女子中学生たちのさまざまな関係を描き、キレッキレのギャグの中にエモさを散りばめて楽しいこの作品。 『ゆるゆり』といえばカップリング(カプ、CP)なのですが、この作品の面白さは、カプが必ずしも固定ではないこと。下の表を見ると、一人に数組のカプが見出されていることが分かります。 https://dic.pixiv.net/a/ゆるゆりカップリング一覧 カプ論争を楽しむ人も多いですが、そのカプは決して読者の妄想ではなく、作者が作中で匂わせている、きちんと文脈があるもの。 極端なのは歳納京子。彼女は誰とでもグイグイ仲良くなるので、基本の杉浦綾乃、船見結衣、吉川ちなつ(基本が多いな)以外にもあらゆる女子とのカプ可能性を秘めてしまう。 固定カプとみなされがちな大室櫻子×古谷向日葵それぞれにも、他のカプ可能性が見出されている。 そして超重要(個人的見解です)なのは「あかり総受け」概念。誰にでも優しい赤座あかりは、対する人全てと温かな関係を築いてしまう。 ここで固定カプ概念は崩壊します。そこではあるカプを選んでその進展を妄想しても良いし、毎話生まれる新たな関係可能性・感情を全て楽しんでも良い。もちろん単に「女子しか出ないギャグ漫画」としても楽しめる。 「推し活」を楽しんでも良いし、そこから離れて楽しんでも良い。読者のあらゆる楽しみ方を肯定する楽しい、とにかく楽しい作品なのです。 誰でも楽しめてギャグも面白くキャラもカワイイ、非の打ち所がない本作。どうぞ気楽に読みはじめてください。そして読んだらぜひ、好きなカプの話でもそれ以外でも、コメントやクチコミしてくださいね。 ちなみに私は教師の西垣×生徒会長の松本りせが好きです。
ゆるゆり
舞台の仮面を外す時。人に見せたくない素顔が晒される時……一度は目を閉ざしながら、薄目を開けて見てしまう。 辛さと、少しのワクワクと、剥き出しの生々しい本性への感動。 そんなもの、欲しくないですか? ★★★★★ 本作の舞台は、ミッション系女子校の来校者をもてなす喫茶室……というコンセプトのカフェ。そこで給仕を担当する在校生……も、もちろんバイト。 働く女子たちは学校の姉妹制度のもと、関係を紡いでゆく……という芝居を、百合オタクの客に見せるまでが仕事。つまり百合営業が仕事、というわけです。 ここで重要なのは、カフェにはバックヤードがある、ということ。 主人公の陽芽は、外面の良さで人を騙し続ける人。彼女の姉となる美月は、フロアでは優しいのに裏では陽芽にキツく当たる。そんな二人の関係を陽芽の事が大好きな果乃子が不安視し、さらにこの三人を古参の純加が心配する、という構図。 四人の思いは、表と裏への猜疑心で乱れ、不安は増し、そして破裂する。何度も繰り返されるそのサイクルは、時に相互理解を促し、時に決裂を生む。表での美しいやり取りの分、バックヤードでみっともなく足掻く苦悩に、みっともなさの分だけ同調してしまう。その苦悩、私も持っている、と。 現実では自分の心を曝け出し、受け入れられるのは大変なので、私は見せたくない内面を隠す。だからたとえ創作でも、己を曝け出すやり取りに、心惹かれる。彼女たちが「人に好かれたい」気持ちで起こすやり取りは、たとえ苦しくても一つひとつが尊いと感じるのです。
私の百合はお仕事です!