神客万来!

異種属ホテルと「見える」女子 #1巻応援

神客万来! ねむようこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

職を失った海野みちるが妙な縁で出会ったのは、「人ならざる者」が訪れるホテル。異種属が「見える」みちるは客室係となり、抜群の気遣い力でお客の要望に対応していく……優しさに溢れる「異種属ホテル」で、今日は「あの人」が癒される! ◉◉◉◉◉ ホテルに集まるお客は、神話・伝説・民話の登場人物達。普段は「らしさ」を気にして素の自分を隠している彼らは、ホテルとみちるの優しさと機転で自分を解放し、満足して帰っていく。なるほど、確かにそういう事思ってそう!というお話にうなずくし、エピソードの結末は優しい気持ちになる。 ●タピオカ ●ジェンダーフリー ●ビューティケア といった女性漫画的な題材がファンタジーと組み合わされ、ちょっと斬新。白場を活かしたあっさりとした画面と相まって、とてもおしゃれで愛らしい作品だ。カバーも含め、紙の本で持っていたい感じがする。(私は電子書籍ですが楽しめましたよ!) しかしホテルの大女将の「鬼の子」という言葉から、物語は新たな方向へ。何故みちるは人外の存在が見えるのか、という疑問に関わる、ちょっと緊張感のある展開の予感。次巻が待ち遠しい!

ねことちよ

猫みたいな幼児に癒される日々 #1巻応援

ねことちよ せらみっく
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

OLの「ちよ」は幼児の「ねこ」と二人暮らし。髪型や行動がどことなく猫っぽい、人間(?)の幼児のねこに、ちよは毎日癒される。 ねこの「猫っぽい」様子が独特で愛らしい。動作や習性等、本当にねこが「猫」にしか見えない時があり、そんなねこを見ているのが楽しい。 漫画の中の幼児を、例えば『よつばと!』のよつばの様な表情豊かな子供と、例えば『学園ベビーシッターズ』の虎太郎の様な無表情な子とに分けるとしたら、ねこは後者。目の形が変化せず、口角も上がらない。 しかし無表情は、却って細かな感情を雄弁に語る。目の色の変化、顔の紅潮、口の結び方と開き方、そして動作。この子色々考えてるなぁ、と細かな機微を感じ取れることが楽しく、愛らしさを一層増す。 1巻では何故この二人が共に暮らしているのか明記されない(親……ではなさそうな)。それにねこの「猫っぽさ」や、その他にも結構謎の部分がある。しかし、謎に引っかかるものの、ねこの感情の機微と、溺愛しつつもねことちゃんと向き合うちよ、時折ちょっと悪いことをねこに教えるお姉さん・まきとの日々の様子は、ゆっくり見守りたいと思わせるものがある。 子供の日々の歩みに寄り添うような、優しい子育て漫画だ。

魚の見る夢

傷付け束縛する、壊れた姉妹の愛憎

魚の見る夢 小川麻衣子
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

高1の妹が、高3の姉に首輪をつけて束縛する……そんな始まりのこの物語は、常に幾らかの息苦しさを纏っている。 母を失って「壊れた」家庭で、大切だった家族の関係を妹との間だけでも守ろうとする姉。姉に家族以上の感情を抱いてしまった妹は、気持ちをぶつけ、姉を翻弄する。 好きって何? 女の子同士で? 家族だから何? 疑問符だらけの中を、二人は迷走する。 互いが大切なのに、自分の「大切」の形を守ろうとして、却って互いを縛り、傷付けていく姉妹……二人の張り詰めた心に、重い痛みを覚える。 更に両者とも、友人関係にもこの息苦しさは形を変えて現れ、一筋縄ではいかない重い物語のバリエーションが展開される。最後まで息継ぎをする瞬間は、無い。 この息苦しさを救うのは、小川麻衣子先生の流麗ですっきりとした、軽みのある絵。優しさと、どこか重力を感じさせない浮遊感が、タイトルの様に「水中の夢」を見ているのでは?という気にさせる。 この作品が「夢」なのだとしたら、読み終わった時に、私達は夢から醒める。心の痛みと、纏わり付く甘く息苦しい感情を思い出しながらも、少しずつ、忘れていく。 また思い出す為に、手に取るに違いない。