ドライブとか上司とかにコメントする
今日どこさん行くと?
漫画と土地の記憶(インタビュー記事を読んで)
今日どこさん行くと? 鹿子木灯
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
『今日どこさん行くと?』の作品ページに、作者の鹿子木灯先生のインタビューへのリンクが追加されたので、読んでみました。 熊本地震で被災された先生が、熊本のPRのため、そして復興していく様子を残したいという意思のもと、この作品を産み出されたことに、色々な感慨が湧くのですが、読者としてこの作品が嬉しいのは、 ●変わりゆく熊本の記録が読める ●美しく楽しい熊本が描かれている の二点を両立しているところにある、と思っていたので、先生のインタビューは大変納得いくものでした。 敢えて復興の途中を描くのは、美しさに欠けると思われるかもしれませんが、記録としては貴重なものです。何よりもそれは、復興を望む人々の、強い想いの記憶でもあります。そう思えば、復興の生々しい過程も、完成された美しい光景も、その土地の人々にとっては等価に愛しいものでしょう。 ある土地を描くことは、その土地の記憶を描くことです。(長い目で見れば)いずれ失われる物を描き残すことは、そこを大切にした人々の、生きた証を残すことでもあります。 こうした漫画作品が残されることは、何よりも熊本の方にとって、嬉しいことでしょう。そのことは、次作の熊本ドライブ漫画『私の魅力がわからんと!?』が、ネッツトヨタ熊本さんの企画であることにも表れていると思います。 今(2020年7月)、熊本をはじめ九州地方は大きな水害に遭い、再び郷土が奪われる事態となっています。『私の魅力がわからんと!?』の内容にも今後、それが反映される「かもしれません」。また他作品では、『放課後ていぼう日誌』の舞台・芦北町は甚大な被害を受け、作者の小坂泰之先生も被災され、連載を休載されるようです。また、『カワセミさんの釣りごはん』の地域も大雨に見舞われているようです。 様々な作品の発表に、大きな影響が現れるのかもしれません。しかしまずは、何よりも先生方と九州の皆様の、身体の健康と心の安寧を、お祈り申し上げます。 私達はまず、今ある作品でこの地域に想いを馳せ、もしこの後、作品がまた産み出される時が来たら、その作品から様々に変わっていく九州と、変わらず美しい九州を、また鑑賞し、コレクションすることで応援出来たらと思います。 結論:まずは『今日どこさん行くと?』と『私の魅力がわからんと!?』を読もう!
今日どこさん行くと?
漫画で楽しむ坂道アップダウン
今日どこさん行くと? 鹿子木灯
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
この漫画の見所は●熊本県漫画●運転好きのかわいい上司を愛でる●難しい道を楽しむ、などが挙げられます。私は熊本も、車も詳しくないのですが、「難しい道」の描き方に面白さを感じました。 例えば、坂道やカーブを「写真」で表現するのは、意外と難しいです。自分で撮った写真を人に見せても「それで?」と言われて終わってしまいます。面白い部分を、端的に表現できないのです。 私はこれは、写真という、縦横比が固定のメディアの限界なのかも、と思っています。強調したい部分以外が入り込み過ぎるので、主題のぼやけた写真になるのです。 そこでこの「漫画」作品の表現を見てみると、特徴的なのは、コマの縦横比が極端なことです。 例えばヘアピンカーブは、見開き四分の三を横長に三分割して、うねりの面白さをコマいっぱいに見せ、それ以外の部分をカットしています。 また、勾配や極細の路地は、極端に縦長のコマにクルマと道のみを強調し、苦しさや切迫感を演出します。 更に上り坂を表現するのに、画面を90度回転させ、重力に逆らうように車を上向きにするなど、様々な工夫で、地形の醍醐味だけを、コマの中に凝縮しています。 こうして、アップダウンのある光景を、実感をもって描き出しているこの作品は、地形マニア(特に坂道マニア)や酷道ファン(酷道も険道も出て来ませんが)などに、受け入れられるかもしれません。 言葉ではなく絵で「高低差マニア」をワクワクさせる作品として、今後も期待したいと思います! (熊本県漫画としてのレビューは、他の方に託します!)
