町田くんという人がひとつの台風の目になって周りの人たちを巻き込んでいくようなところがある。町田くんはちょっとすさんだようなところがある猪原さんという人に出会う。でも、猪原さんが何か困っていそうという理由から猪原さんにアプローチするのではなくて、あくまでも町田くんがどうも気になったから猪原さんに接近していくんです。 『昏倒少女』では、頻りに「口実」ということが言われる。わざわざ保健室にプリントを持ってきてくれた橘くんに小日向さんは「そこはかとない口実感」を感じ、保健室の先生にドギマギする橘くんに「口実はわたしか」と納得する。ちょっと安藤ゆきワールドらしからぬ口実ありきの世界。でも、後にプリントを口実にやってきたことが橘くんの口から明かされる「ふつうにクラスメートなら心配だろ」と。すぐさま小日向さんの心の中で「それってそんなにふつうじゃない気がするけど」とツッコミが入ることからも明らかな、このふつうのふつうじゃなさ。 こんなセリフをすんなり受け入れてしまうほど、私たちは物語を読むうえでも、日々の生活でも、理由というものを非常に重んじていると思います。でも、安藤ゆきワールドに接していると、何だかいかにも重要そうな理由というものが副次的なものに思えてくる。理由を受けての受け身にまわった後手後手の行動ではなくて、なんかもっと積極的で直接的なものを見てみたいと思う。それこそ、唐突に一本背負いをくらったような清々しさを!
ヤサシイワタシ
悲劇でも負けていない!!
ヤサシイワタシ
影絵が趣味
影絵が趣味
ひぐちアサの『おおきく振りかぶって』という大仕事に取り掛かる以前の貴重なラインナップその2であります。 その1の『家族のそれから』もそうでしたけれども、死がひとつのモチーフになっている。『家族のそれから』は母親が亡くなることをきっかけに物語が始まっていますが、『ヤサシイキモチ』は主人公とその恋人になるヒロインがいて、終盤でヒロインが亡くなるという悲劇のかたちが明確にとられています。でも、ひぐちアサに悲劇はちょっと似合わないというか、らしくないような感じがしますよね。 やっぱり、そうなんです。形としては古典的な悲劇を踏襲していながら、なんか、どうも負けていないような感じがあるんです。『おお振り』の野球部たちのように、ひたむき且つ賢明な「転んでもタダでは起き上がらない」精神がここにも確かに息づいている。 このことは何べんも書いているような気がしますけど、大事なことだと思うのでもう一度。ひぐちアサは、生があって死がある、というような描き方をしないんです。プラスがあってマイナスがあるんじゃないんです。プラスをマイナスが帳消しにするように、生を死がなかったことにするなんてことはあり得ないんです。 不安で不安で仕方ななくて、いっそ風船に針を刺したい、高い所から手を離したい。そういう気持ちはあるかもしれないし、じっさいに針を刺してしまう人も、手を離してしまう人もいるかもしれない。でも、どんなことだって、それは良いことでも悪いことでも、それがあった起こったということは途方もない事実として消えることがないと思うんです。確かに今はそれはないかもしれない、でも、そんなことがあったという事実そのものはいつまでもそこに残り続けると思うんです。 最後の最後に、あのすっとこどっこいで、がむしゃらで、嫌なところもあるんだけど愛おしくもあるヒロインの弥恵さんの笑顔がコマのなかに現前としたとき、生は死なんかによって帳消しできるもんじゃないと確信せざるを得ないのです。しかも、弥恵さんはとある高校球児として生まれ変わる。そう、三橋くんとして。そして主人公の芹生くんもその後を追う。弥恵さんの、そして三橋くんの手を握って安心させてあげたいのは、芹生くんであり阿部くんなのだから。
スラムダンク
スラムダンクの続き
スラムダンク
影絵が趣味
影絵が趣味
某編集者がスラムダンクの続きを勝手に考えて書いているブログをご存じでしょうか。単なるブログだと侮るなかれ、これが本当に素晴らしく、毎日のようにグスグスと目に涙を溜め、鼻からは鼻水を垂らしながら読んでいる次第であります。2011年の3月から書き始められ、もうすぐで10年、未だに書き続けられています。 当然、夏のインターハイのあと、すなわち秋の湘北高校を最初の舞台に続きは始まるのですが、牧・藤真・赤木の世代が大学に進学するあたりから時間が複雑に交錯するようになります。彼らの大学入学から一気に三年の時が経ち、4年生の牧世代。この間にいったい何があったのか。ここから現在と過去を、つまり大学編と湘北を中心とした高校編を交互に行き来しながら物語が紡がれていきます。2020年の現在では、牧世代は依然として4年生、過去編は宮城・仙道・神の代が終わり、いよいよ桜木・流川の代に移るところで止まっています。 本家『スラムダンク』もさることながら、もうこの時点で続きのほうも本家と双璧をなす一大叙事詩と胸を張って言えるほどの出来栄えに仕上がっていると思います。と、まあ、ここまでが続きの概要なのですが、続きが書かれれば書かれるほど、本家のほうがまた際立ってくるという事実があります。 