3.5
star
star
star
star_half
star_border
年の差がある義理の妹と、大人の兄のラブストーリー。非現実的な設定を、この作者は圧倒的にリアルな、鋭い切れ味で突きつける。ヒロインの魅力と、主人公の葛藤、二人を取り巻く他人の目、全てがどうしようもなくリアルで救いがない。
13歳の少女「初穂」の描写の緻密さは、この作品の最大の魅力だ。艶やかな唇、周囲の目と抗う強さ、少女ゆえの脆さ。めっっっちゃくちゃ可愛い。守ってあげたい、自分のものにしたい、めっちゃわかる。
全てを失った主人公「一」が抱く恋慕の情、背徳感、葛藤は、一巻を読み終える頃にはもはや他人事ではなくなっている。しかし同時に他人である我々は、彼らが行き着く未来は破滅への道であることを予期してしまう。どうにか幸せになりたいなあ、そう祈りながら次刊を待つ。