切札勝舞はマジック:ザ・ギャザリングを使いつづける

デュエマやらんかった世界線の切札勝舞 #1巻応援

切札勝舞はマジック:ザ・ギャザリングを使いつづける 松本しげのぶ コーヘー
放浪者

「マジックは子どもにはムズすぎる!デュエマ作ろ!」という当時のウィザーズの判断はまぁ正しいと思いますが、タイアップマンガのキャラが突然別のゲームを始めるのは相当なパワープレイだったと今でも思います。 とはいえ読んでいた頃は「まぁそんなこともあるかな」と思っていつの間にやら受け入れていました。実際周りみんなデュエマ始めたし。子どもって順応性が高いんだな。 しかし大人になって思い返すとあれって結構寂しいイベントだった気がしてきます。友だちと同じゲームで遊べなくなるのってかなりドラスティックなできごとなので…。本作の中でも各キャラそれぞれ笑いを取りながらもその切迫感を訴えてくるので、色んなカードゲームを渡り歩いてきた身としてはちょっと胸にキました。 そう考えると意外と真面目な作品なのかもしれません。しらんけど。 ともあれカードゲーム好きなら間違いなく楽しめるはず。ノリはフザケてますがデュエルはそこそこ真剣に展開されるのもずるい。大体こんな感じっていう画像も貼っときますのでこれで笑った人には読んでほしいですね。

銀狼ブラッドボーン

老兵は死なず、戦い続ける

銀狼ブラッドボーン 艮田竜和 雪山しめじ
ANAGUMA
ANAGUMA

『バトルシップ』という映画が大好きなのです。 米軍の新鋭艦でも歯が立たない宇宙人の兵器に、大戦時代の骨董戦艦ミズーリと、その乗組員だった退役軍人のジジイたちが立ち向かう。そして勝つ。これです。歴戦の古兵が現役復帰する展開が無性に好きなあなたにぜひ読んでいただきたい。 最強を誇った吸血鬼ハンター、人類の英雄ハンスもいまや齢70を超えたおじいちゃん。余生をまったり過ごしていましたが新たに現れた人類の脅威を前に、再び立ち上がります。 「かつては最強」「だが今は衰えている」この設定があるおかげでどんな敵を相手にしてもカタルシスと緊張感が続くのが見事で、レベルの高いアクション描写と合わせて説得力抜群。今最もアツいジジイバトルマンガのひとつであることは間違いないです。 少年マンガらしい群像劇も魅力です。ハンスを中心とした人間たちの勢力、かつての仇敵ファウストの率いる吸血鬼陣営、新たな怪物グリム一派。それぞれ以前の因縁を抱えたまま戦いに身を投じていくのですが、ここにドラマが生まれないはずがありましょうか…! 大事なことだから最後に付け加えますが、ダンピールのココウィルちゃんが最高のヒロインをしており、つまり最高のじじロリがあるので、そういった観点からもよろしく頼みます。

永世乙女の戦い方

女流棋士として普通なのが、むしろ良い

永世乙女の戦い方 くずしろ 香川愛生女流三段
六文銭
六文銭

同著者の作品「千早さんはそのままでいい」が好きで、将棋マンガも好きだったので、ある種流れで読んでしまったが、いい作品に出会えた。 女流棋士を題材にした作品だが、特に気に入ったのが、主人公がその業界ではいたって「普通」な感じなところ。 もちろん主人公になるくらいなので、ある種センスみたいなものはあるようだが、神童だったとか、業界から一目おかれるズバ抜けた才能があるとかない。 なんなら奨励会に通う年下に、ハンデをもらうくらいだ。 伝聞推定だが、将棋界とは、幼少の頃から化け物みたいな強さでしかプロにはなれないし、ゆくゆく生き残っていくにはそれ以上でないと厳しいと聞いているなかで、主人公の能力はいたって平均値(ちょっと強い?)くらいの印象しかない。 ずっと続けていくのかも不明だ。 ただ、将棋を教えてくれた憧れの女流棋士と指したい、その一心のみで指している。 この普通なのが、なんとも良いんです。 将棋よく知らない一般人と目線が揃うというか、特に女流はぬるま湯とか腰抜けとか、この普通さに女流の現実を切り込んできちゃうのもいい。 そんな主人公の香が、これからどう化けていくのか、そのきっかけは何なのか、将棋界における女流の現実と、どう立ち向かうのか? 色々、今後が楽しみな作品です。