時代の空気なんぞという物を。ワタナベ 窪之内英策ナベテツここではないどこかに行きたい。日常がいつか終わることを、漠然と夢見ていた時代の空気というものが、かつてこの国にはありました。それはバブルと裏返しの虚無感のようなものでしかないのかもしれませんが、この作品に漂う諦感と、正反対の馬鹿馬鹿しさは恐らく表裏一体だと思います。 主人公の妙子は自分の日常にうんざりしていて、でも遠くへ行くことも出来ません。彼女の前に現れたのは、宇宙人を名乗るボディスーツに身を包んだ「ワタナベ」。 少し不思議な非日常の物語は、良くも悪くも時代の空気を感じさせてくれます。 あの時代を知っている人間には、恐らくどこか懐かしく感じる作品だと思います。そして、あの時代を知らない人が読んだらどう感じるのだろうかと、バブルから遠く離れた令和の時代に考えたりもします。 日常は終らない。多分、だらだらと続く。でも、そんな中でもきっと素敵なことは見つけられる。今、自分が出せる回答はこんなもんかと思っています。どこか懐かしい豊かな風景彗星★少年団 倉薗紀彦ナベテツ子供の頃、世界はずっと広いと思っていました。成人して、住んでいる場所以外に行ける自由を手にしてからそんな感覚を抱く回数は減ってしまいましたが、かつて自分が持っていた世界を捉える視線を思い出させてくれるような作品です。 作者の倉薗先生は現在は青年誌を中心に活躍中ですが、少年少女が「世界」と向き合うことを描くことが多いように思います。 この作品では豊かな自然やボーイ・ミーツ・ガール、或いは少年少女の成長が描かれていますが、暖かなノスタルジーを感じる素敵な作品でした。作品内で描かれる四季折々の風景は、実際に自分が体験した感覚を思い出させてくれました。遠出が難しい時節ではありますが、作品で自然に触れることで、少しでも現状感じる閉塞感を忘れられるのではないでしょうか。早く続きが読みたい#1巻応援フールズ 皿池篤志ナベテツ前作「レイチェル・ダイアル」と出会った時にも出会いに感謝したんですが、GJむちゃで新連載開始の報に触れて、とても楽しみにしていた作品です。 連載開始から単行本が発売されるまで、結構時間がかかっているなあと思ったりもしたのですが、1・2巻を同時に手にして、一気呵成に読み、納得しました。この作品は同時に発売すべきだし、単行本を届けてくれた作者・編集者に感謝しました。 「バカ」になってしまう…。その言葉が非情に重たい意味を持つ作品なんですが、SFとしての面白さもあり、また昨今の社会-異分子に対する排除-の風潮とも重なり、軽やかなタッチで多面的な作品を描く作者の実力が遺憾なく発揮されています。 未読の方に胸をはって勧められる傑作だと断言しますし、欲深い感想ですが、3巻が今から楽しみです。バディ(キャリアとノンキャリア)プリンス 能條純一ナベテツちょうど能條先生にはまっていた時に読んだタイトルなんですが、ふとした時に思い出すヒューマンドラマです。 主人公は、現場にこだわるキャリア。その相棒は、叩き上げのノンキャリア。本来ならば「住む世界が違う」二人なのですが、「プリンス」は特別扱いを嫌がり、次第に周囲に受け入れられていきます。 主人公のプリンスは無類の女好きなのですが、相棒の十兵衛が自分の女房について語る言葉がとても好きです(地味なシーンだとは思いますが、能條漫画の中でも屈指の名言だと思います)。糠粳の妻って言葉は死語かもしれませんが、憧れる言葉だったりもします。きっと「青空」は変わらない俺と悪魔のブルーズ 平本アキラナベテツアメリカの痛ましいニュースが届いた日に、久々に単行本を手に取りました。黒人が明確に差別されていた時代の伝説のブルース・ギタリスト、ロバート・ジョンソン。 RJが生きた時代のアメリカでは、リンチが普通に行われています。それは人々の差別意識が社会における「常識」だったからです。