フリクションガール

女性クライマーに「惚れる」視点

フリクションガール noga
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1巻では少し奇妙なクライマーの生態と、挫折した女子の新たな一歩を描いた本作。2巻ではより本格的にボルダリングを描き始めますが、女子の楽しげなやり取りの中に、クライマーのカッコ良さがふんだんに描かれています。 これを読んで、クライマーに惚れない人はいないでしょう! 分かりやすいのは、鍛えられたボディ。全体的に大きなギャオ&細マッチョなむゆ先輩の彫刻の様な身体は、初心者のうーちゃん&たまちゃんと並ぶとより際立つ。そしてその身体がウォールで躍動する迫力!私の中の乙女心がトゥンク…します。 または精神性。ギャオの望みは「どんな壁でも登れるようにありたい」というもの。その高い志は、ただ自分を高める事に向けられます。強さと、誰かを追い落とさない優しさの同居。その在り方に憧れてしまいます。 そんな強く優しいギャオに、主人公・うーちゃんはかなり惚れて?しまっている様子。同じ道具使いたいだなんて……。そして、ギャオの言った「サイコーになる」を知りたくて、うーちゃんは今後も登り続ける様子です。 ギャオとボルダリングに救われたうーちゃんが、どんなクライマーになるのか……じっくり進む本作、少なくともあと10巻は読みたい!
フリクションガール

マネ厳禁!学校の壁を登る女子に出会った!

フリクションガール noga
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
一人暗く過ごしていた新高校一年生・うーちゃんは、妙な光景に出会う。え…… 誰かが非常階段を、 「外から」よじ登ってる! (注:絶対マネしないでね!) 何やってるの!と思わず声をかけたうーちゃん、登っていた女子・ギャオに誘われ、あれよあれよとボルダリングに挑戦することに。 今までピアノに打ち込んできたうーちゃん。受験に失敗し、失意の中で「指が駄目になる」覚悟で挑んだボルダリング。ギャオの喜ぶ顔を見て、もっとやってみたくなる。……「サイコーになる」って、どんなだろう? ★★★★★ この作品、ボルダリングの「魅力」の取り上げ方が、独特だ。 まず、ギャオが登る場所。学校の非常階段を外から攻略、岩を見ればマリア様の上もお構いなし、そして荘厳なステンドグラス窓も、彼女には攻略対象でしかない。 全ての壁が……自然であれ人工であれ……攻略対象なのだろうが、ギャオの場合、かなり無謀で、挑戦的だ。日常の風景の中に、まるで未踏の地を進む冒険家のようなときめきを見出している。 我々は、真似してはいけない。鍛え抜かれたギャオの挑戦の日々を、この作品で眩しく見つめるだけにしよう。 それから、途中から参加のマミちゃんの、ダイエットやインスタ映えという視点も、ああ確かに大事だよね、と思わされる。(ダイエットきっかけでボルダリングする漫画として『ぽちゃクライム!』もご覧下さい!) ★★★★★ 取り敢えず、ギャオとマミちゃんと遊ぶのが楽しい、から始まる、うーちゃんのボルダリング。 ここでカバーを見返してほしい。 物語最初の暗い表情とも、最後の柔らかな笑顔とも違う表情。いつの日かこれを見るのが、きっとこの作品の到達点なのだろう。うーちゃん変われるか!? あと、部活とかって……?
ファイティング寿限無

落語のタメにボクシングをやるぞ!応援出来ますか?