以前に『ドカベン』で野球漫画について書いたとき、『スラムダンク』のことにも少し触れたのですが、『スラムダンク』は漫画というものの臨界点を超えた唯一無二の北極星に位置するような漫画だということは疑いのない事実でしょう。『スラムダンク』は単なるバスケ漫画ではない。漫画というものの全てを一身に背負っている漫画漫画と言うほうが相応しいと思います。そして、『スラムダンク』が完結した1996年から約25年の時が経ち、続きのブログが本家の魅力をさらに引き立てている。というのは、この続きが一大叙事詩であるばかりか、そのまま本家の批評にもなり得ているのです。 続きのブログを読んだ人は、その文章のなかで、桜木花道をはじめとした『スラムダンク』のキャラクターたちが生き生きとそこに現前していることに驚かずにはいられないでしょう。これは、ちばあきおの『プレイボール』がコージィ城倉の手により『プレイボール2』として運動を再開させたのにも少し似ています。ちがっているのは『プレイボール2』はあくまでも漫画として再開されなければならなかったという点にあり、『スラムダンク』の続きは文章だけで事足りたという点にあると思います。 そう、続きにおいては、たとえば桜木が「ゴリ、負けるなよ、ゴール下は戦場だぜ」と言うだけで赤木の存在がそこで浮き彫りになる。ゴリ、ルカワ、リョーちん、ミッチー、メガネくん、ヤス、シオ、カク、ハルコさん、アヤコさん、オヤジ、ボス猿、センドー、フク助、じじい、じい、野猿、ホケツくん、丸ゴリ、マル男、ピョン吉、ポール、小坊主、デカ坊主、これらのあだ名が桜木の口から発せられるだけで、ふしぎとそのキャラクターの存在が浮き彫りになってしまうのです。これらは全て桜木の主観と直感により名付けられたあだ名ですが、まずひとつ、こういったあだ名がキャラクターに役割を与えている。続きの書き手はきっと書きながら驚いていると思います。キャラクターたちが各役割に沿って勝手に動いたり話したりしてくれる、と。たとえば、湘北と陵南の試合を清田と神が偵察していたとする。 ガンッ、桜木、宮城のパスからフリーで放った得意の合宿シュートを外してしまう。 桜木「なにッ、この天才としたことが! しかし、みずからとーる!!」 誰よりも高い位置で桜木がリバウンドをキャッチ。 バシーーーッ、仙道だ! 仙道が下で狙っていた! 仙道のスティールだ! 清田「けっ、赤毛猿の野郎、ざまあみろだぜ」 神「いや、でも、いまの湘北のオフェンスは流れがよかったな」 清田「ん・・・」 神「宮城のドライブから、フリーの位置に桜木が飛び込んできただろ。はじめて流川以外のところに攻撃の起点が生まれたんだ。さっきは外れたけど、あれが決まりだしたら陵南のディフェンスは的を絞れないぞ」 清田「ぐぬぬ・・・。(牧さんの後を継ぐこの俺がNo.1ポイントガードだ!)」 宮城「なんだと!(野生の勘で何かを察知)」 桜木「ぬ。(同じく野生の勘で何かを察知)センドーは俺が倒す!」 ディフェンスに戻りながら、 宮城「おう天才、いまの動きだ。流川ひとりにやらせたくなけりゃ、ああやって動くんだ。どんどんパス回してくぜ」 桜木「当然だ、リョーちん。この天才を何だと思っているんだ(センドーもルカワも俺が倒す!)」 ためしにチョロッと書いてみただけで、こうもみんなが勝手に動いたり話したりしてくれるんです。各々がしっかりと役割を担っている。あらかじめ、こうと決められていたみたいに、これしかないという動きを繰り広げるのです。 そう、『スラムダンク』における動きは、あるひとつの方向に行くようあらかじめ定められているのです。『スラムダンク』における動きは、何かの理由があって、そのためにこう展開したというようには運ばず、あらかじめ全ての動きがあるひとつの方向に行くよう、そこに収斂するように定められているのです。 それじゃあ、『スラムダンク』はどういう方向に収斂しているのか。それは、「諦めの悪い根性」と「進化」だと思います。クライマックスの山王戦でみせたような諦めの悪さと進化、これが『スラムダンク』の全編に息づき、全ての動きがそこに向かうようあらかじめ定められている。続きが10年も辛抱強く書き続けられているのは、本家『スラムダンク』がカンブリア爆発のようにみせた諦めの悪さと進化の方向とを今日も持続させているからだと思うのです。常に進化の最前線にいる、このことが『スラムダンク』をいまでもさらに進化させていると思うのです。
デイト
交わらない視線のメロドラマとして
デイト
影絵が趣味
影絵が趣味