当然、現代においてそれは否定されるものです。しかし、その意識というのは地下茎のように隠匿されているだけなのかもしれないと、悲報を聞く度に突きつけられているような気にさせられます。 ブルーハーツの永遠の名曲に、「青空」という曲があります。十代の頃にこの曲を聴いて、多少は他人に優しくなれただろうかと、四十代の中年は自省をします。RJの生きた時代も、空はきっと青かったのだろうし、100年先でも空は青いままだろうと。 作品についてあまり触れていないのですが、この作品は音楽マンガとしてもアクションマンガとしても歴史マンガとしても超一級の作品です(描くのが難しい作品であることも容易に想像出来るのですが…)。 どれほどの時間がかかろうと、この作品がきちんと完結することを願っています。 マンガとは関係のない蛇足ではありますが、故・石田長生さんがRJを唄った「汚職」という曲があります。悪魔との取引を「汚職」という言葉に込めた言葉のセンスの素晴らしさがとても光る曲なのですが、トリビュートアルバムでヒロトがカバーしていることも併せて記しておきます(「青空」は石田さんもカバーしてます。以下、本当に蛇足でした)あなたの周りにも、バクちゃんはいる #1巻応援バクちゃん 増村十七ナベテツご縁があり、連載前からバクちゃんを読んでいました。毎月ビームを購入していますが、楽しみにしていましたし、単行本が発売されてとても喜んでいます。 夢の枯れた星から、地球に移民としてやってきたバクちゃん。作者の増村さん自身が海外に住んでいた経験があり、実際に海外で過ごした経験と視点が、日本という国や社会を見る眼差しの根底にあると思っています。 一人暮らしを始めて20年以上になるのですが、故郷にいた頃よりも確実に、海外出身の人や海外にルーツを持つ人は増えていると思います。 あなたの周り、自分の周りにも、バクちゃんやダイフクくんはきっといます。彼らは、共存すべき他者であり、共に社会を構成するメンバーです。 この国には、沢山のバクちゃんがいる。この作品は、そのことを教えてくれます。一人でも多くのバクちゃんが、お腹いっぱい夢を食べられますように。子供にも大人にも勧めたい土砂どめ奉行ものがたり 青木朋ナベテツ昔々あるところに、というナレーションが頭に流れてくるのはある年代以上のような気もしますが、近世の日本を舞台にしたお伽噺であり、また史料に基づいた良作でした。 作者の青木朋先生は、中国に材を取った歴史漫画を描いていたり、あるいは現代舞台のミステリを描いたり幅広く作品を描かれていますが、この漫画は大人から子供まで楽しめる良い漫画だと思っています。 現代の日本に生きている自分達は、水で苦労することなんて恐らくほぼない訳ですが、近代以前において水利というものがどれだけ大切だったのか教えてくれますし、お上と庶民という感覚は日本では変わらないのかなあと想像したりもします。柔らかく可愛らしい絵柄で読みやすく、良作として薦められる漫画です。柔らかなポジティブさ月光 ウチヤマユージナベテツイントロダクションで読者に与えられる情報から、何やら不穏な空気が漂う物語だと最初は思ったりもしました。ただ、読後感は爽やかな物であり、作者のストーリーテラーとしての手腕の鮮やかさを称えたくなるのではないかと思います。 実際、作者の他の作品を読んでも、ストーリーのフックの掛け方であったり、伏線の回収の方法であったり、上手いなあと感心します。 些か古い言い方だとは思いますが、「社会派」と呼ばれるような作品だと思います。前向き過ぎないポジティブさを感じる作品であり、ここ最近のこの社会の風潮とか出来事に疲れているなあともし感じている方に読んでもらえたら、なんてことを考えたりもします。異才の原点ツノウサギ 柴本翔ナベテツ柴本翔先生の作品は、「パンデモニウム」を最初に読んだのですが、その後にこの作品を読みました。