ファイティング寿限無 立川談四楼 野部優美
名無し
スポーツ界のヒーローなんて才能がある人間が努力した上で 仲間や運に恵まれなければなれるモンじゃない。 そして努力が出来たり仲間が応援してくれたりするのは 本人が、真面目に本気で取り組んでいればこそ。 そうでなければ頑張れないし廻りも応援しない。 そもそも、どんなに才能があっても好きでなければ 努力できないだろうし、 好きでもないのに出来る程度の努力しかしない主人公は 現実でも漫画でも、共感を得るのは難しい、そう思う。 だからだと思うが、スポーツ漫画の主人公は そのスポーツが大好き、というのが定番。 それか、好きじゃなかったけれど、 やってみて好きになった、とか。 「ファイティング寿限無」も、 やってみて好きになったパターンではある。 だが、そうなるまでも、そうなってからも、が ハンパじゃない。 修行中の落語家「橘屋・小龍」こと小林は 師匠が好きで師匠命で師匠の命令は絶対。 だが師匠は落語の実力者でありながら、 実力至上主義ではない。 芸人は売れなきゃ惨めなものなんだ、というリアリスト。 「手段はナンでもいいから売れろ。付加価値を付けろ。」 その教えに従い、小林が選んだ手段が 「落語も出来るプロボクサー」 落語が師匠が命な小林だけに、 ボクシング命でない自分がボクサーを目指すことに 引け目を感じつつトレーニングに励む。 だがプロボクシングの世界は、 好き嫌いだ本気だ遊びだ、とかの 全てを飲み込んで濾過した上で強者だけが生き残るという 別の意味で純粋で単純な世界だった。 さらに思いがけず、落語とボクシングが融合することで 小林の才能が開花し、ボクシングに本気になり、 周囲も小林を知り応援してくれるようになっていく。 やりたくないならやるな、好きじゃないならやるな、を 逆説的に問うてくる、そんな漫画。 しかもそれだけじゃない笑いながら泣けてしまう漫画。
酒は辛口肴は下ネタ

辛口のエロが笑いや涙を心地よく洗い流す

酒は辛口肴は下ネタ みさき速
名無し
辛口の酒は美味い。 甘口でも美味い酒はあるが、 料理に合わせるなら辛口のほうが良い。 塩気のある肴もホロ苦い肴も、 甘い肴でさえ、旨味を膨らませてくれる。 口に含んで感じる肴の味を、適度に洗い流すことで、 その奥に秘めていた味に気づかせてくれることもある。 主人公・太郎は東京の下町で居酒屋「男道」を 1人できりもりしている。 実は京都の由緒正しい老舗料亭の息子で 料理の技術・知識・感性は超一流。 しかし性格的には堅物すぎて、店は女人禁制。 美味しい酒と肴を静かに味わう店を目指している。 そこに小学生の妹・花七が京都から押しかけてくる。 花七は由緒正しい家の娘ゆえの天然で本物の色魔。 堅物すぎる兄様に「色も欲なら食も欲」と 人間としても料理人としても、そして男としても 「一皮むけた」人間になってもらおうと奮闘し始める。 通常のグルメ漫画、とくに酒絡みの漫画ならば 美味しい酒と美味しい肴の組み合わせの素晴らしさを 描くのが普通だ。 四季折々の食材を素材の味が引き立つように組み合わせて調理し、 そこに日本各地の銘酒をあわせて、酒と肴の双方の味が より引き立ち膨らむとかの話を描くのがスタンダード。 しかしこの漫画で料理や肴、そして人情の機微を より引き出し、より味あわせて見せてくれるのは 辛口の銘酒ではない。 エロだ。 大吟醸の純米酒とか、久保田や春鹿、瀬祭ではない。 ロリ、巨乳、独身大家、さらに女王様からヒキニートまで。 よくもまあここまでというくらいの各種のエロが、 怒涛の如く押し寄せてくるが、それが通り過ぎた後に残る 人情の味が、意外なほどに味わいがある。 実は漫画全体としてはサービス・カット的にエロい絵もあるが、 それほどにドロドロした展開や絵はない。 ワリとスッキリとした辛口のエロだと思う。 また、登場する料理自体も、和食中心の本格的な料理が多い。 安酒と適当なツマミとかの悪酔いを誘う組み合わせではない。 ちょっと禁断の味に踏み込んだ、 わりとスッキリした辛口のエロと、 美味しそうな肴が味わえて、 後口にはチョット良い人情の味が残る、 そういう美味しい組み合わせの漫画だと思う。 まあ、下ネタが苦手な人にはダメだろうけれど(笑)。