南 光裕1年以上前編集前作を闘病記とするなら、今作は共感を呼びかけるのではなく、現状そのままを描いた日常エッセイ。 作品を家族が理解してくれそうにない。孤独で泣けてしょうがない。呼吸が苦しい。 家族との意思疎通がうまくいかず、鬱というフレーズを簡単に使った父に怒り、部屋でひとり暴れる。 ヒット作を出した直後とは思えないボロボロの精神状態だが、観察力のアンテナはONのまま。部屋で暴れて「いなりずしの酢飯が傷にしみた痛み」、その一瞬を逃がさず描き残す。 前作で異様な迫力を見せた、「過食時にかじった、血に染まった生麺」。 体験した人にしかわからない、痛くて醜い一瞬を切り取る。作者の精神は血だらけなのに、まだ、私を見て、わかりやすく説明するから読んで!と身を削る。精神状態に比例して荒れるタッチ、酒量が増え、突然ぶちっと終わらせたような不完全さには、異様な迫力がある。23わかるfavoriteわかるreply返信report通報
前作を闘病記とするなら、今作は共感を呼びかけるのではなく、現状そのままを描いた日常エッセイ。
作品を家族が理解してくれそうにない。孤独で泣けてしょうがない。呼吸が苦しい。
家族との意思疎通がうまくいかず、鬱というフレーズを簡単に使った父に怒り、部屋でひとり暴れる。
ヒット作を出した直後とは思えないボロボロの精神状態だが、観察力のアンテナはONのまま。部屋で暴れて「いなりずしの酢飯が傷にしみた痛み」、その一瞬を逃がさず描き残す。
前作で異様な迫力を見せた、「過食時にかじった、血に染まった生麺」。
体験した人にしかわからない、痛くて醜い一瞬を切り取る。作者の精神は血だらけなのに、まだ、私を見て、わかりやすく説明するから読んで!と身を削る。精神状態に比例して荒れるタッチ、酒量が増え、突然ぶちっと終わらせたような不完全さには、異様な迫力がある。