パンデモニウム~ダキニと続く柴本作品の原点であり、柴本作品以外では中々見ることの出来ない(そして近年珍しい)、西洋のお伽噺を感じさせるファンタジーだと思います。 紡がれる物語には、作者の抱えた「何か」(恐らくそれは創作の原点とも言える衝動なのではないかとも思います)を感じさせ、この世界で作者が描きたいものに一読者として強く惹かれます。 大昔、とあるゲームのコピーとして物議をかもした「竜退治には、もう飽きた」というフレーズかありました。剣と魔法という王道のファンタジーに食傷気味の方に勧めたいと思います。ナベテツ1年以上前【マンバのマンガ履歴書】 ▼はじめて読んだマンガ [多分朝日新聞の「ペエスケ」] ▼はじめて買った単行本・雑誌 [コミックボンボン・プラモ狂四郎] ▼幼少期に読んでたマンガ・マンガ家 [ボンボン・コロコロ・サンデー・ジャンプ辺り] ▼青春時代に読んでたマンガ・マンガ家 [基本、島本和彦先生の作品。] ▼大人になって好きになったマンガ・マンガ家 [山程ありますけど、豊田徹也先生、池辺葵先生、衿沢世衣子先生あたりかな] ▼年齢問わず、ずっと好きずっと好きなマンガ・マンガ家 [マンガだとスローニン、マンガ家だと島本和彦先生] ▼「なんか面白い漫画ない?」って聞かれた時に答えるマンガ [へうげもの、団地ともお] ▼子孫へ受け継ぎたいマンガ [寄生獣、ヴィンランド・サガ、青空しょって] ▼死んだら棺桶に入れて欲しいマンガ [本は知恵の固まりなので焼くなら古本屋に持ってって下さい。] ▼最後に履歴書を書いてみた感想をぜひ! [まあこんなもんでしょうか。何かの参考になれば]自由広場皆さんの『マンガ履歴書』が見たい!4わかる「常識」を越える人々解剖医ハンター 黒釜ナオ 吉川良太郎ナベテツ伝統や風習、常識というものに囚われてしまうのは社会に生きていると仕方ない部分もあるのですが、この作品はそんな常識に真っ向から立ち向かった一人の医師の物語です。 解剖医ジョン・ハンター。「ドクタードリトル」「ナイフマン」「グール」というおよそ医者として不名誉なあだ名をつけられても、全く意に介せず己の仕事「解剖」で人体という地図を描き続けるハンター。 司馬遼太郎さんの「胡蝶の夢」という作品で、西洋の医学が幕末に受容される過程が描かれるのですが、ハンターのような存在が医学を進めたのだと想像させられました。 医学の歴史に詳しくない自分のような人間でも、楽しく刺激的な名作だと思います。還らざる時ホテルポパン 有間しのぶナベテツ心に傷を受け、膝を抱えてうずくまっていた少年の記憶。何に涙していたのかもう思い出せないけれど、悲しみが胸にあったことは覚えている。泣いたり叫んだり、衝動を抑えないでいられた日々を、ふと思い出した作品でした。 少年が少年でいられない日々から、少年に戻ることを許された場所〈ホテル・ポパン〉に辿り着くところから物語は始まります。そこで出会ったのは、時計を止めてしまった幽霊のような美女。彼女もまた、辛い過去を抱えたまま、大人になることを拒んでいました。 倒産寸前からホテルは再生し、またホテルで働く人々も、それぞれの抱えた過去から解放されて行きます。 有間先生の作品はこのマンガが初めてだったのですが、出会えて良かったタイトルでした。 « First ‹ Prev … 36 37 38 39 40 41 42 43 44 … Next › Last » もっとみる
