ハルメイ
ハル派? 漣派? #1巻応援
ハルメイ 雨宮うり
兎来栄寿
兎来栄寿
大人気の『ハルメイ』連載マンガ版の1巻が発売となりました。元々、作者の雨宮うりさんがSNSで連作イラストとして上げていた一連の物語が『ハルメイ 雨宮うり ILLUSTRATIONーBOOK』として2022年に発売されており、それをベースにしたマンガとしての連載が2023年より始まりました。 高校1年生の主人公・橘芽衣と、幼いころから親しくしている近所の10歳年上のハル兄。タイトル通り彼女たちの関係性を描いた作品です。 ただ、こちらの連載コミック版では表紙絵が示しているように芽衣と同い年のもうひとりの幼馴染でその美貌が他校生の間でも話題となっているほどの漣との三角関係の色合いが強くなっています。 漣もまた、非の打ち所がないヒーローなんですよね。外見だけでなく性格も良いことがエピソードを通して描かれていて、もしハルがいなかったら心置きなく推せるタイプです。でも、このマンガ『ハルメイ』なんですよね……。漣は漣で幸せになって欲しいと心から願います。 なお、そんな漣の存在によって恋愛感情を意識し出して変わっていく芽衣の姿に危機感を覚えて大人気のない嫉妬を見せるハルはとてもかわいいです。 また良い少女マンガには良い友人キャラがつきものですが、芽衣の友人の環もナイスキャラで好感が持てます。 雨宮うりさんの絵が良いのはもちろんなのですが、少女マンガとしての呼吸もすごく自然体で上手さを感じます。 個人的に好きなポイントは、両ヒーローが決めシーンで少しだけ敬語になるところ。思わず口角が上がってしまいます。 少女マンガが好きな方、歳の差が好きな方、三角関係や複数のイケメンに同時に迫られるシチュエーションが好きな方にお薦めです。
悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~
美しい貴族令嬢の、本質はもはや任侠では
悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~ 白梅ナズナ 紫真依 まきぶろ
hooper
hooper
言いたかった、どこかでタイトルの想いをぶちまけたかった。 まず、定番の悪役令嬢のざまぁモノでは重要なファクタとなる「見返すためのもっと上の男」が存在しない(出ては来る)。 色も恋もない、悪役令嬢による一直線の報復だけが描かれている。 そして復讐の動機となる、エミさんへのエミリア嬢の恩義がもはや、任侠のそれである。 「おやっさんがァ、おやっさんだけがァ、ワシに生きる場所をくれたんじゃあァ!!」 そんな広島弁マインドを胸に(※個人の感想です)、頭も切れるインテリヤクザチート令嬢の復讐には無駄がない。音速の巻きで勢力図を塗り替える。好き。 ヒロインのピナさんが一巻ではそこそこホラー顔で恫喝してきたが、ご安心ください、そのへんでゴロまくチンピラ程度です。 ちょっと違うけど「バチギレして無双で勝っちゃうBLACK LAGOON IF日本編鷲峰組」でキラキラなパティスリー作ったらこうなるんじゃなかろうか? また、「なろうの原作では本編後が真っ黒なんだけどこの辺漫画にできるの…?」という好点も気になる。 今後もネットで読んで紙版も買います!好きっ! 思いの丈をぶちまけられて、満足です。
エルピーと推しの生活
推し活、してますか #1巻応援
エルピーと推しの生活 えるたま
兎来栄寿
兎来栄寿
webとはいえ『ちゃお』系列でこの作品が連載されている日本の未来は明るいなと思います。 学業と弁当工場でのバイトをこなしながら推し活に邁進する21歳の女子大生エルピー。 エルピーと地元が同じで中学時代の同級生でありエルピーによって沼に引きずりこまれたプ〜コ。 オタク歴の長い古参で経験豊富なチョキ単推しの年上お姉さんペチねえ。 彼女たち3人が「ジャンケンボーイズ」(通称:ジャンボ)を推して推して推しまくる日々の様子がコミカルに、しかしリアルに描かれる作品です。 絵はかわいくデフォルメが強くて小学校低学年くらいでも親しみやすそうな感じですが、彼女たちの繰り広げる推し活模様は″ガチ″です。 トレカやコースターの交換 ぬい ライブ前の物販 現場でのマナー 店舗別特典 リリイベ お渡し会 コラボカフェ 誕生祭 自作グッズやケーキ カラオケや上映会 などなど、推し活経験者ならいろいろな感情を持って″理解る″であろう様子が描かれていきます。 とりわけすごいなと思ったのが、大阪遠征編です。ヤコバ(夜行バス)での移動はまだしも、某地区の安宿の様子まで克明に描いているのはびっくりでした。繰り返しますが、『ちゃお』系列作品なんですよこれ。『ちゃお』系列で西◯が描かれることあります?  「2段ベッドとかたたみの部屋はあいてるし安い!!」 で笑ってしまいました。ちょうど、私も最近泊まったところですが、昔と比べると治安もだいぶ改善して宿も星野リゾートが進出するなど綺麗なところも増えたので女性ふたりで行ってもまあ大丈夫かなと思えるようにはなってきましたが。でも、そういう経験がまた思い出に残るんですよね。 何しろ、推しを推すことによって人生が充実してエネルギーに満ち溢れるのは素晴らしいことです。推しを推している人であれは、ジャンルを超えて共感が吹き荒れるであろう作品です。
清少納言と申します
久しぶりに大興奮した新連載!
