太平洋戦争マンガの感想・レビュー64件<<123>>家庭と仕事と戦争。妻と夫の戦時日常物語 #完結応援東京物語 滝沢聖峰たか東京・国立の文化住宅に暮らす若い夫婦の暮らしを描いたお話。「日常もの」と思って読んだら下巻で予想もつかない衝撃の展開が2回もあり打ちのめされています。つらすぎる…。 戦闘機のテストパイロットである夫の仕事と、妻が家で行う家事に戦争が影響を及ぼす様が描かれていて読み応えがあります。 白河夫妻の関係、そして2人が住む洋間がある和風住宅がが本当に素敵でまるで朝ドラを観てるみたいでした。 だからこそ、下巻での2度の衝撃は読んでいて堪えました…。 本当にあまりにも唐突すぎて、正直こんなの物語としてありかよという気持ちになりました。しかし、戦時だろうと平時だろうと時代が変わろうと、こうやって大事な人が納得できない形で突然いなくなる可能性はいつでもあるんですよね…。 夫婦の温かい日常を描きながら受け入れ難い事実を突きつけてくるいい作品でした。そこに生きていた人にしかわからない戦時中、戦後の日常生活。風太郎不戦日記 山田風太郎 勝田文starstarstarstarstar干し芋戦時中にまさにそこで、生活していた人々の生きている様が、日記とともに記されている。 空襲警報にも慣れて、それが、日常化する日々。 唯一の楽しみの銭湯でさえ、湯船はドロドロで不潔極まりなく、着ていたもの、履いていたものが、盗まれる日々。 戦渦での学生達の勉強どころではない環境下でも試験があったり、空襲があれば、試験はなしで全員合格という大学の判断も面白い。 空襲後、友人が学校に登校してこなければ、大丈夫かと焼け跡を訪ねていったり、自分自身の生活もままならない状態にも関わらず人との絆はを大切にする。 大学の疎開、生徒たちが顕微鏡大切にを持って疎開先に運ぶ。そして、そこに新たに設けられた付属の食堂にはなんと紅茶ゼリーがあったそうな。 そこに、生きていなければこういった日常は、伝えられない。 戦争を体験した人々が少なくなる中で、当時の人々の日常生活が描かれている貴重な作品だと思う。零戦搭乗員の日常を描いた物語ヨーソロー!! ―宜シク候― 三島衛里子かしこ三島衛里子先生の描かれる軍人があまりにもカッコよくて、最初はやましい気持ちで読んでいました。しかし主人公の戸澤が何の迷いもなく国の為に命を捧げようとする理由が悲しい生い立ちにあることが分かったのと同時に戦況も悪化していき、物語から目が離せなくなっていきます。戦時中であれども現代に生きる我々と変わらない日常を過ごしていたことをユーモアを交えながら描きつつ、いつでも死が身近にあったことも彼らにとっては当たり前だったし、そういう時代を生きていた人が今もいることを気づかせてくれます。とはいえ残酷ではなく誰もが手に取りやすい表現になっているのがいいなと思います。もちろん軍服や戦闘機のカッコよさに惹かれて読み始めるのもオススメです。個人的には戸澤の肉体美も素晴らしいと思いますが、眉毛が一番好きなポイントです…!よく生き抜いた新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 おざわゆきnyae決して、生き抜いた人々は生きたいと強く願ったわけではない。運だ。全てにおいて自分の意思など意味がない環境で命令されるまま、怪我や病で死んでゆく仲間を横目に「次は自分か」と思うだけ。 極限とか絶望とか簡単に口にできなくなる。「死んだほうがマシでは」と何度も思った。しかし、生き抜いた。そして何十年の時を経ていろんな人へ漫画を通して伝えられた。凄いことだ。 そこで「それに比べれば今がどれだけ平和か」と思えることにも意味はあるけど、毎日能天気ではいけないと思う。 主人公たちが受けた仕打ちはもちろん、日本がしたことも、事実として一生歴史から消えることはない。厳選!読んでほしいこのマンガいじめ探偵著者:榎屋克優阿部泰尚2巻まで刊行作品情報はこちら戦後70年を過ぎても読んでほしい戦争特集号戦後70周年増刊号 ビッグコミックオリジナル編集部starstarstarstarstarひさぴよ2015年、戦後70周年に際して組まれたビッグコミックオリジナルの増刊号。各世代の漫画家が表現した「戦争マンガ 」16作が収録されています。