映像研には手を出すな!

いざ、メカメカしい妄想の世界へ

映像研には手を出すな! 大童澄瞳
さいろく
さいろく

アニメ化の話題でもちきりだけどアニメ見てないのであった。 なぜなら私の家のHDDレコーダは多重録画が出来ず、その時間帯にはドロヘドロを先にセットしてしまっていたのである。無念。 そんなことよりまずは漫画を読んでもらいたい。 ジブリ(のメカ)が好き。 ガイナックス(というかエヴァでいい)が好き。 iPhone11をボトムズと呼ぶ。 そんな人はきっと現実世界での生活の中で妄想の世界が現実の上からフィルムを貼るように被さってくることがよくある、またはあったはず。 この作品は「それ」を上手く再現してくれていて、何より自分では出来ない「それ」は自分の中でも表現しきれないぐらいクオリティが高いものなのだが(妄想だから)その高いクオリティまでも再現するどころか上回って来てしまう。 そしてそういうシーンだけしかなかったら今敏のようなショートフィルムにはなるものの漫画として続かないので、もちろんちゃんと物語がある。 そこもまたとてもほっこりして良い。好き。 ともかく、漫画は「最初めっちゃ絵下手やんと思ったけど全然そんなことなかった、むしろ脳内で勝手にアニメーションするわ」ぐらい素晴らしいのでぜひ読んで欲しい。アニメを見るだけでは作者に続きを描いてもらうスタミナ回復に至らないのだ、多分。 そしてなんで今さらこれ書いてるかっていうと今週木曜(20年1月30日)に5巻が出るからです! 買って読む=蔵書に加えるという、自らが認めた証を作品に与えているという行為。皆様も認めた蔵書を増やす楽しみとそれを振り返る悦びを堪能しましょう。

わたしは真悟

壮絶なまでの、愛と真実の物語

わたしは真悟 楳図かずお
影絵が趣味
影絵が趣味

奇跡は 誰にでも 一度おきる だが おきたことには 誰も気がつかない 各巻の冒頭に冠せられる一句です。 このことを産まれてくることのメタファーと捉えるかどうかは、ひとまず端に避けておきたいと思います。 それはともかくとして、皆さんにも憶えがあるでしょうか。子どもの頃に、どうやったら子どもができるんだろう、と悩んだことが。 小学三年生の夏休みでした。私は急性の髄膜炎に罹り、救急車に運ばれました。運ばれた先の入院病棟で、私はAちゃんと知り合ったのでした。 私たちはすぐお互いを好き同士になりました。 それぞれの学校で、日記の宿題がでていたのですが、外へ出られない入院患者の私たちには書くネタがほとんどありません。そこで、ふたりで協力をして、空想の日記をしたためることにしたのです。 この悪巧みは、部屋の消灯時間がきてから秘密裏に行われました。灯りが落とされると、どちらかがカーテンに閉ざされたベッドのなかに忍び込みます。そして布団をあたままで被ってライトのひかりを漏らさないようにしながら日記を綴りました。 ある日の夜、空想の日記を書く延長で筆談をしていたときでした。どうしたら子どもができるのか、という話になったのです。当時の私にとって、その謎はあまりにも大きなものでした。それはAちゃんにとっても同様だったようです。私たちは日頃の空想癖にさらに拍車をかけて、どうしたら子どもができるのかについて筆談しつづけました。しかも、その謎はあまりに大きなものでありながら、あらゆるところで人知れず行われている、もっとも身近で、もっとも不可思議なことなのでした。 Aちゃんはまだ憶えているでしょうか、あの日の夜のことを。私は『わたしは真悟』を読み返して、また、ふと思い出しました。きっと、この本を読み返すたびに思い出すのだと思います。

藤原くんはだいたい正しい

顔面のニヤニヤが止まらねぇ〜!!

藤原くんはだいたい正しい ヒナチなお
天沢聖司
天沢聖司

いやも〜〜〜!これすごい好きです。読んでて思わず「フフッ…」て笑ってしまう。キャラ・ストーリーが面白いうえに、絵の独特のデフォルメもすごく可愛い!そして吹き出しが水玉やストライプのトーンで塗られてて素敵でした。 「着ぐるみちゃん」と呼ばれ、男子からも女子からもマスコット扱いされ「女の子」として見られていない主人公・ヒツジ。ひょんなことから生徒会入りしてクールな生徒会長・藤原くんからズバズバ助言・正論をもらうのだが…というお話。 **この漫画のメッッッチャおもしろいところが、ヒツジが片思いしている冬也の存在。この冬也がマ〜〜〜ジでクソチャラ野郎(無自覚)なんですよ…!!** https://i.imgur.com/nQT8hJb.png (『藤原くんはだいたい正しい』ヒナチなお 1巻 第2話) 朝に「はよー!」って挨拶しながら肩を組んできたり、「俺のヒツジ」って言ったり「髪ふわふわなのが可愛い」って言ったり、ゲーセンで「ヒツジに似て可愛い」マスコットを取ってくれたり… **いやくそチャレ〜〜!!!チャラすぎる…!!** 読みながら「うわこれ気を持たせるだけ持たせておいて付き合う気全然ないやつじゃん…」と、私は早い段階で理解していたのですが、主人公のヒツジはまだJK。 健気にも冬也のやることなすことにに一喜一憂し、両思いではないかと期待してしまう。そんな姿が、アラサーの私には堪りません、すごくニヤニヤします。 作中「おい、あいつお前と付き合う気ないぞ早く気付け!!」教えてやりたくなったタイミングで、生徒会長の藤原くんが読者が言いたいことを120%ヒツジに言うシーンがあって最高にスッキリしました。 そしてこの藤原くんの物の言い方が、んも〜〜ホント好きですww **「謎に不遜で偉そうでぶっきらぼうな喋り方(でも言ってる内容は正論)」**で、まさに少女漫画の王道ヒーロー。 >(マスコットを見て) >「は、こんなんゴミじゃん」 >(ヒツジがマスコットを落としてしまい) >「俺にはゴミだけどあんたには大切なものなんだろ?」 ファーーーwwww いやもうDVww 下げてから優しくするwwwナンパのテクニックで言うところの「ネグ」を活用しまくり。 久しぶりにこんな王道の少女漫画を読んだので、こういう喋り方をする男子高校生にニヤニヤが止まりませんでした、最高です。 早く全巻読みたい…そしてメッチャ人に勧めたい…!