amazonに薦められるままに読んだ『花と頬』がとてもよかったという話

amazonに薦められるままに読んだ『花と頬』がとてもよかったという話
花と頬』(イトイ圭 / 白泉社)を読みました。
 
読むキッカケとなったのはamazonからのリコメンド。
何かのメディアで紹介されていたとか、友達が読んでたとか、SNSで誰かが語ってたとか、そういうの一切なくて、ただamazonでリコメンドされて、買って読んだんですよ。恥ずかしながら、イトイ圭さんの過去作も読んだことがなかったんです。
しかし、まんまと面白かった、と。
慌てて過去作も買いましたよ。
それにしてもなんですかね、このちょっとした悔しさみたいなものは。アルゴリズムに俺の趣味趣向を見抜かれちまった感……まあ、好みのマンガを教えてくれてありがたかったんだけど……。
余談ですが。
 
 
花と頬』という奇妙なタイトルは、作中に登場するバンドの名前です。と言っても主人公のバンドの名前というわけでもなく、そのバンドのメンバーの娘の恋物語なんです。そしてその恋の相手は、バンド『花と頬』のファンの転校生。
この設定からして、ずいぶん複雑で繊細なところに分け入っていくなーと、ドキドキしました。
 
 
さてこのマンガ、どこまで紹介していいもんか迷います。できるだけ先入観抜きに読んで欲しいという意味では、ここから先を読まずにマンガの方を読んでほしい。それが最良の楽しみ方ですよ、特にこのマンガは。
 
いきなりですが、あと書きを紹介しましょう。
 
 
この作品はもともと自費出版で出すつもりだった話を運良く『楽園』編集部の方に拾ってもらい、ウェブ錬成そして書籍化したものです。
実は数人の他出版社の編集者の方々にも今作のネーム(一気に第一話から最終話まで描き上げました)を見ていただいたのですが、答えは皆「商品として成り立っていない」というものでした。読者のためには、波のある起承転結、大仰な喜怒哀楽、大きなハプニング、ドラマチックな過去…そういったわかりやすい要素がないと伝わらないと口を揃えて言われました。
この物語にはそういったものは確かにありません。(以下略)
 
そうだったのか。
非常に面白く読んでしまったので、このあと書きには驚きました。
確かに、そうした要素はないマンガです。
だけど後半ぐいぐいとエモーションを静かに慎重に、しかし確かに掻き立てられる構成です。
 
主人公の鳥井頬子(ホホコ)の高校に、九州からガタイの大きな八尋くんが編入してくる。そして二人は図書委員となって、図書室で話をするようになる。頬子という名前から、『花と頬』のメンバー鳥井の娘だと気づいた八尋。
私語が憚られる図書室で、二人は主にルーズリーフで筆談を繰り返す。
 
 
本のこと、音楽のこと。頬子は、八尋の興味が『花と頬』メンバーの娘である自分、と気づきながら…。
 
またまた余談ですが、この筆談にカクバリズム作品がたくさん出てくるので、角張社長に知ってるのかメッセージ送ってみたんですよ。そしたら
「知ってました! 我々も17年やってますから、、、歴史ですね!歴史!」
ですと。さらに
「戦国歴史漫画書いて欲しいですね…」
とのこと。角張さんは、本物の歴史バカなので…。
 
話を戻すと、複雑な気持ちを抱えながら八尋に惹かれていく頬子、それに素直に答えられない八尋の理由、頬子と母親の関係などが、じっくりコトコトと語られていきます。
 
さー、どうだー、読みたくなってきましたかね。
 
まったく知らなかった作者の、複雑で、壊れやすそうで、骨太な作品。amazonめ、なぜこのマンガを俺が好きだとわかったのだ。
 

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