過去作の再録だけでなく描き下ろし作品が半数近くあり、いずれも力作揃いです。戦中戦後の話だけでなく戦争の未来を描いたものまで幅広く、憲法9条を擬人化した「さよなら憲ちゃん」のような意欲作もあって面白いです。ちなみに、いましろ先生だけは釣り&愚痴のいつも通りの漫画になります(^ ^;) 重いテーマの作品が多いですが、収録順に趣向が凝らしてあり、最後まで疲れずに読み通しやすいです。収録作をまとめてみましたが、これが五百円で読めてしまうなんてお得すぎます。 以下、収録作 水木しげる「人間玉」 滝田ゆう「夢いちりん」 松本零士「晴天365日」 さそうあきら「奈々子戦記」描き下ろし 浅野いにお「きのこたけのこ」 高橋しん「LOVE STORY, KILLED.」 いましろたかし「自爆列島」描き下ろし 山上たつひこ「光る風」 呉智英さん解説付き 三島衛里子「橋のたもとで」描き下ろし 石坂啓「さよなら憲ちゃん」描き下ろし 比嘉慂「砂の剣」 あまやゆうき/吉田史朗「僕はあの歌が思い出せない」描き下ろし 竹熊健太郎/羽生生純「ほーむ・るーむ」 東陽片岡「五式戦じじいのブルース」描き下ろし 井上洋介「少年と戦争」 花輪和一「小日本鬼子穴」描き下ろし <コラム> いとうせいこう、無着成恭、横尾忠則、モーリー・ロバートソン、片岡義男、南信長「漫画と戦争」 漫画の合間のコラム「わたしの戦後70年談話」も読み応えがありました。 著名人が戦争を語ってゆくのですが、有名な教育者である無着成恭先生の「なぜ戦争はなくならないのか」という問いに対しての回答がとにかく素晴らしかったです。仏教的な観点で人間、畜生、餓鬼に例えた説話がおもしろいのなんの、このテーマだけで本一冊作れるのでは?と思ってしまうほど。 最後に<編集後記>堀靖樹さんのメッセージは本当にその通りだと思いました。”時代のカナリア”として戦後70年を過ぎても読まれ続けてほしい一冊です。 > 『こうして眺めてみると漫画家はやはり自由の民です。本能的にお上の胡散臭さを嗅ぎ分けてますし、自分の生死は自分の戦場で決めたいと考えています。だからこの増刊は時代のカナリアかもしれません。漫画家の想像力はもう何年も前から、日本の行く末に警鐘を鳴らしていたのです。 漫画は別にお国のためにはなりません。そして、その作品で仕事をしている我々、編集者もしかりです。だからこそ、この時代の「嫌な感じ」に声を上げましょう。そんな増刊号です』 まさかの続編零戦少年 葛西りいちstarstarstarstarstarひさぴよ「零戦少年」1巻で完結したはずでしたが、続編が刊行されていて驚きました。なんと完結後にお祖父さんの同期、三浦さんという人物から連絡が届き、そこで新たに得られた戦争の証言によって続編が作られることに。 今作では戦友・三浦さんから見た祖父と、三浦さん自身の戦争体験が描かれています。予科練での訓練、戦地での再開、そして共に特攻へ向かった先で起きたこと。あらためて戦争とは一人の主観だけでは到底理解しきれないものなのだと思い知らされました。前作を読んだなら続編も読んで損はないです。 ※それと、もし興味のある方は現在連載中の「不死身の特攻兵」という漫画も読んでみて下さい。葛西さん・三浦さんたちと同時期のお話になります。おすすめです。菅野直ら「第343海軍航空隊」を描くパイロット物語 紫電改343 須本壮一名無し11号に掲載された読切『五十六の密命』をゼロ話とする新連載。第1話は昭和19年、250kg爆弾を積んでの体当たり戦法実行を前に、作戦撃墜王・菅野直が厚木基地へゼロ戦を受け取りに向かい源田実と出会うところから始まる。 75回目の終戦の日を前にして始まった新連載。須本壮一先生の所信表明から始まるところに気迫を感じました。戦争体験者の人生過去になんかできない!!! はしもとみつお 香川まさひとひさぴよ戦争で負った“痛み”をいかに後世に伝えるか…というテーマのヒューマンドラマ作品。 最初の1・2話目こそ、はしもとみつお氏の鬼気迫る作画もあって、戦争の惨さを存分に伝えてくれたが、それ以降、現代に至るまでのストーリー構成やメッセージ性にはチグハグ感があるのは否めなかった。 主人公の戦後の人生を、長い時代を経て追体験できるという構成は良い。しかし、731部隊やハンセン病の話など強引に差し込んでるとしか思えない話もあり、ただ触れてただけで掘り下げてはくれない。