表題作の『デイト』を始めとして、南Q太の漫画のキャラたちは、大抵ひとりあらぬ方角に視線を向けている。メロドラマの描き手として、南Q太は、もうたったのこれだけのことで勝利しているといっても過言ではありません。 メロドラマですから、お年頃の男女が出合う。まあ、南Q太のばあいは、男と男のときもあれば、女と女のときもありますけど、性別はどうであれ、必ずといっていいほど出会った二人が視線をたがいに介そうとしないのです。デビュー当初から比較的ラフな線画でドライなメロドラマをいくつも描いていますが、どれもキャラの黒目には力が入っている。とりわけ、その黒目がどの方角を向いているのかが如実に描かれているのです。 南Q太はこのように視線を中心にしてメロドラマを構築する。視線がたがいに交わらないということで、そこに何かしらの関係性を描いてしまうのです。 表題作の『デイト』で言うなれば、まず交わらない視線劇の積み重ねがあり、その状況を打開するために、居酒屋の座敷で向かい合う男女、のぶおくんはテーブルの下に足を伸ばして、みどりさんのひざを小突く。これが決定的な瞬間となるわけです。視線は交わらないし、会話だって上手くいかないのは分かっている、だからこそ、この些細な行動が決定的な瞬間として利いてくる。事実、次のページで二人はラブホテルにいて、やっぱりおかしいよ、とか何とか言いながら身体を重ねてしまいます。そして、事後にはまた交わらない視線にもどってしまうんですけど、二人の関係性は事前とは大きく変わっているのです。
日刊吉本良明
永遠の放課後居残り組
日刊吉本良明
影絵が趣味
影絵が趣味
よしもとよしとも、なんてふざけたペンネームを掲げてしまったことが全ての発端なのかもしれません。永遠の放課後居残り組ことよしもとよしともは、いつまでも漫画界から反省文を書かせられて家に帰れないのです。 大友克洋、高野文子、さべあのま、岡崎京子、望月峰太郎等からの大きな影響を受けて、遅れてきたニューウェーブとして彗星のごとくデビューしたのがこの『日刊吉本良明』になります。基本軸は、業田良家の『自虐の詩』や、吉田秋生の『ハナコ月記』の系譜にあたる同棲4コマ漫画ですね。とはいっても、どこまでが本当なのかは分かりませんけども、作者本人の生活臭が全面に押し出されていて、途中からは同棲生活や大学生活に原稿生活が紛れ込んできますから、そういう意味では漫画家漫画としても機能しています。ファンレターについて描かれた回があったと思ったら、幕間に実際に届いたファンレターを載せたりしている。メタフィクション的というか、挑発的というか、まあ、かなり挑戦的なんですよね。 それで、まあ、1ページめの初っ端から、あからさまに高野文子のジーンズの描き方で同棲する二人が描かれています。そして、ページが進むごとに、大友克洋の漫画を隣に置きながら原稿を描いているとか、『バタアシ金魚』のファンから猛攻撃を受けているとか、人の絵をめちゃくちゃパクって描いていることを隠さなくなる。そういうのをどんどん自虐ギャグにしちゃう。このように数々の作家の長所だけを寄生虫のように吸収し、すげー絵を描いていく俺、将来大物、なんてセリフまでありますからね。いっぽうでは、岡崎京子のところにアシに行く回とか、とても貴重な記録もあったりします。 で、ダラダラとしょうもない4コマが続いていくんですけど、これが不思議と滅法おもしろいんです。ギャグなんかだいたい滑ってるし、絵は人からの借り物だし、それはそうなんだけど、エルヴィス・コステロのPump it upのポスターが部屋に貼ってあったり、XTCのセーターで喧嘩したり、妙にディティールが行き届いていたりするのが憎めないんですね。その後、よしもとよしともは何本かの何とも言えない中編を残して消えてしまい、今となってはテレビ番組の『消えた天才』みたいな状態になっていますけど、デビュー作の『日刊吉本良明』をはじめとしたいくつかの漫画には荒削りで未完成なところが多分にありながら妙な魅力が記憶に残って離れないんです。 たぶん、よしもとよしともという漫画家は、漫画というものを見る目と想起する才能には溢れていたけれども、致命的なことにそれらを自らの手で具現化する体力みたいなものが欠けていたんだと思うんですよね。そういう意味では江口寿史に似ているのかも知れません。そんなこんなで決定的な傑作を残せないまま、いまだに放課後居残り組として家に帰れないでいるわけですけど、じつは二本だけ隠れた大傑作を残しています。 黒田硫黄と組んだ『あさがお』(『大王』収録)と、 衿沢世衣子と組んだ『ファミリー・アフェア』(『おかえりピアニカ』収録) がそれにあたります。両方とも、よしもとよしともがネームまでを描いている。しかも、それらの収録された二冊の短編集は、黒田硫黄にとっても、衿沢世衣子にとっても、ともに単行本デビュー作にあたるわけです。これはただ事ではないというか、なんて怖ろしい目利きをしているんだろうと驚かずにはいられないのです。数打って当たった二本ではなくて、めったに仕事をしなくなったよしもとが重い腰をようやくあげて選んだ二本ですからね。 しかし、まあ、かれこれ10年くらいは沈黙しちゃってますから、そろそろ次の反省文をしたためてもらいたいものですなあ。
むなかたきょうじゅでんきこう
宗像教授伝奇考 1巻
宗像教授伝奇考 2巻
宗像教授伝奇考 3巻
宗像教授伝奇考 4巻
宗像教授伝奇考 5巻
宗像教授伝奇考 6巻
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滅びし獣たちの海(BC版)