時代の空気なんぞという物を。ワタナベ 窪之内英策ナベテツここではないどこかに行きたい。日常がいつか終わることを、漠然と夢見ていた時代の空気というものが、かつてこの国にはありました。それはバブルと裏返しの虚無感のようなものでしかないのかもしれませんが、この作品に漂う諦感と、正反対の馬鹿馬鹿しさは恐らく表裏一体だと思います。 主人公の妙子は自分の日常にうんざりしていて、でも遠くへ行くことも出来ません。彼女の前に現れたのは、宇宙人を名乗るボディスーツに身を包んだ「ワタナベ」。 少し不思議な非日常の物語は、良くも悪くも時代の空気を感じさせてくれます。 あの時代を知っている人間には、恐らくどこか懐かしく感じる作品だと思います。そして、あの時代を知らない人が読んだらどう感じるのだろうかと、バブルから遠く離れた令和の時代に考えたりもします。 日常は終らない。多分、だらだらと続く。でも、そんな中でもきっと素敵なことは見つけられる。今、自分が出せる回答はこんなもんかと思っています。どこか懐かしい豊かな風景彗星★少年団 倉薗紀彦ナベテツ子供の頃、世界はずっと広いと思っていました。成人して、住んでいる場所以外に行ける自由を手にしてからそんな感覚を抱く回数は減ってしまいましたが、かつて自分が持っていた世界を捉える視線を思い出させてくれるような作品です。 作者の倉薗先生は現在は青年誌を中心に活躍中ですが、少年少女が「世界」と向き合うことを描くことが多いように思います。 この作品では豊かな自然やボーイ・ミーツ・ガール、或いは少年少女の成長が描かれていますが、暖かなノスタルジーを感じる素敵な作品でした。作品内で描かれる四季折々の風景は、実際に自分が体験した感覚を思い出させてくれました。遠出が難しい時節ではありますが、作品で自然に触れることで、少しでも現状感じる閉塞感を忘れられるのではないでしょうか。早く続きが読みたい#1巻応援フールズ 皿池篤志ナベテツ前作「レイチェル・ダイアル」と出会った時にも出会いに感謝したんですが、GJむちゃで新連載開始の報に触れて、とても楽しみにしていた作品です。 連載開始から単行本が発売されるまで、結構時間がかかっているなあと思ったりもしたのですが、1・2巻を同時に手にして、一気呵成に読み、納得しました。この作品は同時に発売すべきだし、単行本を届けてくれた作者・編集者に感謝しました。 「バカ」になってしまう…。その言葉が非情に重たい意味を持つ作品なんですが、SFとしての面白さもあり、また昨今の社会-異分子に対する排除-の風潮とも重なり、軽やかなタッチで多面的な作品を描く作者の実力が遺憾なく発揮されています。 未読の方に胸をはって勧められる傑作だと断言しますし、欲深い感想ですが、3巻が今から楽しみです。バディ(キャリアとノンキャリア)プリンス 能條純一ナベテツちょうど能條先生にはまっていた時に読んだタイトルなんですが、ふとした時に思い出すヒューマンドラマです。 主人公は、現場にこだわるキャリア。その相棒は、叩き上げのノンキャリア。本来ならば「住む世界が違う」二人なのですが、「プリンス」は特別扱いを嫌がり、次第に周囲に受け入れられていきます。 主人公のプリンスは無類の女好きなのですが、相棒の十兵衛が自分の女房について語る言葉がとても好きです(地味なシーンだとは思いますが、能條漫画の中でも屈指の名言だと思います)。糠粳の妻って言葉は死語かもしれませんが、憧れる言葉だったりもします。きっと「青空」は変わらない俺と悪魔のブルーズ 平本アキラナベテツアメリカの痛ましいニュースが届いた日に、久々に単行本を手に取りました。黒人が明確に差別されていた時代の伝説のブルース・ギタリスト、ロバート・ジョンソン。 RJが生きた時代のアメリカでは、リンチが普通に行われています。それは人々の差別意識が社会における「常識」だったからです。当然、現代においてそれは否定されるものです。しかし、その意識というのは地下茎のように隠匿されているだけなのかもしれないと、悲報を聞く度に突きつけられているような気にさせられます。 ブルーハーツの永遠の名曲に、「青空」という曲があります。十代の頃にこの曲を聴いて、多少は他人に優しくなれただろうかと、四十代の中年は自省をします。RJの生きた時代も、空はきっと青かったのだろうし、100年先でも空は青いままだろうと。 