実体験というわけでもなく、参考文献もないので、あくまで創作の要素が大いにある、ということに留意したい。 ページをめくると、いつの間にか時代が進んでたりして、時代感覚を意識しなければどの時代の話をしてるか分からなくなったりする。戦後から2003年までが描かれるが、その時々の時代の空気を想像しながら読むと面白い。子どもたちよ、草土文化「シリーズ戦争」を読んでくれ赤い靴はいた あおきてつおくまぞう草土文化の「シリーズ戦争」という児童向けの戦争歴史漫画です。 全5冊の内、あおきてつお氏が手掛けた「赤い靴はいた」は、特に読み応えがあります。 東京大空襲と、対馬丸事件&沖縄戦、そして広島の原爆を3篇に分け、奇跡的バランスで、それぞれの戦争の悲劇を1冊に収められています。なおかつ、子どもにも分かりやすい説明で、政治的な思想も極力抑えられているのです。(これ大事) 権利関係の理由なのか、シリーズ戦争そのものは電子書籍にはなってませんが、「黄金色の風」など個別で販売されていますので、興味がある人はぜひ読んでみて欲しいですね。 残りの作品は、古本で買うか、図書館で借りるしか無いですが、もし読むなら長崎を舞台にした「灰色の十字架」もおすすめです。人間魚雷「回天」って映画が有ったよね特攻の島 佐藤秀峰名無し戦記物を読み込んでいる私でも、この漫画の存在を知りませんでした。帝國海軍が誇った酸素魚雷に人間を搭乗させ、生身の人間が動きをコントロールして敵艦を葬る、この凄まじい発想を具現化してしまった、敗戦間際の我が国の追い詰められた姿を見る事が出来ます。 特攻を語る時に「決死」と「必死」の違いが論じられますが、その議論すら組み込まれた奥深い漫画である事を請け負います。一読に値する作品と断言します。軍記物の巨匠の描いた"桜花"特攻3万メートル 梶原一騎 横山まさみち名無し歴史、軍記ジャンルを得意にした昭和の巨匠横山まさみち先生の描いた軍記ものです。 毎年夏に刊行される太平洋戦争を舞台にした短編集としてよく配信されており、そこで目を通したことのある方も多いのではないでしょうか? 特攻ジャンルの作品のデフォルトともいえる若者の飛行機乗りの葛藤、そして若者を死地に送り出さなければならない上官及び父親の苦悩、描写が丁寧に描かれています。 また特攻兵器としては“桜花”のパイロットに焦点をあてた珍しい作品です。 零戦や紫電改など登場人物の技量を描ける“見映えのする戦闘機”での特攻は古くからありました。 しかし母機に繋がれたまま何もできず、切り離されても目標に向かって突撃するしかない桜花のパイロットの苦悩は従来の特攻物とは違った刹那を読み手に与えてくれるはずです。自分ならどう行動するだろうか…と考えさせられる作品ジパング かわぐちかいじ名無し数年後に迫る破局的な結末を知り歴史の改変に動く草加と、その考えを深層で理解しつつも歴史改変に抵抗感を覚え、仲間を守りつつ別の方策で解決を図らずを得ない角松のジレンマが見事に描写され、ストーリーに深みを与えています。いざ自分が同じ立場に立たされたとしたら、どう行動するだろうか…と深く考えさせられる作品です。久しぶりに読み返したあとかたの街 おざわゆき霧兵衛良かった点 ・友達が亡くなったシーンでの髪の毛が逆立つシーンはむちゃくちゃリアリティがった 総評 ・同じ作者の戦争ものだと「凍りの掌 シベリア抑留記」の方が淡々として好きかな 本当にみんな読め!と思っている #1巻応援風太郎不戦日記 山田風太郎 勝田文名無し日本が終戦を迎えた一年を描いていく漫画です。原作は作家の山田風太郎が23歳の医大生だった頃の日記「戦中派不戦日記」ですが、こちらの漫画は勝田文先生の絵柄が可愛いのでとても読みやすくなっています。他の漫画や映画でも見たことはありましたが、普通の人々の戦時中の生活ってこんな感じだったんだろうなって感触が今までで一番リアルにありました。日記なのでこれは事実だという強みがあるのと、風太郎が捉える日々のディティールが本当に豊かなんですよね。終戦の半年前でも銭湯に通っていたり、空襲が来たから無試験で進級できて喜んだり、世の中がどんなに混乱してても日常は当たり前にあるんだなって思うところは現代の状況にも通じますね。