広告でまわり、見事につられました。

瀬戸内海に浮かぶ島が舞台。
主人公の大鳥サキは、高校時代、男女のいざこざが原因で、クラスメイトのリーダー格であるマリコから陰湿なイジメを受ける。
マリコは島でも有力者であることから、母親ともども村八分をうけ、結果、島を出ることになる。

数十年後、自分にした仕打ちを忘れたかのように笑って暮らすクラスメイトたちが、偶然テレビに映る。
母も死に、夢だった教師も諦めた不幸な自分と比較して、島でのうのうと暮らす彼らに、ふつふつと復讐心が芽生え、姿も名前も変えて島に舞い戻る、という流れ。

島の閉鎖空間で、マリコを筆頭としたカースト制度のようなものがしかれ、異様な空間が広がってますが、島や小さい村というのはえてしてこんなものなのでしょうか。
要は、有力者が何でも牛耳る。

主人公サキは、マリコの前に、外堀を埋めるかのように彼女の取り巻きである元クラスメイトたちに少しづつ接近していく。

よくある復讐劇なのですが、島の異様な慣習というか島の有力者マリコの狂気じみた権力、はたまた受け継がねばならない使命感なのかが良いスパイスになって、物語を面白くさせてくれます。

マリコの子供と、何か秘密があるようで、ただの復讐では終わらない底深さがあります。

まだ2巻ですが、マリコの夫にも接近して、物語が動き出した感じがあります。
閉鎖空間での復讐劇が好きな人にはおすすめです。

読みたい
iメンター すべては遺伝子に支配された
遺伝子とAIに支配された世界
iメンター すべては遺伝子に支配された
六文銭
六文銭
自分の遺伝子に応じて、適職や配偶者までも 「iメンター」 と呼ばれるAIツールのようなものが判断してくれる世界。 しかも精度が高いからほぼ合っているという感じで、人類は無駄な努力というものがなく(例えば、野球選手になれる特性がなければ野球をしないとか)、効率的に人生を送れるというもの。 近未来では、わりとこうなりそうな感じで読んでてワクワクした。 しかも、1話完結のオムニバス形式ですが、徐々につながっていく感じはゾクゾクしました。 余談ですが、昔何かの本で、 パンドラの箱の中身にあった、すべての災いの正体は「自分の未来」 という解釈をした本があって、それを思い出しました。 つまり、将来自分がどうなって、いつ何で死ぬかを知ること以上の絶望はないという解釈だったのですが、確かに、どうなるかわからないから可能性にかけて頑張れるというのありますよね。 だから本作のように、生まれながらにして将来が決まってしまう世界は、絶望しないのかな?とか考えてしまった。 登場人物、意外と穏便に過ごしているので。 いずれにせよ、SFジャンルとして考えさせられる作品で、3巻完結なのも読みやすくて良い作品でした。
グリーンボックス【合冊版】
一国か自分の命かを選ぶ設定が秀逸
グリーンボックス【合冊版】
六文銭
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気がつくと謎の部屋「グリーンボックス」に閉じ込められた主人公。 その部屋には 「欲しいものを思い浮かべながら滅ぼしたい国を選べ 当たりなら開放」 の文字と世界地図。 最初はテレビの企画か何かと疑い何もせずにいるが、徐々に我慢の限界になり試しに1つの国のボタンを押し自分のスマホと交換。 スマホからニュースを確認すると、それが現実であることを知る。 自身の命(というか食欲などの欲)と一国を天秤にかけるという設定が秀逸で、その後タカが外れたように国を滅ぼすことに抵抗がなくなっていく主人公の心理が面白い。 ボタン1つで国が滅びるというのが実感がなく、また人ひとりではなく、国単位なのも想像しにくいからより葛藤がないのだろう。 また自身もこの部屋に閉じ込められたという被害者意識から自らの欲を優先していく様が、生々しい。 当然、各国もだまっていなくて対策を講じるも、根本的な解決にならない。 このボックスの正体も徐々に明らかになっていくが、ジリジリとしたストーリー展開ですごい先が気になるつくり。 とにかくヒキがうまい。 どうオチがつくのか最後まで見届けたい作品です。
武士沢レシーブ
謎に読み返したくなる
武士沢レシーブ
六文銭
六文銭
思春期に「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」をリアルタイムで読んでいた人はわかってくれると思うのだが、ギャグ漫画としてのマサルさんの衝撃はとにかく凄まじかった。 意味不明なのに爆笑できるという体験をさせてもらった作品で、シュールのような斜に構えたものでもなく、浦安鉄筋家族のようなわかりやすいギャグでもない。 でも面白い!という今でも強烈に覚えているほど私には衝撃的だった。 そのうえで、次回作がコレ。 そして、『ピューと吹く!ジャガー』に続く。 つまり、マサルさんとジャガーの間が本作。 わかりやすく言うと打ち切りなのだが、これはこれで私にとっては衝撃的だった。 マサルさんの衝撃後、同著者の新連載ということで本作を読んだら、文字通り ??? となった。リアルタイムで読んでいた人は(以下略 雰囲気はマサルさんチックなのだが、ヒーローに憧れるとかバトル要素が強く、どことなくギャグのキレも弱い。 でも、大人になるとなぜか無償に読みたくなる。 マサルさんの著者なのになぜ?と友人とよく話していた思い出補正もある。 加えて、マサルさんからジャガーへ昇華される段階なのか?という捉え方ができたり、純粋に天才だと思った作家の人間味を感じる。 ギャグ漫画の鬼才だと思っていた人間も、迷走するんだなと。 (マサルさんの後半も結構失速感はあった) 大好きな作家の、そんな一部が垣間見えるということで、謎に読み返したくなる作品です。 作家ファンの人にとっては貴重な体験になるのではないでしょうか。 最後に、ギャグのキレが弱いと言いましたが。「イヌーピー」(要はアレ)というキャラだけは、腹かかえて笑いました。
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