大きな道路から少し離れた細い道を入って右側にある小さな小料理屋「おしの」。昼間はたくさんの人たちでにぎわうお店ですが、夜になると違う世界の住人たちがやってきます。ネコマタ、天狗、妖精、少女の霊・・・。ここに来れば誰もがほっこり。「ふつうのご飯とおかず」をメインディッシュに、様々な人々と不思議な「妖」たちが織りなすちょっと不思議でハートフルな二十の物語。
「私はブスです」。デブでバカで自分に自信がありません。だから夫は離婚届を置いて出て行きました――。そんな“負け組”ド真ん中のさえない女は、何を思ったか夫からの慰謝料すべてを『整形手術』につぎ込んだ! 信じられない…まぶたとアゴを少しいじっただけなのに、全然違って見える! 気持ちまで変わっていく――。男たちが次々に誘ってくる。「セックスってこんなに気持ち良かったんだ!」有頂天になった女は暴走し……巻頭作品『ブスが整形を公表したら』。大ヒットした『ブスで処女な6人の女たち』の著者が新たに放つ「不倫」、「婚活」、そして「炎上」! 社会の底辺を生きるしかなくなった女たちの絶望と乱心が心に突き刺さる物語。
料理研究家として活躍する奈々子は絶対食感の持ち主として期待される料理界のエースであった。ある日、風邪を引いてしまった友人の頼みから、ピンチヒッターとしてレストランの厨房へ立つことに。しかしその日は特別に気難しい予約客、料理研究家の原田久喜子が入っていた―。食は胃を満たし、心も満たす。料理に必要なのは技術よりもその心! 料理を通して様々な人と出会うグルメ・エンターテインメントストーリー。
一昨年母親が急逝してから父と一緒に大衆食堂「くすのき亭」を切り盛りする楠了子(くすのきりょうこ)。以前は色々夢もあったような気もするが、今は淡々と店の仕事をこなす毎日… そんな毎日の筈なのだが、彼女の周りにはいつも不思議な出来事がついて回るのだった。ある日、閉店直後に電話が鳴り、了子が受けるとそれはラーメンの注文だった。自分で調理し出前に行った了子だったが、電話をしてきた女性はこの世の者では無かった。そしてその日から了子の元には閉店後のラーメンの注文が入るようになる。了子は何者かに憑かれたように夜の出前を繰り返すが…。 その他、表題作品「くすのき亭の日々」の他、とあるレストランのオーナーが突然家に友人の娘を住まわせたことからそのオーナーと息子の間に起きる出来事を描いた「すぺしゃる料理人」、昔一緒に遊んだ男の子の面影を追って信州、小諸を訪れた女性の一日をほのぼのと綴る「約束」を掲載。小山田いくが大衆食堂「くすのき亭」の日常にからめて、人間の機微を丁寧に描く珠玉のホラーストーリーの決定版!
昭和の時代、上野駅は北の国から東京へ来る人々たちの玄関だった。多くの人々が夢を追い、この駅へ降り立った。そんな上野駅横で昭和3年に創業した大衆食堂「衆楽苑」。創業以来、たくさんの人に愛され続けているのは、和・洋・中、なんでも美味しいメニューを揃えていることもさることながら、そこに働く人の温かさにもあるようだ。今日も人々は様々な想いを胸に衆楽苑を訪れる…。夢を追い、東京へ出て来た長田と鮎川。衆楽苑で食事をした二人は景気づけにとウェイトレスのおばさんから餃子をごちそうしてもらう。2人は3年後にここで再会する事を約束し、おばさんにそれを告げてそれぞれの道を歩き始めるが…。その他、家族を嫌悪し、東京に出て一人暮らしをしていた若者が体を病んではじめて気づく母親の愛情「赤い爪」、頻繁に店を訪れ昔話をする老人。だが、彼の本当の歴史とは…「歴史」、ある石屋がテレビで紹介された事で昔の仲間から連絡を受けるが、それは終戦直後の彼の許し難い経験を思い起こさせるものだった…「雑炊」など。人々が様々な想いを胸に上野駅に降り立った昭和の時代、その上野駅横にある大衆食堂「衆楽苑」で交錯する人間模様を、小山田いくが丁寧に綴るハートウォーミングヒューマンドラマの決定版! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『東北・上信越に住む人にとって、上野駅は特別な駅です。上野駅はそれ自体が、故郷と都会をつなぐ大きな待合室なのです。故郷から都会へ、都会から故郷へ、気持ちを切り替えるための、待合室なのです。そんな、様々な心の交錯する上野駅のような食堂を、描きたいと思っています。』
冴えない大学生の英太は、イメチェンを図り、恋人探しを始める。親友の拓也とともに合コンに挑み、憧れの千明ちゃんにモーションをかけるも、何故か不思議な雰囲気の女の子、恋子をお持ち帰りしてしまい、奇妙な同棲生活が始まることとなってしまった。おしゃれに作り変えた自分の部屋は恋子のポップで不思議なぬいぐるみや、食器等に囲まれ、完全に恋子のペースへ。恋子に引っ張り回される英太だったが、彼女の作る手料理はどれも温かみがあり、ホッとするひとときを作り出す。そんな二人の関係に憧れの千明ちゃんと親友の拓哉も入り込み…?! 圧倒的な筆力で人間を描く張慶二郎の温かくて切ないラブストーリー。
面白いんだが俺の読んできた料理漫画と違い主人公の特殊能力を駆使して問題を解決するのではなく、対象の人物の思い出や情報などをうまく使い解決する。これだけ見ると美味しんぼの京極さんの「四万十川の鮎」みたいな話だがそんなに派手ではなかった。