あつあつ!スタグル旅
FC東京サポーター名物「蝗活」がまさかの漫画化!!?!?
あつあつ!スタグル旅 能田達規
mampuku
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「蝗」、それは、アウェー遠征ではスタジアムの出店のみならず道中のグルメを持ち前の食欲と動員力で食い尽くす、FC東京サポーターにつけられた異名である。 「蝗が来るときは倍の量を用意すべし。“『FC東京さんが来るからいつもより多めに用意しておくか』の倍”だ」 そんなFC東京サポーターが「蝗」として恐れられるようになった裏には、とある悲しい歴史があった。 かつて東京の本拠地・味の素スタジアムには数万人にのぼる来場者を満足させるだけのスタジアムグルメが長い間存在しなかった。周辺にもKFCやすき家などがあるばかりで、満足感と、何より「特別感」が皆無だった。時々使用される旧国立競技場はこれに輪をかけて悲惨だった。結果として、サポーターたちの持て余した食欲の矛先はアウェー遠征へと向かうこととなる。 かたや軍隊のごとく統率され試合前から大声で応援歌を歌う浦和レッズのようなサポーターとは対称的に、ビールや弁当を買い込んでお祭り気分で観戦を楽しむ東京人のスタイルもまた「蝗化」に拍車をかけた。 湘南のビール、千葉の焼きソーセージ、鳥栖のミンチ天etc……行く先々で名物グルメを品切れ続出に追い込みながら全国を食い荒らしまわり、その様子はハッシュタグ「#蝗活」をつけてSNSを賑わせた。 ちなみに今では味の素スタジアムのグルメも強化され、場外には毎試合ケータリングカーが所狭しと並ぶようになったが、アウェー戦での「蝗活」は変わらず続いている。 そんなサポーターたちにとって待ちに待ったJリーグの新シーズンがついに昨日開幕した。それにほぼタイミングを同じくして「蝗活」を題材にした漫画がスタートした。北は北海道コンサドーレ札幌、南はサガン鳥栖まで、現地に行きたくなっちゃうグルメ漫画になることに期待せずにはいられない。
最果てに惑う
復讐の連鎖か、それ以上なのか #1巻応援
最果てに惑う モモヤマハト
兎来栄寿
兎来栄寿
成年向け雑誌でも一般誌でも活躍しているモモヤマハトさんによる一般誌最新作。 モモヤマハトさんは何と言っても心を抉るような展開を得意としていますし、本作も1話からそういった方向へと疾駆していく設定です。 7年前に最愛の妹である由里が強姦され自殺してしまったことを受け、犯人である塾講師を殺して刑務所に入っていた主人公・一馬。出所後、既に生きていることに未練はなく、すぐに由里のもとへ行こうと思っていたところで殺した男の娘と思しき少女・椎花と出逢い関係を持ち始めていきます。 死ぬつもりだったにも関わらず母親からは 「あなたは十分苦しんだ  これからは自分の幸せだけを考えなさい  また家族で一緒に頑張っていこう」 と精一杯の笑顔で生を願われ、そして自分が憎むべき仇であろう椎花と逢って精神がグチャグチャになる主人公とその行く末が見どころです。椎花は椎花で他にもいろいろな背景があり、どこに進むにしても地獄。 今回は表紙絵も綺麗で売れ感もありますし、モモヤマハトさんのラフな線が重なって味になっている絵が好きです。 精神的なダメージを負うのはほほ確実としても、サスペンスとして続きが気になる構成です。今までの作品が好きだった方も、そうでない方にもお薦めします。
足が早いイワシと私 ~河野別荘地短編集~
奇想から情緒まで #1巻応援
足が早いイワシと私 ~河野別荘地短編集~ 河野別荘地
兎来栄寿
兎来栄寿
河野別荘地さんが大学生の頃に初めて描いた作品から、オモコロ 、『フォアミセス』、『モーニング』などに掲載された近年の作品までを10作品を収録した作品集です。 『足が早いイワシと私』というタイトルの本で、一番最初に載っているのが「足を洗う」、一番最後がそれを後年にセルフリメイクした「ネオ足を洗う」という構成なのが何とも面白いです。 大学時代に初めてまともに原稿用紙に描いた作品であるという「おばあちゃんのほほ袋」からして、不思議な作家性が滲み出ています。他の大学生時代に描いた「足を洗う」、「爪の垢」も画的にはまだ洗練されていないものの独特の雰囲気をまとった面白い作品です。この1冊で、その後の画力の大きな向上のビフォーアフターも楽しめます。 表題作の「足が早いイワシと私」や「冬眠休暇」、「労働監督」などは『世にも奇妙な物語』な星新一さんのショートショートを髣髴とさせるような、設定に面白さのある作品。 「Fly me too the moon」や「私の先輩」では非常に良い情緒を味わえます。個人的にはこの本の中でも特に好きなお話です。 1冊を通して、フレッシュで奇抜な作品から円熟味を感じるヒューマンドラマまでバラエティ豊かに楽しめるお薦めの短編集です。
わけあって絶滅しました。ビューティフル
みんなみんな生きていたんだ(過去形) #1巻応援
わけあって絶滅しました。ビューティフル 行徒 河田雄志 今泉忠明
兎来栄寿
兎来栄寿
「名著『わけあって絶滅しました。』をコミカライズってのはわかる…スゲーよくわかる いろんな生き物が絶滅したエピソードは マンガで読んでも絶対面白いに決まっとるからな… だが『×美少年』って部分はどういう事だああ〜〜〜ッッ!? あらゆる生物を擬人化して美少年にするっつーのかよーーーッ! 行徒先生の作画でェ〜〜〜ッ!? どういう事だ! どういう事だよッ! クソッ! ナメやがってこのコミカライズゥゥゥ〜〜〜!! 超最高じゃねーか クソッ! クソッ!」 と、心の中のギアッチョが猛りだしました。この企画を立案して通した方は最高だと思います。 私が特に好きなのはオドントケリスの回だったのですが、まさにその回を作画担当の行徒さんがTwitterで上げていたのでぜひ読んでみてください。 https://twitter.com/yukit0o0/status/1630391315635802112?s=46&t=aPYURLk7MwHKhx8tFWOvzQ このような形で、さまざまな生物の絶滅に至ったまでの物語が1種数ページで描かれます。中高生がこれを読めば生物の成績が良くなること間違いなしなので、ぜひ学校にも置いて欲しいです。 また、小学生の頃から美少年が大好きな私は行徒さんの美少年がたくさん見られて二度美味しかったです。 しかし、『学園革命伝ミツルギ』に出逢ったときからずっと河田雄志さん×行徒さんが大好きなのですが、『ミツルギ』が再来年で20周年というのは人を宇宙猫のようにするのに十分な事実ですね……。 『誰が奥寺翔を殺したのか?』も始まりましたが、今後も末長いご活躍をして欲しいです。