芸術に心惹かれながらも親が医者だったからという理由で医大生になった風太郎は少しひねくれたところが魅力なのですが、戦況が酷くなって打ちのめされていくと時代にのまれた心境になったりするのが悲しくて怖かった。今この漫画が連載されていることが自分にとっては心強いです。壮大過ぎる歴史のif漫画ジパング かわぐちかいじ名無し私の様に還暦を超えた世代には歴史のifを描き連合艦隊が絡むと言えば、高木彬光著「連合艦隊ついに勝つ」が先ず浮かぶ訳ですが、そんな爺さんに衝撃を与えてくれたのがこの「ジパング」です。大東亜戦争時代への現代の介入は、最新鋭護衛艦「みらい」がハワイ沖での演習中にミッドウェー開戦前夜にタイムスリップする事から始まります。しかし、この出来事は序章であり、壮大な物語の幕開けに過ぎません。頑張って読まねばエンディングを迎えない大長編漫画ですが、決して中弛みせず最後まで緊張が続きます。皆さんも気合を入れ時間をかけて読破するのが良いと考えます。蛇足ですが「みらい」付けている艦番号182は、現実には「ひゅうが」型2番艦「いせ」が付けており、イージス艦ではありませんので、「いせ」がタイムスリップしても「みらい」の様な活躍は出来なかったでしょう。面白い、全巻読まねばならなくなっちまったアルキメデスの大戦 三田紀房名無し映画化されたこの「アルキメデスの大戦」ですが、原作を読んでいなかったので映画を観るのを見送ってしまいました。しかし、今回無料キャンペーンで1~3巻を読ませて貰い、単なる数学者がその知能を以って大型戦艦(大和)建造を阻止する物語ではなく、海軍内部事情(派閥問題)や国際情勢も踏まえた、私の様な爺さんにも読むに堪えられる漫画であると知りました。この無料の試読にまんまと嵌められ、全巻大人買いをしたくなった事を正直に認めます。一人の零戦乗りから見た等身大の戦争エッセイ零戦少年 葛西りいちstarstarstarstarstarひさぴよ表紙とタイトルの雰囲気で、愛国的な戦争漫画なのかと勘違いしていました…。読んでみたら表紙の印象とはまったく逆で、イデオロギーも美談も関係なく、純粋に一個人が見てきた戦争体験が飾りなく描かれている作品でした。 登場人物たちの言葉使いや仕草は、あえて現代の若者文化に合わせてあって、堅苦しくなくて読みやすかったです。戦争の話は敬遠しがち、、という人にこそ読んで欲しい漫画。 自衛艦が"タイムスリップ"したらどうなるのかジパング かわぐちかいじさいろく本作の主軸となる自衛艦「みらい」は、自衛隊活動としてエクアドルへの遠征の途中で突如タイムスリップ。1942年のミッドウェー海戦のど真ん中にいきなり飛ばされてしまう。 自衛艦っていうのは自衛隊員が乗っているわけなのだが、"自衛隊"を本当の意味で理解していなかったなと深く考えさせられる本作。 同じくかわぐちかいじ著書の超名作「沈黙の艦隊」の主人公:海江田四郎のようにゴリゴリのカリスマが率いるのかと思いきや、自衛隊員としての葛藤を全員が抱えているため割と登場人物が強め。 ちなみに歴史上の実在の人物たちも多く登場している。 「やってみせ言って聞かせてさせてみて~」の山本五十六ぐらいしか私はすぐにわからなかったけど、当時の"大日本帝国"がそのまま存在する設定なので「艦これ」とか好きな人はたまらないのではないだろうか。 私は戦艦も戦争も本当に全く知らなかったけど、それでもストーリーを追っていくだけで考えさせられるシーンが多々あり、感心しながら読み続けられた。長いけど。 読後にWikipediaとかブログとかを探してみたけどやっぱりかなり熟考されてる方がいるようで、実際の史実との差異であったり細かな指摘はあるもののみんなジパング大好きだなーっていうのはよくわかった。 絵がリアルで大人向け感強く見えるかもしれないけどめちゃくちゃ難しい話だけということでもなく、画力と雰囲気とテンポの良さによってかわぐちかいじという稀代の漫画家の実力を知ることが出来る素晴らしい作品だと思う。 かわぐちかいじ先生はきっと若い世代の人たちからすると「沈黙の艦隊」や「太陽の黙示録」「イーグル」そしてこの「ジパング」と戦争や政治ものを描く漫画家というイメージなんじゃないだろーか。 最近はたしかにそんな感じだけど「アクター」とか「ハード&ルーズ」とかみたいな時代の色が強く反映されている作品も多く、こっちの方が個人的に推しだったりもするので是非もっと若い人たちにも読んでいただきたい。 