滅びし獣たちの海(BC版)

星野之宣氏の傑作短編が、雑誌掲載時のカラーページを完全再現し、甦る! 今回は、雑誌掲載後22年あまりも単行本化されていなかった幻の傑作SF短編『環礁にて』を単行本に初収録! 20年以上前のものとは思えない、洗練された画と物語をご堪能あれ。■収録作品紹介 冷戦下での凄絶な原子力潜水艦開発競争『レッドツェッペリン』 江戸時代にとある島に流れ着いた白人と、その島の鯨漁にまつわる悲劇『鯨鬼伝』 海洋調査船が流れ着いた島では、かつて恐ろしい実験が!?『罪の島』 軍艦が時代遅れの兵器となっていた第二次世界大戦下。世界最大の軍艦・ビスマルクと、共闘した最新鋭潜水艦・ベーオウルフの前に現れた恐るべき相手とは!?『滅びし獣たちの海』 黄金都市(エル・ドラド)と呼ばれた、未発掘の古代都市を守り続けてきたのは!?『アウト バースト』 はじめて地球以外で生命体が発見される!? これまで一度も単行本に収録されていない『環礁にて』 充実の280ページ、全6編!
ブルーシティー

ブルーシティー

近未来、人類は未来科学の全てを投じて実験海底都市を完成。2万人の若き科学者を市民とする青い科学都市をブルーシティと呼んだ。ある日、令とミカの兄妹の父親が乗る宇宙ステーションが隕石群と衝突し、隕石がくい込んだまま地球へと。そして、地球上ではまったく未知の病原体の猛威により、全ての生物が絶滅の危機に…!!
星を継ぐもの