不揃いの連理
タイトルから見る"伴侶"の形
不揃いの連理
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
ここではタイトル『不揃いの連理』の語義と内容をリンクさせながら、(6巻までで)四組の女性ペアの関係を追う本作の魅力を書いてみたいと思います。 「連理木(れんりぼく・れんりぎ)」というのは、隣りあった木々の接触した枝や幹が一つにくっつき、木目まで混ざり合った状態のこと。そこから「連理」という言葉は二人の深い契りを表すのだそうです。 幸せな予感のある「連理」という言葉。では「不揃いの」という言葉はどうでしょう? 登場するペアは、いずれも全然タイプの違う二人。そしてどちらか片方、もしくは両方とも「ダメな人」だったりもします。 まっとうな会社員×元不良は見た目に反して、ダメなのは会社員の方。いかにも悪そうな人と優等生のJKコンビは、優等生が意外と暴力的etc……。でもそんな二人が何故か寄り添う。 ではそこにどんな心があるのか。 ある人に惹かれる理由を、言葉で言い表すのは難しい。でも、なぜある人の側にいるかは、理由を言える場合もある。 この作品でそれが分かりやすいのは、ダメな漫画家に接する生真面目な編集者。彼女は恋愛的惹かれの他に、ダメな漫画家を支える動機としての「ある気持ち」を持っている。そして同じようなものは、他の三組にも見て取れる。「ある気持ち」はおそらく頼りない人に対する普遍的な心情なので、納得する人は多いと思います。 「ある気持ち」で支え合い、接するうち、彼女たちはいつのまにか離れ難くなっていく。そこには理屈ではなく、もはや必然として一つになった連理木が生まれている。 伴侶って、こういうことだよな……大きな安心感とエモーションが同居する感じ。実はかなり暴力描写・しんどい内容も多いのにそれはとても不思議な感覚で、いつまでもこの物語を追う動機となってゆくのです。 ダメな人に対する、共通する「ある気持ち」......どんなものか、ぜひ本作から探してみてください。 さあ、まだ不穏な堅物教師×生徒の物語はどうなるかな? (6巻までの感想) (追記:実はマンバ読書会でリアルタイムで書いたものから、細かく改稿しています。どんなふうに変化しているか、ぜひ配信と比較してみてください! https://www.youtube.com/watch?v=FgBPuVvUHFI) #マンバ読書会 #クチコミを書く回
奏のララ
陽ギャルミーツ陰ボーイ&絵画 #1巻応援
奏のララ
兎来栄寿
兎来栄寿
近年も「ギャル」という存在は大人気ですが、ギャルが持ち前のスーパーポジティブさと激高コミュ力によって、普通ならコミュニケーションを図るときに存在する壁をいとも容易く瓦解させ突破していくところは爽快ですよね。そして、触れ合った者にもその陽の気を与えていくところもまた強く、物語創作においても徴用されるのもむべなるかな。 本作は、『漫画的展開で彼をオトしたい!』の西宮瑠花さんが新たに描く、ギャル×天才陰キャ少年×絵画な物語です。 この作品の主人公ララも、非常に良いギャルっぷりを見せてくれます。高校入学1ヶ月で数学の授業を落とす直前まで行っている不真面目さ加減は見せつつも、心根は優しく明るい良いギャルです。すっぴん時にはパッとしない容姿が、化粧によってバチバチに盛れるのもある種リアルです。 そんなララが、同じ学校でありながら偏差値が40も離れた芸術科で絵を描く天才・奏(かなで)に出逢うことで運命の輪が転回を始めます。奏の絵に一目惚れして、まったく未経験ながら自分も絵を描くことを始めてみようとするララ。そして、ララという最高のモチーフにして、自分を全肯定してくれる無二の存在に初めて出逢った陰の者の奏。彼らが織りなすインパクトの強いハーモニーが、胸を高鳴らせてくれます。 「サイコミといえば毒親」というくらい、サイコミ作品の主人公たちは毒親に苦しめられていることが多いのですが、本作のララのお母さんは珍しく良い意味でこの親にしてこの子ありと言えるものすごく良いお母さんです。絵を描き始めようとしたララは周囲からさまざまな理由で反対されたり難色を示されたりしますが、そんな中でも慰めて明るく励まして応援してくれる母親の姿はサイコミでは非常に珍しくて思わず感激してしまいました。その分、奏の方の家庭がいろいろと複雑ではあるのですが……。 西宮さんの画力の高さでキャラクターの魅力が引き立っていますし、また物語的にも絵に一目惚れしたというエピソードが視覚的に否応なく納得感を生んでくれてララに同調できます。好きなものを見つけて、本気で取り組んでみる瞬間は大切で美しいもの。人によっては否定するかもしれませんが、これくらいのきっかけだって全然良いですよね。 必死に努力しても届かないものに、軽い気持ちで手を出そうとするララのことが気に食わない委員長の篠原ゆりこさんや、奏の弟の春を始めサブキャラクターも味があり、主軸のふたりを含め彼らがどのようになっていくのか今後も楽しみです。 なお、1巻巻末のゴールデンレトリバーちゃんもかわいいです。
偽聖女クソオブザイヤー