政治とか戦争とかとっつきにくいと思うし(私はそう)戦争をしてはいけないはだしのゲン 中沢啓治starstarstarstarstarくまぞうよくニュース等で「戦争の悲惨を後世に伝えなければなりません」と言われてるが、戦争体験を伝えられるひとがほとんど残っていないのだから、これはもう実際の被爆体験から生み出された作品を読み継いでいくことが、戦争を経験してない世代にとって、以前より重要な事になってきたんじゃないだろうか。 はだしのゲンは戦争の悲惨さ残酷さを知るのによい作品で、これからもずっと読まれ続けてほしい。戦争を身近に感じるあとかたの街 おざわゆき名無し戦争ものって中々手が出ない。でも自分は漫画くらい噛み砕いて読みやすいようになってないと、戦争を考える機会すらないから、見つけたら読んでいます。 「この世界の片隅に」が大ヒットしましたが、こちらもほのぼのとして読みやすいので是非若い方にも手に取って欲しいです。極限の人間ドラマ特攻の島 佐藤秀峰名無し第二次大戦末期の日本では、複数の特攻兵器が開発されました。人間ミサイル「桜花」や人間魚雷の「回天」などですが、いずれも命を犠牲にして敵艦に体当たりすることを目的に作られた悲しい兵器です。『特攻の島』は、回天とその搭乗員を描いた作品ですが、回天という兵器は操縦することが非常に難しい有人魚雷だったようで、搭乗員の若者たちは訓練段階から死と隣り合わせの状況に苦悩します。兵士だけでなく、回天を開発した人物も登場し、史実を織り交ぜながら物語の極限状態に向かっていきますが、もし少しでも前に敗戦の日が分かっていれば、と思わずにはいられませんでした。日本返還前の沖縄を舞台にしたある悲劇オキナワ 中沢啓治マウナケア日本返還前の沖縄を舞台にしたある悲劇。米軍に対する親子の心情を通して、沖縄に存在する基地・米兵の問題を描いているのですが、とても40年以上も前の話とは思えず、現在でもありそうな内容です。確かに米軍の沖縄住民に対する意識は変わってきているのでしょう。しかしながら現在でもそれらの問題はあって、そんなニュースを耳にするにつけて思うことと同じものを、漫画からも感じてしまうのです。この理不尽さに逆らうことはできないのかと。米軍がらみのイザコザがあると、なぜ沖縄の人たちは、ああも被害者意識を持って敵意をむき出しにするのか。今でも薄れる事のないアメリカに対するアレルギーの理由が、この短編からは伝わってきます。ほか「冥土からの招待」「うじ虫の歌」というインパクトのあるタイトルの作品も収録。同様に沖縄と反戦をテーマにした話ですが、こちらは必ずしも反米だけではない視点で描かれているのが興味深いです。戦闘機乗りの誉れと、戦争の意味紫電改のタカ ちばてつやマウナケア戦争の悲惨さを問う物語ならば、これからも語り継がれるべき”負”の記憶として発表されることでしょう。しかし一方で戦争は、国を守る軍人を英雄視する面もあったことは確かで、なんとなくそういった描き方は今の世の中ではタブーに近い。ですがこの作品では、その戦争の二つの面が同居しています。前半は戦闘機乗りとして成長し、勇ましく敵機を撃墜していく主人公の物語。しかし後半になると主人公は戦争の意味を考え、苦悩するようになる。結果的にこれは戦争を扱うには有効だったのかもしれません。少年向けの作品として描かれていても、戦争とは結局何だったのか、という問いを入れられると感じ方がそこで違ってきてしまう。作者も体験として戦争に接し、思うところがあったからこんな展開になったのでしょう。描き手として、そして読み手として戦争を知る人がいなくなりつつある現在、こんな戦争の空気感を内包する内容というのは貴重な存在。今こそ読んでおくべきでは、と思います。ちょっと違う戦争関連漫画苺と骨 大東亞戦争悲話 武野繁泰 宇根和歌子starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男少年誌や青年誌でよむ戦争漫画と違い「銃後の守り」がメインで、一人の女性の視点を通して戦争の状況が書かれている。 最終的に良い感じで終わったがなんか微妙に怖いものを感じた 戦争関連漫画マニアというわけでもないが、定期的に戦争関連漫画を読んでる気がする <<123>>