天女の酒
天下一品の酒を求めて旅に出た若者は池のほとりである天女に会う。そして巻き起こる不思議なできごと…。名手・奈知未佐子の描く全15編収録のショート・メルヘン傑作集第二弾。
おどろんばあ
般若の眼は限りなく、人の闇を見すえておりやす。般若堂に来る客の心をすべて飲み込んで、あなた様がいらっしゃるのをお待ちしておりやす。
もうひとつ花束
【美人で明るい聖美(きよみ)とイジケ娘・聡子(さとこ)の友情と恋!】聡子と聖美は高校受験に合格し、橋本クンと青沼クンという男子と知り合う。すぐに青沼と意気投合して遊びに行った聖美を「あんな女」呼ばわりする橋本に、聖美ほど素敵な人はいないと擁護する聡子の心情は…。ひがみ女子高生の初恋白書、第1巻。
奇脳粉荘へどうぞ
クインベリー村の首長さんは金髪の美青年。年に一度のお祭りも大事な仕事だけど、今年の捧げ物が魔性の生き物・青竜の卵に決まったからもう大変。村人は誰も捕りに行かないから首長が行くしかない。おぞましい伝説に包まれた奇脳粉荘へ、知恵と勇気を合わせてさあ、出発!
バラ色☆高校生活のスタートを切った香里奈_ だけどちょっぴり刺激が足りない……!!?? そんな香里奈の前に幼い頃に別れた初恋の人、工藤郁弥くんがやって来た♪ そりゃもうっ大騒ぎさっ!!!! 青春ぶっちぎりの有紀りんが描くハートフルストーリー。表題作他2編同時収録!
錦小路ちゃんは経営コンサルタント会社に勤めてます。仕事してはじめて知ったことだけど、会社って結構キビシイんだ。でも、同輩・先輩・上役などにモマれながら、毎日頑張っているんです。仕事にも、恋にも…。大好評のOLシリーズ、最上質な中身を保証!!
まじだよ!!
日本でも指折りの花岡産業グループの娘・花岡典子はロック好きの元気娘。しかし父親の妙な意地で、20年来のライバル西園寺家のお嬢様・和音と上品さと美しさを競うことに…。結果は惨敗で豪華屋敷を明け渡し貧乏長屋暮らしへと転落。それでもめげない典子は花岡グループ再興へ向け行動開始! ご先祖の隠し財宝を狙うのだが…。
人気絶頂の俳優・片岡平助。お笑いタレントのマネージャー・大和田モモ子。ふたりの恋愛関係が明らかになって、芸能界は大パニック。おまけに、平助は引退して主夫に……!? 一途でパワフルな愛を描いて、日本全国話題騒然。天下無敵のシリーズ第1巻ね!!
空のオルガン
【青い空と海の街で激動の昭和初期を過ごした多感な少年の日々】横浜の男子校に通い教会でオルガンを弾く恵庭(えにわ)ゆきは、絵を描く少女・鞠子と知り合う。教会の神父から楽譜作りを頼まれた2人。自分に自信がないと言う鞠子にゆきが紹介した妹は…。音楽と共に愛と夢をうたいあげる感動のヒューマンドラマ、第1巻。
緑野
誰も住めない星になってしまった地球…。脱出した人間は、生活できる惑星を求めて移住した。悠久の時が流れて、一人の少女がAIロボットとともに地球への帰還を試みる。だが攻撃衛星の砲弾を浴び、名も知れぬ小惑星に不時着する。搭乗していた少女の名はイエラ。AIは失うが、そこでハリという少年に出会う。 【同時収録】草原から来た少女/樫木的小旅行/宇宙船を出すなら金曜日
1988年、さそうあきらのデビュー作にあたるのが『ベンケー』というスポーツ漫画になります。のちに音楽漫画で名を馳せるさそうあきらがスポーツ漫画でデビューしているというのは、ちょっと変な感じがしないでもないですが、おそらく1985年に同じくヤンマガからデビューしている望月峰太郎の『バタアシ金魚』からの影響があるのでしょう。『バタ金』の薫くんが下手っぴなのに水泳部に入るように、『ベンケー』の藤山弁慶くんも運動音痴なのに陸上部に入部します。『バタ金』が流行ったから、こういうテイストでいこうというのが、たぶん、編集部の側にあったんだと思います。 それでも、『ベンケー』にはすでにさそうあきらの色がふんだんに発揮されている。さそうあきらの漫画では、しばしば奇跡やミラクルと称されるような説明のつかない体験が描かれます。いわゆるフラグを立てて伏線を回収するといったような方法論はあまりとられず、山場やクライマックスにはどうも説明のつかない体験が描かれる。それがより顕著なのが、やはり音楽漫画で、じぶん自身でも涙を流しながら読んでいて不思議に思うわけですけども、じっさいに耳には聴こえてこない音楽演奏に感動している。それでいて、演奏をおこなう必然性とか、物語的な要素が感動を呼び起こしているわけでもない。 でも、今回『ベンケー』を読んでみて、そこらへんの謎がすこし解けたような気がします。弁慶くんはエスカレーターにも上手く乗れないほどの、超が付くほどの運動音痴(略して、うんち)で、そんなうんちがスプリントで世界新記録を樹立する。これだけ書くと、なんで? どうやって? という疑問が湧いてくるのが普通のことだと思うんですが、さそうあきらはそういう次元で漫画を描いていなくて、うんちが世界新記録を出してしまう理由はびっくりするぐらい何も描かれていない。ただ、最高速度で走る、描かれているのはそれだけなんです。これは音楽漫画の演奏シーンにも言えて、ただ、漫画の最前線にて演奏が行われている。そこに演奏者たちの真剣な顔がある。速く走れる理由とかそういうのはあまり関係なく、ただ、とにかく、その最前線にて最高のパフォーマンスを発揮しようとしている。理由とかそういったものからあらかじめ自由なんです。だからこそ、奇跡が起こる。 最後にセリフを引用させてください。 「ベンケーは鳥の気持ちがわかるんだろ? 鳥が空飛ぶって何だか不思議なことだと思わないか? 頭から空の隅々までが飛ぶためだけに動く・・・ だからあんなに気持ちよく飛べるんだ・・・ そんな世界が人間にあるとしたら・・・ 速く走れた時の・・・ あの感じって・・・」