『乙嫁語り』原画展を見に外務省へ行ってきました

『乙嫁語り』原画展を見に外務省へ行ってきました

写真 川瀬一絵(ゆかい)

こんにちは、マンバ通信のドッグナマコです。

もう1ヵ月以上前の話で恐縮なのですが、8月末に『乙嫁語り』の原画展が開催されました。

しかも場所は外務省。えっ……外務省!?

ふだん、原画展が開催されるのってギャラリー、美術館、デパートの催事場あたりが一般的ですよね。外務省で原画展って……全然想像できない。

しかも、場所が場所だけに誰でも自由に出入りOKというわけにはいかず、1日3回の入れ替え制で定員は各回事前予約した50名のみ。しかも平日開催。

「行きたかったけど仕事が…」「予約がとれなかった!」などなど、さまざまな事情で見れなかった乙嫁ファンのみなさまにかわって、ドッグナマコが原画展のようすをお届けします。

まずは『乙嫁語り』という作品と外務省の関係について簡単に説明しておきますね。

(乙嫁語り/KADOKAWA・エンターブレイン)

乙嫁語り』は現在ハルタで連載中の作品で、19世紀後半の中央アジア(ウズベキスタン共和国、カザフスタン共和国、キルギス共和国、タジキスタン共和国、トルクメニスタン)を舞台とする物語。その地域(マンガでは“とある地方都市”とされていてどこかは不明)で暮らす女性・アミルが8歳年下の少年カルルクの元へ嫁ぐところから話はスタートします。タイトルになっている「乙嫁」というのは美しい嫁を意味しているそうで、この作品の中でもさまざまな場所へと嫁いでゆく女性たちの物語が当時の生活や文化とともに細やかに描かれた作品です。

赤枠内が中央アジア。(西アジア・中央アジアの民族服飾/文化出版局より)

外務省では、2004年から中央アジア諸国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)との対話と協力の枠組みとして「中央アジア+日本」対話を設立しました。2014年には設立10周年を記念し、2008年から『乙嫁語り』を連載中だった森薫先生にキャラクターデザインを依頼、ここから外務省と森薫先生のおつきあいはスタートしたそうです。

警備員のほかに警察官も数名いて、顔パス突破とか絶対無理そうな雰囲気でした。

会場である外務省は、東京メトロ・霞ヶ関駅のすぐそば。入口には数名の警備員さんがいて、まず入る前に身分証明書のチェックを行います。やはり、だれでも簡単に入れる感じではないようです。

玄関ロビーで受付を済ませ、ビジター用の入館証をもらうとスタッフの方がエレベーターで7Fへ行くように案内してくれます。

下書きなしでこの画力…!

7Fの会議室の入口には原画展の大きなパネルが飾られており、よく見ると森薫先生の直筆サイン&アミルのイラストが……! 外務省のスタッフさんによると、数時間前に森先生ご本人がお見えになったそう。(会えなかった!)その時間に来ていたファンの方々がうらやましい。

展示会場である国際会議室は、各国の大使や大統領クラスの人々を招いて国際会議を行う場所とのこと。

で、会議室の中に入ってまず思ったのが「原画どこ?」(キョロキョロ)

一般的な原画展というと原画って壁にかけられてるものじゃないですか。だから入った瞬間、会議室の壁を見回してしまったんです。だけど壁にはノー原画の状態。はて???

もう一度全体を見回してみると……

あれっ?もしかして??? あっ!!!!会議席に原画直置き!?

4席分の長い会議席のテーブルの端と端に原画が置かれている原画を発見。

 原画は各2枚ずつテーブルに展示されており、それを来場者が見て回るといった感じになってました。これはちょっと想像してなかった展示方法で、とっても新鮮でした。

各テーブルには、議決をとる際に使用する「賛成」「反対」のボタンや、マイク、スピーカーなどが備えつけられていて会議室ならではの趣も楽しめます。

一番人気の原画。絵柄を部分的に接写したりする人もいた。

今回、展示された原画は24枚、森薫先生の細密な描き込みはほぼ修正箇所がなく、息を呑むほどに美しい原画ばかり。

パティールと呼ばれるパンや柄織物などが細かく描かれている。

たしかコミックのあとがきにも描かれていましたが、森薫先生自身、中央アジアの文化や民族衣装を大変愛されていて、連載中もたびたび民博(大阪にある国立民族学博物館)に足を運んで当時の衣服や暮らしぶりなどを研究されたようです。

そして、中央アジア一帯の文化の特徴として挙げられるのが、それぞれの部族に伝わる美しい刺しゅうや文様の数々。作品の中でも刺しゅうそのものはもちろん、女性たちが刺しゅうをするようすがたびたび描かれています。ヨーロッパなどに昔からあるフランス刺繍やハンガリー刺繍にくらべると、鮮やかで豊富な色糸づかいと気の遠くなるような緻密さが特徴です。

衣服や持ち物に刺しゅうすることは「厄除け」効果があると考えられていたそう。

森薫先生の原稿に登場する刺しゅう原画。よくみると、ほんとにひと針ひと針、思いを込めて刺されたかのようなふっくらとした針目が同じピッチで細々と描きこまれていて、これはマンガファンだけなく手芸好きな人が見てもかなり興奮するレベルの完成度。

こちらは7巻に登場するペルシアの富豪の妻、アニス。7巻は彼女が主人公となってストーリーが進むのですが、ほかのストーリーと少しタッチを変えて描かれているのが特徴です。線がやや細く軽いタッチ。これだけでもアミルたちとは住んでいる地域が異なり、話の内容も別なんだということがひと目でわかります。

森先生の中央アジア愛が原画からビシビシ伝わってくる、いい展示でした。

今回、この原画展は8月28日、29日の2日間に渡って開催されたのですが、私が訪れた29日には森薫先生が各国のキャラを描き下ろしたポストカード1枚とクリアファイルのおみやげがありました。これはファンにとってうれしい!

また、今回の原画展とあわせてコラボ連載『みんなで作ろう!中央アジアクッキング』の連載もスタート。中央アジア各国の料理レシピを森薫先生の描き下ろしマンガで紹介しています。

原画展来場者にはプリントアウトしたものが配布されました。

連載は全7回を予定しており、順次公開予定とのこと。公開のタイミングは外務省のTwitterアカウント「外務省やわらかツイート」または、外務省ホームページの新着情報をチェックしてください。


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