星を継ぐもの

SF文学の金字塔に新解釈を加えて漫画化! 時空を超えるミステリー! 西暦205X年、月で深紅の宇宙服をまとった死体が発見された。だが、どれほど歴史をさかのぼっても該当者は見当たらない。そして誰も予見しない驚愕の事実が浮かび上がる。遺体はなんと5万年も前のものと鑑定されたのだ! ネアンデルタール人やクロマニョン人が毛皮や石器を身に着けていた5万年前に、月に宇宙服を着た人が!? SF文学界の巨星・ホーガンの名作を、漫画界の巨星・星野之宣が独自の解釈を加えて描く!
未来からのホットライン

未来からのホットライン

黄金コンビが巨大なテーマ「時間」に挑む! 2020年、物理学者チャールズ・ロスはタウ波を発見。これを利用して過去にメッセージを送ることに成功した。同じ頃、核融合発電という未来的なエネルギー技術が、試運転を開始する。だがその未来に暗雲が!? 最愛の人との出会いという個人的な宝と、世界の運命が天秤にかけられる時、恋人たちはどう生きどう決断したのか!? 時間をテーマにした壮大で切ないストーリー。
海帝

海帝

誰より早く世界を見た男・鄭和の海洋冒険記 コロンブスで知られる“大航海時代”よりも遠い時代に―――― 7度の大航海を達成させた男がいる。その名は、鄭和。中国・明の時代に実在したその男は、王朝で高い立場を持つものの、隠し持った、ある「野望」を追い、南方諸国へ航海に出ることに。生死が紙一重の海洋冒険で、鄭和が追うのは、地球上まだ誰も見ぬ「世界」か、それとも「夢」か――――
宗像教授異考録

宗像教授異考録

東北地方に古くから存在する巫女・イタコ。縄文時代から続くとも言われるその伝承の秘密をテーマに講義を行う宗像のもとに、かつての教え子・津島が訪ねてきた。夫と死別し、用事が終われば故郷・青森へ帰るという津島と当地での再会を約束した宗像は、調査のためひとり青森の地に降り立ち、西津軽郡木造町に住むイタコ・赤倉ハルのもとを訪れる…。
ヴィンランド・サガ

ヴィンランド・サガ

千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。そのなかにあってなお、最強と謳われた伝説の戦士が息子をひとり授かった。トルフィンと名づけられた彼は、幼くして戦場を生き場所とし、血煙の彼方に幻の大陸“ヴィンランド”を目指す!!『プラネテス』の幸村誠が描く最強民族(ヴァイキング)叙事詩、堂々登場!
ゴールデンカムイ

ゴールデンカムイ

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!
鬼滅の刃

鬼滅の刃

時は大正時代。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変する。唯一生き残ったものの、鬼に変貌した妹・禰豆子を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、炭治郎と禰豆子は旅立つ!! 血風剣戟冒険譚、開幕!!
ドリフターズ

ドリフターズ

紀元1600年、天下分け目の関ヶ原……敵陣突破の撤退戦「島津の退き口」「捨てがまり」で敵将の首を狙うは島津豊久!!生死の狭間で開いた異世界への扉……現在では無い何時か、現実では無い何処かへ、戦国最強のサムライは、新たな戦世界へ招かれる!!異才・平野耕太が描く新世界が今、拡がる……
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─

昭和19年、夏。太平洋戦争末期のペリリュー島に漫画家志望の兵士、田丸はいた。そこはサンゴ礁の海に囲まれ、美しい森に覆われた楽園。そして日米合わせて5万人の兵士が殺し合う狂気の戦場。当時、東洋一と謳われた飛行場奪取を目的に襲い掛かる米軍の精鋭4万。迎え撃つは『徹底持久』を命じられた日本軍守備隊1万。祖国から遠く離れた小さな島で、彼らは何のために戦い、何を思い生きたのか――!?『戦争』の時代に生きた若者の長く忘れ去られた真実の記録!
大奥

