たか
1年以上前
田舎のどん詰まり閉塞感とその窮屈な世界で繰り広げられる地獄の人間関係が大好きなんですけど(『住みにごり』とか)。 自分もかつて暮らしていたクソッタレで不愉快な世界をフィクションとして楽しむのは、安全が保証された状態で恐怖を楽しむジェットコースターに乗るような、スプラッタ映画を鑑賞するようなスリルがあって好きです。 自分の手が届く範囲で、自分の人生と引き換えにしてでも悪をさばいて真子守った愛情深さ・意思の強さが本当に強く美しくて、だんだんと真実が明らかになっていくにつれて愛しさがこみ上げてきました。 “引力”で引かれ合う相手の生首抱きしめるシチュエーション大好きマンになので(ジョジョのせい)、美月が真子の首を切り離して抱きしめるところでエグいくらい興奮してしまいました。 1部のエンディングと同じ宗教画のごとき尊さ 「自殺じゃ悪は裁けない」。 兄の自殺から学んだ美月が、大好きな親友の死体をバラして、自分の人生を犠牲にしてまで成し遂げた報復。 ただの田舎の女子高生にどうしてそんな大それたことが出来たのだろう。 なんでそんな力ががあったんだろうと考えてみたとき、それはやっぱり「愛」なのかなと思います。 性愛だとか友愛だとか分けるのは野暮で愛だよなぁ、愛。 起こらないほうがいい悲劇だし、起きたとして本当は2人を襲った悪がもっと上手く裁かれる世界であるべきなんですが……。 こういう自分の人生を犠牲にしてでも誰かを守りたいという人間の意思は、本当に美しくて尊いとしか言いようがなく、読めてよかったなと余韻を噛み締めています。