Miyake
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2024/01/27
ネタバレ
日本で取られているアワビの45%は密漁品
日本で取られているアワビの45%は密漁品、安く食べられるアワビは暴力団が密猟したもの…っていう中々衝撃的な事実から物語が始まる。 密漁をする暴力団によって収穫を奪われ、貧困に喘ぐ磯貝家。 母は、家計のために暴力団に体を売っていて、あるとき、熊澤一味に殴られて鼻の骨を折られる。 ここからがもーほんと胸糞。 で、事の顛末を知った海斗はブチギレて、暴力団を潰すために、自分たちも密猟をする決意を固める。 自分たちで密漁したアワビを格安で売り捌き、暴力団のアワビが売れなくなるまで、立ち行かなくなるまでやる、という作戦だ。 だがこの作戦は一緒に密漁をやった鮫島の裏切りにより失敗。逆に暴力団に囚われ、密漁を続けさせられることになる。 ただ、ここで海斗は腹を決め 「密漁しながら、取引先ルート、取引場所、密漁場所の情報を集め、その全ての情報を持って自首をする」 という自爆作戦を決行する。 ーーー テーマがあまり他に見ないもので、密漁やる上での法の抜け道とか海の危険性とか、読んでいて興味がつきなかった。  ストーリー展開も、「法的には悪ではあるけど、状況的にはこれしかない」という海斗の境遇と胆力と行動力に筋が通っていて、引き込まれた。 ただ、なんか常に、あと一歩足りない感じがあった。 変に展開が早過ぎたり、感情移入するにはキャラの性格が見える描写が少な過ぎたり。 他にも、おとん情けなさ過ぎない…?とか、最後の熊澤あまりにも素直すぎないか、とかちょちょこ気になった。 鮫島とか途中から何も喋んなくなるし。 プロットは面白いんだけど、キャラクターの手触り感というか生々しい人間味というか解像度が常に低い感じだったのがちょっとだけ残念。 面白かったけどね! ーーー 暗い夜の海に海に潜るシーンが印象的。 少し幻想的な感じもしつつ、やってることはめちゃくちゃ危険な犯罪、っていうコントラストが良い。 特に密漁団員が街の光を見て、俺たちもあっちに行きたかったな…って呟くところとか。
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2023/10/09
デスメタル聴きながらふわふわシフォンケーキ♡を食べてるみたいな漫画
ハイッ!みんな幸せッ!! ココロのなかのネコチャンを解き放つシーンが好き。 仏のように優しい「鬼」と、全ての行動に根拠と理由をつけたい堅物女子の恋愛物語。 常にナレーションが叫んでいる。そして文字が多い。 情報の瀑布と熱量でぶん殴ってくる感じが心地よい。 そこそこ重めのシーンとかもあって、樺山くんも金剛寺さんも「死にたいといつも考えている」なんて言葉を放ったりする。けど、その重さを軽々ぶっ飛ばすだけのパワーのあるノリがあるから、読んでいてその重さをあまり感じることはない。 ミサイルが発射されたり、地球滅亡レベルの隕石が飛んできたり、天災がおこったり、強盗が店を襲ったり、極楽と地獄の戦争が勃発したり、てんやわんやの事件も盛りだくさんだけど、本編とは大きく関わりのない話である。 ちなみに誰も死なないし不幸にならない。 デカい事件と並行してラブストーリーを中心に据えるこの強引さが良い。 ハートフルなメルヘンカフェでふんふわシフォンケーキを食べながら、店内のBGMはデスメタルが流れてるみたいな。 一見バランス悪そうだけど、暴力的なまでのラブアンドピースハートフルほんわかパワーで強引にまとめ上げている。 面白い!
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2019/12/16
「わたしは死んでも良い人です」
■1巻 天然キャラのコミカルな恋愛模様かと思いきや、ハードなヒューマンドラマだった。 締め付けられる面白さ。 家出してからのストーリーが、一気に引き込まれる。 友達もいるし母親も余裕はないけど優しいし、すぐに家に帰ると思ったらそんなことはなかった。 主人公は人間関係で失敗し続けることで、本気で追い込まれていたのが身に滲みてわかる。 「私の馬鹿は、人に笑顔を強いる凶器」 「怒らせても苦しませても傷つけても、私の周りは優しい人であふれてるから、みんな取り繕ってくれる…」 「じゃあ私から離れるべきだって、決意した」 人を好きだからこそ、その人の自然な笑顔が見たい。 でも、自分にはそれができない。 迷惑ばかりかけてしまう。 言葉にすると陳腐だけど、文字通り「死ぬほど」悩む有紗が、いつか自分を認められるように。 デキる大人になる、以外の道も多分ある。 ■2巻 千晶との生活が描かれる。 有紗は不器用で言葉も拙いけど、行動力と絵の力で、人に何か強くを伝える力があるなぁ。 魅力的だと思う。 有紗が拓の息子にバットでぶん殴られて流血するのが強烈だったな。 どうしても好きな家族を取り返したいのが伝わった。 有紗も自ら殴られに行くのが衝撃だったな…体張りすぎ。 じーさんの息子の顔描いて、笑顔になって、のシーンは好き。 千晶のでかい笑顔の絵描いて、千晶が涙流すシーンもとても良い。