作品についてあまり触れていないのですが、この作品は音楽マンガとしてもアクションマンガとしても歴史マンガとしても超一級の作品です(描くのが難しい作品であることも容易に想像出来るのですが…)。 どれほどの時間がかかろうと、この作品がきちんと完結することを願っています。 マンガとは関係のない蛇足ではありますが、故・石田長生さんがRJを唄った「汚職」という曲があります。悪魔との取引を「汚職」という言葉に込めた言葉のセンスの素晴らしさがとても光る曲なのですが、トリビュートアルバムでヒロトがカバーしていることも併せて記しておきます(「青空」は石田さんもカバーしてます。以下、本当に蛇足でした)あなたの周りにも、バクちゃんはいる #1巻応援バクちゃん 増村十七ナベテツご縁があり、連載前からバクちゃんを読んでいました。毎月ビームを購入していますが、楽しみにしていましたし、単行本が発売されてとても喜んでいます。 夢の枯れた星から、地球に移民としてやってきたバクちゃん。作者の増村さん自身が海外に住んでいた経験があり、実際に海外で過ごした経験と視点が、日本という国や社会を見る眼差しの根底にあると思っています。 一人暮らしを始めて20年以上になるのですが、故郷にいた頃よりも確実に、海外出身の人や海外にルーツを持つ人は増えていると思います。 あなたの周り、自分の周りにも、バクちゃんやダイフクくんはきっといます。彼らは、共存すべき他者であり、共に社会を構成するメンバーです。 この国には、沢山のバクちゃんがいる。この作品は、そのことを教えてくれます。一人でも多くのバクちゃんが、お腹いっぱい夢を食べられますように。子供にも大人にも勧めたい土砂どめ奉行ものがたり 青木朋ナベテツ昔々あるところに、というナレーションが頭に流れてくるのはある年代以上のような気もしますが、近世の日本を舞台にしたお伽噺であり、また史料に基づいた良作でした。 作者の青木朋先生は、中国に材を取った歴史漫画を描いていたり、あるいは現代舞台のミステリを描いたり幅広く作品を描かれていますが、この漫画は大人から子供まで楽しめる良い漫画だと思っています。 現代の日本に生きている自分達は、水で苦労することなんて恐らくほぼない訳ですが、近代以前において水利というものがどれだけ大切だったのか教えてくれますし、お上と庶民という感覚は日本では変わらないのかなあと想像したりもします。柔らかく可愛らしい絵柄で読みやすく、良作として薦められる漫画です。柔らかなポジティブさ月光 ウチヤマユージナベテツイントロダクションで読者に与えられる情報から、何やら不穏な空気が漂う物語だと最初は思ったりもしました。ただ、読後感は爽やかな物であり、作者のストーリーテラーとしての手腕の鮮やかさを称えたくなるのではないかと思います。 実際、作者の他の作品を読んでも、ストーリーのフックの掛け方であったり、伏線の回収の方法であったり、上手いなあと感心します。 些か古い言い方だとは思いますが、「社会派」と呼ばれるような作品だと思います。前向き過ぎないポジティブさを感じる作品であり、ここ最近のこの社会の風潮とか出来事に疲れているなあともし感じている方に読んでもらえたら、なんてことを考えたりもします。異才の原点ツノウサギ 柴本翔ナベテツ柴本翔先生の作品は、「パンデモニウム」を最初に読んだのですが、その後にこの作品を読みました。パンデモニウム~ダキニと続く柴本作品の原点であり、柴本作品以外では中々見ることの出来ない(そして近年珍しい)、西洋のお伽噺を感じさせるファンタジーだと思います。 紡がれる物語には、作者の抱えた「何か」(恐らくそれは創作の原点とも言える衝動なのではないかとも思います)を感じさせ、この世界で作者が描きたいものに一読者として強く惹かれます。 大昔、とあるゲームのコピーとして物議をかもした「竜退治には、もう飽きた」というフレーズかありました。