ネタバレ
名無し

虚空から華をむしりとる男、梶原一騎の最終作品。
まさに一騎人生劇場。
力道山が、木村政彦が、そして大山倍達が・・
あのころみんな熱かった!

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梶原先生の自伝や評伝はいくつもあるみたいだけれど、
もう古い話しだし、例の事件とかもあって
絶版になっているものも多いみたい。
出版社も扱いにくいのかもね。

出版社からしたら暴力事件やスキャンダルを起こした原作者を積極的に使おうという感じにはならないでしょうね。

梶原一騎も漫画原作者引退作品を決めていたから、全部暴露してやろうという気持ちでこれを書いていたのかな。

空手バカ一代の影響で、極真空手の各道場がどれだけ儲かったかとか、
タイガーマスクの現実化で新日本プロレスがどれだけ人気が上がったかとか、
ゲスな興味だが、その辺を梶原先生自身から語ってもらいたかった。
梶原先生って、作品中でなにかと自画自賛もする人だけれど、それは自分は結構強かったとか、何かを見通していたとかソッチ系の自慢で、儲かったとか稼いだとかそういう自慢話はあまり触れたことがないし。

男の星座の後半は梶原先生が病院のベッドで執筆していたらしい。
最期に書きかけの原稿があったそうだが、どこかになくなってしまったとのこと。
病院の人に、書きかけの原稿の価値なんてワカラン人がいて捨ててしまったのか?貴重品なのに。

男の星座では、空手バカ一代で書いたアノ話は実は・・といったエピソードも幾つかあったから、ブルース・リーについても書いて欲しかったですね。
一代がヒットした時期とリーが人気爆発した時期は多分重なっていたと思うし、当時、梶原先生が一代にリー話を持ち出したのも必然だったのかも。

空手バカ一代は愛読していたのだけれど、実は極真空手は顔面への正拳攻撃は反則だってことを長いこと気がつかなかった。
(極真創世記はOKだったらしい)
その辺は適度にストリートファイトのシーンを織り込んでいかにも顔面攻撃もありと見せかけた?梶原一騎的手法に上手く騙されてしまったということだが。

梶原先生といえば、けして格闘技物の物語ばかりを書いていたわけじゃないし、世間には巨人の星愛と誠などの作者と認識している人もいるかもしれない。
でも引退作品として男の星座のような話しを書いているってことは梶原先生本人も
自分は格闘技の世界の住人だったと自負していたってことなんだろうな。

空手バカ一代で壮絶な事故死をした有明省吾は実在した春山章という青年がモデルだったって「男の星座」ではなっていて、
でも実際には春山章という人は実在しなくてモデルになっていた人ならいた、でもその人は事故死とかしていない、ってことらしいから・・
じゃ「男の星座」の後半のエピソードの数々はなんなんだよってことなんだが面白かったから問題なし(笑)。

つのだじろう詫び状事件」
全国発売の雑誌に自分への呪いの言葉をかかれるなんて滅多にないことでしょうから、梶原先生には男の星座で是非ともネタにしてみて欲しかった。
つのだ先生を呼び出して、床柱をチョップでへし折ってビビラせて詫び状を書かせた、とか(笑)

侘び状事件の詳細は知らないけれど、どっちも子供じみたことをしているなあとは思う。原因となったのは梶原先生が原作原稿をあげるのが遅くて漫画入稿前日だったりとかして、つのだ先生に多大な迷惑をかけたことらしいから、その点はつのだ先生に同情するけれど。
それと、この事件とは関係なく、空手バカ一代は私は「つのだ版」より「影丸版」のほうが好きでした。
つのだ先生はやはり「恐怖新聞」とか「うしろの百太郎」のほうが良かった。

ゴッドハンド」は詫び状事件に繋がるキッカケだったようですね。とはいえほとんど言いがかりみたいなもんで、梶原先生の怒りの大本はゴッドハンドではなく、そもそも、つのだ先生に怒ったこと自体が言いがかり的だったみたいですけれど。

つのだ先生が空手バカ一代の連載を降りて影丸先生に代わった。
そこから空バカの中心人物が芦原英幸に移行していき、それが大山総裁と梶原先生の不仲の原因の一つになったとか。
それに加えて映画製作の利益配分などでさらに不仲になってしまった。そういう、つのだ先生のあずかり知らないところで梶原先生に溜まった大山総裁へのフラストレーションが「ゴッドハンド」の件でつのだ先生にむかって爆発する方向に行ってしまったみたいですね。

「アントニオ猪木監禁事件」は当時、
・新日に登場したタイガーマスクの権利・利益で梶原先生と新日本プロレスが揉めていた
・猪木さんが寛水流という空手流派の設立に関与していたため、
空手なら梶原という自負・面子から揉めていた
等の事情から、ホテルの一室に梶原氏がヤクザとともに猪木さんと新日営業部長の新間さんを呼び出して軟禁・恐喝・暴行もしたといわれる事件ですね。
そこには拳銃使いで有名な大物ヤクザもいたとか。
もっとも梶原先生自身は
「ちょっと会いたいと思って呼んだだけ」
「激高するヤクザをなだめる立場だった」
というように述べているようです。
とはいえ、これってヤクザがらみの恐喝事件で関係者が供述する典型的パターンですよね。
自分とヤクザが飴と鞭を役割分担するという。
この事件に関しては後に新間氏が
「猪木は数分で退室してしまい自分だけ一晩軟禁された。
 翌朝に猪木のところに行ったら警察を呼ぶつもりだったんだがと言い訳された」
見たいなことも言っています。
梶原先生が真実をブッチャケてくれたら相当に興味深い話が聞けたのでしょうけれど・・。

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