大奥

男子のみを襲う謎の疫病が国中に流行り、男子の数が激減。男女の立場が逆転した世界に生まれた貧乏旗本の水野は、大奥へ奉公することを決意する。女性の将軍に仕える美男三千人が集められた女人禁制の場所・大奥で巻き起こる事件とは…!?
チ。―地球の運動について―

チ。―地球の運動について―

動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった―― 命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!! ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!
呪術廻戦

呪術廻戦

類稀な身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)は、病床に伏せる祖父の見舞いを日課にしていた。だがある日学校に眠る「呪物」の封印が解かれ、化物が現れてしまう。取り残された先輩を救う為、校舎へ乗り込む虎杖だが!?
宇宙兄弟

宇宙兄弟

2025年。兄は、もう一度だけ自分を信じた。筑波経由火星行きの物語がはじまる!本格兄弟宇宙漫画発進!幼少時代、星空を眺めながら約束を交わした兄・六太と弟・日々人。2025年、弟は約束どおり宇宙飛行士となり、月面の第1次長期滞在クルーの一員となっていた。一方、会社をクビになり、無職の兄・六太。弟からの1通のメールで、兄は再び宇宙を目指しはじめる!
葬送のフリーレン

葬送のフリーレン

魔王を倒した勇者一行の後日譚ファンタジー 魔王を倒した勇者一行の“その後”。魔法使いフリーレンはエルフであり、他の3人と違う部分があります。彼女が“後”の世界で生きること、感じることとは―― 残った者たちが紡ぐ、葬送と祈りとは―― 物語は“冒険の終わり”から始まる。英雄たちの“生き様”を物語る、後日譚(アフター)ファンタジー!
SPY×FAMILY

SPY×FAMILY

名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った“娘”は心を読む超能力者! “妻”は暗殺者で!? 互いに正体を隠した仮初め家族が、受験と世界の危機に立ち向かう痛快ホームコメディ!!
東京卍リベンジャーズ

東京卍リベンジャーズ

【講談社販売部驚愕!空前の重版!】実写映画化で話題!『新宿スワン』作者の和久井健が贈る、最新巨編!!ダメフリーター花垣武道は、ある日ニュースを見ていると、最凶最悪の悪党連合”東京卍會”に、中学時代に付き合っていた人生唯一の恋人が殺されたことを知る。壁の薄いボロアパートに住み、レンタルショップでバイトしながら6歳年下の店長にこき使われる日々。人生のピークは確実に彼女がいた中学時代だけだった……。そんなどん底人生まっただ中のある日、突如12年前へタイムリープ!!恋人を救うため、逃げ続けた自分を変えるため、人生のリベンジを開始する!!【各方面から称賛の声!!】2017年の新連載で1番売れたサスペンス漫画!&2017年の新連載で1番売れたタイムリープ漫画!!LINEマンガ総合ランキング1位獲得!!ホリエモンが選ぶ今読むべき漫画11選ノミネート!!鈴木達央 VS. 島崎信長!? 一人三役で熱い掛け合いをした最新PVがYoutubeで公開中!!「鈴木達央 島崎信長 東卍」で検索!!
Dr.STONE

Dr.STONE

【デジタル版限定!巻末に描き下ろし特典イラスト付き!】一瞬にして世界中すべての人間が石と化す、謎の現象に巻き込まれた高校生の大樹。数千年後――。目覚めた大樹とその友・千空はゼロから文明を作ることを決意する!! 空前絶後のSFサバイバル冒険譚、開幕!!
ヤマタイカ

ヤマタイカ

最強台風が近づき、荒波が押し寄せる種子島の岩場に謎の女性たちが現れ、海中に何かを投げ入れた。直後、台風は跡形もなく消え失せ、台風に代わり現れたのは超大型の戦艦。その大型艦は、40キロの沖合から沖縄本島の米軍基地を砲撃し…。そして時はさかのぼり、沖縄本島の東方沖に浮かぶ、神の島と呼ばれる久高島から謎は始まる…!!
卑弥呼 -真説・邪馬台国伝-