清少納言と申します PEACH-PIT
名無し
物語の舞台は今は昔平安時代。 橘家のお姫様光子は、こよなく 愛する弟君の花嫁を屋敷にて待ちかねていた。 地味で漢文に秀でている、さして美しいとも聞かぬ義妹。しかし屋敷に現れた弟嫁は、ふわっふわのロングウェーブに鮮やかな唐衣を纏った、あからさまに女子力の高い美女だった。 しかもその美女にはとんでもない秘密があって? のちに一世を風靡する清少納言のお話ですが、 歴女としてあさきゆめみし、イシュタルの娘うた恋、風光るをはじめとする新選組ものなどを読破してきた自分が、久しぶりに続きはまだかー!と叫びたくなった作品。 本当にBeLOVEが月二回刊行されてよかったと心から思う。 作者Peachpitといえば、ローゼンメイデンでお馴染み魅力的な美女やある種退廃的なストーリーを描かれることで有名。 その作者が、容姿心映え、ともに歴代最高峰の美女である皇后定子様をどう描くのか見物である。 また、当時の朝廷は、身分容姿ともに完璧すぎるイケメン男子で溢れていた。 光源氏のモデルの一人とも言われる超絶美男子藤原実方、身分高く容姿も抜群、声までよいときて時々清少納言にはすねる(しかもこどもっぽく)藤原斉信。 そして能吏であり、人が土下座してまでその書を所望する真面目系無愛想イケメン藤原行成。 朝廷の女官たちの憧れであり垂涎の的であったイケメン男子たちと、清少納言の機知溢れる優雅こそはこれよ、なやり取り。 それを作者がどう描かれるのか。 ぜひ今後とも正座待機して続きを心待にしたいものである。
ウサギのプリンセス
メルヘン&バイオレンス #1巻応援
ウサギのプリンセス こおにたびらこ
兎来栄寿
兎来栄寿
"ギロチンかケツバット どちらか選べるよ" 年貢のにんじんを納められないうさぎに対して、罰を選択させるプリンセスの慈悲深いお言葉。 "ファッキングリズリー" クマによもぎ畑を荒らされたプリンセスから放たれた殺意。 また、クマが搗いたおもちに毛が混じりすぎて食べられたものではなくなっていたときにプリンセスから笑顔で放たれた殺意。 "ワグマァァ" 「ウサギのものはツキノワグマのもの」とイキったツキノワグマがプリンセスにドロップキックを食らって漏れ出た叫び声。 大体こんな感じの作品です。 おもしれー&チョれーウサギの姫が主人公のブラック&ホワイトコメディとなっています。 『にょろにょ~ろシリーズ』のこおにたびらこさんがWeb上で公開して話題になった作品で、単行本では15ページの中編エピソードが描き下ろされています。 見た目は童話のようにかわいいのですが、パワフルでバイオレンスやブラックも混ざります。 こどもに愛されそうなかわいい外見をしているのに、樹木の老人(?)に対して 「何だこの枯れ木」 と毒づくウサギ。 『日常』みたいな表情をするコブラ。 かわいい顔して腹黒さ極まるタヌキども。 ウサギたちの崇拝対象でありながら、子供が見たら夢に出てきそうな恐るべきにんじん様のヴィジュアル。 他者をディスった結果、放逐されるコアラ。 ゴリラ鬼つええ! ウサギを中心とした動物・生物たちの愉快で破天荒な姿は、じわじわと病みつきになります。 かわいいものが好き、だけどちょっと毒もあるとなおヨシ! という方にお薦めです。
ザ・にゃんフィクション
われわれはみんな「お猫様の奴隷」 #1巻応援
ザ・にゃんフィクション たなかふじもと
兎来栄寿
兎来栄寿
たなかふじもとさんが描く、実話ベースの猫マンガです。 大吉・中吉・小吉の3匹の猫と暮らす漫画家と、マネージャーの愉快な日常がコミカルに繰り広げられています三猫三様の性格や特色がしっかりと描かれますが、基本的にどの子も自由奔放なのは共通しています。 たなかふじもとさんは絵もスタイリッシュで読みやすい上に猫の所作や体勢がリアルでとても良いですが、文才を感じるセリフや文章もまた非常に味があり、特に猫をあやしながら悟りの境地に達するシーンが大好きです。 マネージャーはかわいい外見としっかりとした性格に反して、一生「◯◯」ネタを擦るのもまた好きです。 「誰だって◯◯に息を吹きかけられたら声出すでしょ!」 はあまりにその通り過ぎて笑いました。 漂白中のお風呂に侵入しようと次から次へとやってくる猫たちを、ちぎってはリリースちぎってはリリースしてタワーディフェンスのような状態になったときの 「こういうゲーム作ったら売れそう!!」 も的確すぎますし、幕間では実際の写真もたくさん出てくるのですが、PerfumeやEXILEなど似ているアーティストになぞらえたシリーズもとてもかわいく面白おかしくて笑みが溢れました。着眼点の良さを感じさせるネタが続出します。 3匹を飼うにいたった理由を描いたエピソードでは、とても共感を覚えました。私は犬飼いですが、コロコロの扱いが熟達していくのはよく解ります。 かわいくて面白くて癒やされる猫マンガが好きな方にお薦めです。