見た目は聖女、中身はおっさん。ゲスさは心のなかに。
偽聖女クソオブザイヤー
ゆゆゆ
ゆゆゆ
メインヒロイン・エテルナに惚れて買ったギャルゲーが、メインヒロインがほぼ死ぬルートばかり。 そんなゲームにどハマりした、死に至る不治?の病の主人公。 ヒロインが死ぬ原因はクソオブクソの悪役偽聖女が、ヒロインが闇落ちするルートを無数に用意して消えるから。 ヒロインが救われる未来を! 二次創作ですら解消できない思いをこじらせた主人公は、なぜか夢の世界でクソオブクソの偽聖女のほうになっていた! どうや、夢の中は現実のゲームと連動しているようで…?? タイトルの酷さに興味を引かれ、読んでみて主人公の雑さ…もといエテルナラブっぷりがおもしろい。 エテルナラブ。 心の中はとても雑で、とてもゲスい。 でも大好きなヒロインに清らかな聖女の座を譲り渡すため、奮闘&まるで聖女のような言動をとっている。 すべてはエテルナを救うために。 そのギャップだけで楽しくて読み進められる。 バレないものですなあ。 主人公の介入によって、ゲーム内主人公がマッチョになっていたり、ヒロインが自身の存在を疑問に思い始めたり、いろいろ布石は敷かれている。 気づかず、ゲスい心で清らかな偽聖女を演じる主人公。 主人公は、ゲーム内主人公とエテルナのトゥルーラブルートをみることはできるのか! 乞うご期待!!
神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~
LINEマンガNo.1作品が単行本化! #1巻応援
神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~
兎来栄寿
兎来栄寿
元々は漫画家向けのさまざまなサービスを行ってきたナンバーナインが、社運を賭け全力で送り出してきたオリジナルWebtoon。『終極エンゲージ』や『鉄輪のカゲ・ルイ』の江藤俊司さんが原作を務める作品です。 今年の1月には月間の売上が1億円を超え、LINEマンガにおけるview数も累計1億viewを突破し、現在快進撃を続けている作品です。近い将来にアニメ化などもされ、ますますブレイクしていくのではないでしょうか。 個人的に中の方々との関係値が深いこともあり始まったときから応援してきているのですが、ここでは忌憚なき意見を述べたいと思います。 まず、率直に言って本作は面白いです。ただ、今回発売した単行本1巻の範囲では、今後の展開への期待を煽るカットバックや世界観の説明がある原作の1話がない上に、まだヒロインも登場していないこともあって作品の魅力が十分に伝わり切らないと思います。特に序盤はいわゆるWebtoonやなろう系にありがちな設定のテンプレート的な展開ですし、正直に言って新鮮味もそこまでありません。最初にこの単行本だけを渡され読んだ場合、「イマイチかな~」とそこで読むのを止めてしまうことも大いに有り得るでしょう。それは少しもったいないです。 この『神血の救世主』は、黄金級プレイヤーたちがその力と魅力を振るい始める20話くらいまではまず読んでみて欲しいと思います。LINEマンガでは2、3日でそこまでは無料でも読めるでしょう。『聖闘士星矢』も黄金聖闘士が出てから、『鬼滅の刃』も柱が出てから、すなわち魅力的なサブキャラクターたちが複数登場してから人気がより強固なものになっていきました。まずそこまで読んで楽しめるようであれば、そこから先はさらに面白さが加速していきます。 私は江藤さんの外連味溢れる厨二病感や、王道展開の中でも意外性を持たせて強い引きを作る部分が好きで信頼しています。そういった面は、後からどんどん強まって登場してきて、大いに作品の魅力として発揮されていきます。江藤さんが初めて挑むWebtoonというフォーマットでありながら、そこに上手くアジャストしながら持ち味を活かしていこうという工夫も随所に見て取れ、従来のWebtoonにはなかった国産Webtoonとしてできることを実験している部分も今後の作品の可能性の拡張に繋がっていく価値ある挑戦だと思います。 王道的バトルファンタジーとしての要素をしっかり踏襲し、段階的にカタルシスがありながら、キャラクターも魅力的。国産Webtoonのベンチマークとして今後も注目され続けていくであろう作品ですので、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。 余談ですが、私個人は買うときにマンガの値段を気にすることはまずありませんが、この価格だと特に小中高生にとっては高価に感じられ購入を躊躇ってしまうであろうことは否めません。単行本の価格は近年紙や印刷代、運送費用も高騰しているので軒並み高くなってきているという事情は承知しています。フルカラーだとこのくらいの値段になってしまうのも重々解ります。ただその上で、せめて電子版だけでももう少し安く設定してもらうか、あるいは単行本でしか読めない巻末のおまけを更に充実させるなどがあると良いなと思います。
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