チロリン堂の夏休み
現代っ子と神様、宇部の歪んだ時空冒険
チロリン堂の夏休み オオカミうお
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
小学生達が撤去された古いお社を復活させると、スマホの中に神様が!冒険大好きな子供達だが、それから次第に不思議な現象に巻き込まれる……というお話。 妙に女子のパンチラが多くてちょっと辟易するものの、元気な子供達の冒険と民話・伝承の世界とがリンクする、スリルと知的トキメキが楽しい。 ……物語だけ読んでいると、ここ迄の感想になるのだが、この場所が(参考文献等から)山口県宇部市が舞台かも、と考えだすと、急に奇妙な世界観が立ち現れる。 既に埋め立てられている筈の「鍋島」が、古い姿のまま存在するという「時空の歪み」の中で、不思議な者との出会いが描かれる。また、保存された古い石畳や、地図に見当たらない?神社で、やはり時空の歪む現象が起こる。時折現れるブリキの看板のある街並や古民家など、時代が混在しているらしき世界観が見て取れ、郷土資料を調べてみたくなる。 スマホと古い神様の同居という「歪み」に始まり、様々に今と昔が混在し、古い「時層」が剥き出しになる町で、民謡を歌ったり巫女になったりと、色々な形で古い時と触れる小学生の冒険は、知的好奇心に訴えるものがある。
無号のシュネルギア
シュネルギアしよう!! #1巻応援
無号のシュネルギア 高田裕三
ひさぴよ
ひさぴよ
月刊少年シリウスでスタートした「3×3EYES」の高田裕三先生のSF超大作(決定事項)です。 1巻の帯にある通り、”集大成”と銘打ってるだけに、初っ端からエンジン全開。出し惜しみなくド迫力の戦闘シーンが繰り広げられ、導入の1巻から既にスペクタクルな展開になってます。 ストーリーは地球外からやってきた地球外機甲化AI「シュネルギア」という巨大なロボ(のようなもの)に乗る運命となった少年少女たちの物語。 シュネルギアを巡り、国連軍とアンバックという組織が激しく対立し、少年と少女は敵対する組織同士、シュネルギアに搭乗し戦う運命に巻き込まれてゆくのです…。 主人公・二ノ宮シロの見た目も性格も、歪んでなくて心優しい性格なのがいいですね。闇を抱えたどこかの乗らない少年と違って、駄々をこねないでシュネルギアにササッと乗ってくれるあたり、話が早いです。 シュネルギアはパイロットと協調する事で機能をアンロックし、あらゆる機能が進化していく仕組みになっています。 AIのような思考回路も存在しており、このAIの性格が非常に人間臭くて面白い。物語のサポート役として欠かせない存在となってます。 ちなみに、シュネルギアとは、ラテン語で「協調」を意味するそうで、作中で度々「シュネルギアしよう!!」「今を切り抜くためにシュネルギアを!!」という熱い決めセリフとして使われているのが、最高に格好いいのです。 まだ1巻が出たばかりですが、各話にめっちゃ気になるサブキャラたちが配置されていて、名前すら明かされていません。 おそらく他のシュネルギアの搭乗者となるのではないでしょうか。 次巻がとても楽しみです。
モンスターバンケット
ハオチー!最強のフードファイター饕餮(とうてつ) #1巻応援
モンスターバンケット 吉永龍太
ひさぴよ
ひさぴよ
18世紀の清朝を舞台にした、科挙ならぬ”食挙”に挑む奇想天外な中国怪異譚マンガ。 先祖代々伝わる家宝「饕餮の干物」を食べてしまった主人公・乾貴道。科挙試験に落ちた後、異常に腹が減り出し、食べても食べても腹が減るからさあ大変。そこへ謎の少女・暗娘が現れ、紫禁城の中で人知れず行われている"食挙"(大食いトーナメントのようなもの)に招かれるところから話は始まります。 「で、饕餮(とうてつ)って何なの?」という方のために簡単に説明すると、饕餮とは、中国神話に登場する伝説の妖怪で、何もかも食い尽くす悪神としても知られている存在です。作品の世界観としては、古代中国からの道教の思想が反映されており、中国怪異小説を彷彿とさせる雰囲気と、日本漫画が見事に融合しています。   饕餮を取り込んでしまった主人公ですが、次から次へと規格外の大食い試験に挑まされては、人間離れした食欲でクリアしていきます。その姿はまさにモンスターのごとく、読んでいて怖くなるほどの迫力です。 単なるフードバトル漫画というわけでもなく、物語は摩訶不思議な謎に満ちています。あとはもう、絵そのものを見てもらわないコトには伝わらないでしょう。 まずは1話だけでも試し読みしてみてください。非常にアクの強い作品ですが、ハマる人は必ずハマると思いますよ。