剣と魔法という王道のファンタジーに食傷気味の方に勧めたいと思います。ナベテツ1年以上前【マンバのマンガ履歴書】 ▼はじめて読んだマンガ [多分朝日新聞の「ペエスケ」] ▼はじめて買った単行本・雑誌 [コミックボンボン・プラモ狂四郎] ▼幼少期に読んでたマンガ・マンガ家 [ボンボン・コロコロ・サンデー・ジャンプ辺り] ▼青春時代に読んでたマンガ・マンガ家 [基本、島本和彦先生の作品。] ▼大人になって好きになったマンガ・マンガ家 [山程ありますけど、豊田徹也先生、池辺葵先生、衿沢世衣子先生あたりかな] ▼年齢問わず、ずっと好きずっと好きなマンガ・マンガ家 [マンガだとスローニン、マンガ家だと島本和彦先生] ▼「なんか面白い漫画ない?」って聞かれた時に答えるマンガ [へうげもの、団地ともお] ▼子孫へ受け継ぎたいマンガ [寄生獣、ヴィンランド・サガ、青空しょって] ▼死んだら棺桶に入れて欲しいマンガ [本は知恵の固まりなので焼くなら古本屋に持ってって下さい。] ▼最後に履歴書を書いてみた感想をぜひ! [まあこんなもんでしょうか。何かの参考になれば]自由広場皆さんの『マンガ履歴書』が見たい!4わかる「常識」を越える人々解剖医ハンター 黒釜ナオ 吉川良太郎ナベテツ伝統や風習、常識というものに囚われてしまうのは社会に生きていると仕方ない部分もあるのですが、この作品はそんな常識に真っ向から立ち向かった一人の医師の物語です。 解剖医ジョン・ハンター。「ドクタードリトル」「ナイフマン」「グール」というおよそ医者として不名誉なあだ名をつけられても、全く意に介せず己の仕事「解剖」で人体という地図を描き続けるハンター。 司馬遼太郎さんの「胡蝶の夢」という作品で、西洋の医学が幕末に受容される過程が描かれるのですが、ハンターのような存在が医学を進めたのだと想像させられました。 医学の歴史に詳しくない自分のような人間でも、楽しく刺激的な名作だと思います。還らざる時ホテルポパン 有間しのぶナベテツ心に傷を受け、膝を抱えてうずくまっていた少年の記憶。何に涙していたのかもう思い出せないけれど、悲しみが胸にあったことは覚えている。泣いたり叫んだり、衝動を抑えないでいられた日々を、ふと思い出した作品でした。 少年が少年でいられない日々から、少年に戻ることを許された場所〈ホテル・ポパン〉に辿り着くところから物語は始まります。そこで出会ったのは、時計を止めてしまった幽霊のような美女。彼女もまた、辛い過去を抱えたまま、大人になることを拒んでいました。 倒産寸前からホテルは再生し、またホテルで働く人々も、それぞれの抱えた過去から解放されて行きます。 有間先生の作品はこのマンガが初めてだったのですが、出会えて良かったタイトルでした。
ナベテツ1年以上前【マンバのマンガ履歴書】 ▼はじめて読んだマンガ [多分朝日新聞の「ペエスケ」] ▼はじめて買った単行本・雑誌 [コミックボンボン・プラモ狂四郎] ▼幼少期に読んでたマンガ・マンガ家 [ボンボン・コロコロ・サンデー・ジャンプ辺り] ▼青春時代に読んでたマンガ・マンガ家 [基本、島本和彦先生の作品。] ▼大人になって好きになったマンガ・マンガ家 [山程ありますけど、豊田徹也先生、池辺葵先生、衿沢世衣子先生あたりかな] ▼年齢問わず、ずっと好きずっと好きなマンガ・マンガ家 [マンガだとスローニン、マンガ家だと島本和彦先生] ▼「なんか面白い漫画ない?」って聞かれた時に答えるマンガ [へうげもの、団地ともお] ▼子孫へ受け継ぎたいマンガ [寄生獣、ヴィンランド・サガ、青空しょって] ▼死んだら棺桶に入れて欲しいマンガ [本は知恵の固まりなので焼くなら古本屋に持ってって下さい。] ▼最後に履歴書を書いてみた感想をぜひ! [まあこんなもんでしょうか。何かの参考になれば]自由広場皆さんの『マンガ履歴書』が見たい!4わかる