卑弥呼 -真説・邪馬台国伝-

真説・邪馬台国年代記 ついに始動!! 邪馬台国は実在したのか!? 伝説の女王は、衆を惑わす鬼女か!? 人を魅了する絶世の美女か!? 神秘のヴェールに包まれた、邪馬台国とその女王・卑弥呼。人々の心を惹きつけて止まない日本古代史最大の謎にリチャード・ウー×中村真理子の最強タッグが挑む!! 謀略と神話の交錯を見よ!! 三世紀、倭国大乱の時代。百余国は互いに相争い、大勢の人々が虫けらのように殺されていった。そんな中、己の生き残りだけに執念を燃やし、必死で戦う少女、ヤノハ。望むと望まざるとにかかわらず、やがて陰謀の巨大な渦に巻き込まれ、想像だにしない宿命に直面する―― 真説・邪馬台国年代記、ここに始動!!
雷火

雷火

紀元3世紀頃の邪馬台国を舞台に、無鉄砲な少年・ライカの活躍を描いた歴史アクションファンタジー。邪馬台国に君臨する女王・卑弥呼(ひみこ)が老いていき、魏の国よりの使者・張政(ちょうせい)は野望を抱き始める。同じ頃、熊木山に住む少年・ライカは、仲間達と山向こうの様子を見に行き、水浴びをする少女と遭遇する。その少女こそ、卑弥呼の後継者である巫女・壱与(いよ)であり……!?
古代史ミステリーコミック

古代史ミステリーコミック

伊勢神宮には、知る人ぞ知る3つの謎がある。1つ目は「個人の願い事をしてはいけないこと」。さらに「明治時代まで天皇が伊勢神宮へ参拝したことがなかった」! なぜ? その驚愕な謎を解いていきます。同時収録「出雲大社」「大神神社」。大好評だった「邪馬台国は隠された」に続く「古代史ミステリーシリーズ」。今度はコミック版で!
水の国幻視行

水の国幻視行

時は弥生。所有するものに永遠を約束するという伝説の“水の鐸”があった。そしてそれをめぐる人々のドラマがあった―――。有史以前の世界を舞台に広がる人間ドラマ、大スペクタル!!表題他3編収録の小栗るみワールドいっぱいの傑作集ここに堂々完成!!
邪馬台幻想記

邪馬台幻想記

戦乱続く倭の国で出会った強き二つの心…。邪馬台国女王・壱与と、方術士・紫苑の二人は、倭国統一を誓い、伝説の神都・高天の都を目指し、旅に出る。だが、その行く手には方術の使い手・陰陽連が待ち受ける!果たして二人の幻想は一つに紡がれるのか…。
武 TAKERU 双瞳の女王

武 TAKERU 双瞳の女王

一文字武は、賞金首であるくぐつの源太を追い、大和の国に来ていた。 「言霊」を操り源太を倒した武は、偶然見かけた、大和の国を統治する風姫に一目惚れをしてしまう。武は何者かに襲われる風姫を助け出すも、犯人と間違われ牢屋行きに。しかし、難なく牢屋から抜けだした武は風姫の所へと向かう。丁度その頃、風姫はまたしても何者かに襲われていた。敵を撃退した武に、風姫は犯人の調査を依頼する。武は相棒ブンブクと共に、卑弥呼が祀られている神殿へと向かうが、そこには恐ろしい敵が潜んでいた。
試し読み
古代のVAGAN

古代のVAGAN

ごく普通の女子高生・日比野美香は考古学者である父親の仕事に合わせ転校し そこで美少年の水無瀬梓と秋月蓮に出会う。そんなある日、父親の平吉が行方不明となる事件が発生する。その夜、美香も人面蜘蛛に乗り移られた暴走族に連れ去られてしまうが、ポケットに入れていた赤い聖石が繭を放ち、美香はわけもわからず「馬銜(ばがん)」に変身する。これをきっかけに、美香は悪の教団「暗黒切支丹(ぶらっくぜずす)」から命を狙われることになる… 大人気オカルト・アクション漫画『変幻退魔夜行 カルラ舞う!』を手掛ける永久保貴一先生が描く変身ヒーローアクション漫画! 永久保貴一先生の描き下ろし「酒呪雑多」も収録! ※本編収録話数は朝日ソノラマ『古代のVAGAN』1巻と同じ構成になります。
律儀で骨太な演出にコメントする