アゴなしゲンとオレ物語
平本先生
アゴなしゲンとオレ物語 平本アキラ
酒チャビン
酒チャビン
スーパーボールガールという作品を目にして、気になったのですが、まだ1巻しか出てないということで、他の作品を見てみようと思ったら、なんと絵柄的には同一人物の作品とは思えないゲンさんが!!! こちらの作品、私がもっとも堕落した生活を送っていた大学生時代にヤンマガでやっていて、そんな堕落して大量の時間を持て余していた時期にもかかわらずトバしていた作品でした。。。 再読してみたのですが、やはり私には合いませんでした。ギャグのセンスが少し私とずれているのかも知れません。 同作者のやりすぎコンパニオンとアタシ物語という作品も読んだのですが、こちらはギャグセンス自体はそこまで変わってないのにもかかわらず読みやすかったです。 平本先生のストーリーとかギャグとかキャラとかは、結構とんがりがキツく、オゲレツ度も飛び抜けているため、それを中和し、万人に届けるためには、シュッとした絵が是非とも必要だったのかも知れないと思いました。そういう意味で、本作の連載を続けながら、絵柄の華麗なる転換を遂げたのは、かなり先生にとってのターニングポイントになってると思います!これが早期打ち切りになっていたら日本のマンガ史も大きく異なっていたことでしょう。 絵がだいぶシュッとしてくるのは12巻くらいからなのですが、すでに登場人物を愛せなくなってしまっていたので、キライから好きに変わることはむずかしく、ファンの方には申し訳ないのですが、15巻でドロップしてしまいました。すいません。。。スーパーボールガールズに期待してます! 平本先生の絵の進化を目撃したい人にはオススメです!!!! ただ、「早く帰んなきゃ!! アニメ『男の星座』今日が最終回だぞーーー!」は笑ってしまいました。
ダメ人間の愛しかた
昏い瞳からの罵倒と抱擁で脳破壊 #1巻応援
ダメ人間の愛しかた
兎来栄寿
兎来栄寿
SNSでも度々バズって大人気のヒズミさんとシンバくんによる「ダメ人間と付き合ってくれる彼女」シリーズが商業連載になり、遂に単行本として発売されました。 そして、その際にボイスコミックでヒズミさんの声を早見沙織さんが当てるというあまりにも正鵠を射たキャスティング。原作だけでも脳が破壊される人は多かったと思いますが、早見さんの声が掛け合わされたことによって恐るべき大量破壊兵器が誕生してしまいました。 https://x.com/iwabajunki06/status/1793554273625886989?s=46&t=S5wm4E-TmT39NBg4BgQsPA 原作だけでも、ダメ男の自覚的・無自覚的なところを引っくるめてダメな部分を詳らかに巧みに言語化して、罵り詰った上で全肯定して包み込んでくれる鞭と飴、痛みと快感の交互浴に脳を焼かれ、破壊される人が続出していたこのシリーズ。 ゲーセンデートとは名ばかりで彼女を後ろに立たせてひとりでゲームをしてドヤ顔していたり、相手が解らないのにTwitterの話ばかりしてしまったり、現実にもありがちなダメ男ムーブは私の周囲でも刺されていた人がたくさんいました。現実にはこんな素敵な女性はまずいないのですが、この作品を通して触れられたくない部分に触れられる痛みを味わって、正してくれる人もいなかった人も正され成長する人も少なからずいると思うと、ある意味社会福祉的な面もある作品であると思います。 何より、すべてにおいて岩葉さんの描く美しく闇のあるヒズミさんの表情が最高すぎるんですよね。ハイライトの失せた、泣きぼくろのある瞳があまりにも強すぎて。恐ろしく深い、抜け出せない沼の顕現のような。昨今の黒髪ロングストレートヒロインの中でも異端で極北に位置する存在ですが、それがいい。 岩葉さんは、「人形の街/第1回 U23ジャンプWEBマンガ賞」であったりたまに描かれる絵であったりを見る限り、本質的にはもっとダーク寄りの方だと思うんです。サンホラなどがお好きなのも解釈一致すぎます。しかし、『ダメ人間の愛しかた』はその闇の部分を上手くオブラートに包んで、甘さをコーティングすることによってマスの支持を受けられる内容になっている奇跡的なバランスを感じます。 シンバくんは、あくまでダメ男ではあってもクズではないというのがポイントで、本質的には優しく上昇志向がありながらも、外的な要因によって壊されそれがなせてこなかった人物です。一方でヒズミさんは、美人で仕事もゲームも何でも卒なくこなせる器用さもありながら、自分が写真に撮られるのは嫌いであるなど自己肯定感の低さを感じさせてくれる人物です。そんなヒズミさんが、なぜここまでダメなシンバくんを溺愛してくれるのか。 既にそういった片鱗も垣間見えていますが、シンバくんを救うようでシンバくんに救われているヒズミさんという、根源的なところで絶対に自分を否定しない相手との闇深く依存性の高い関係に見えながら、現代社会の傷ついた人に寄り添う物語としての在り方も感じさせてくれます。 ヒズミさんの容赦のない心ごと一刀両断する妖刀のように鋭い言の葉に抉られ昏い快楽に酔い痴れながら、彼らの関係性がどこに帰着するのか楽しみに見守りましょう。 罵られたいダメ人間の方、自覚していなかったけど異様にこの作品の言葉に心が動かされる方、思わずダメ人間を愛してしまう方、さまざまな方に深々と刺さる作品です。
あごなしげんとおれものがたり
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