ヤングサンデーの感想・レビュー57件<<123>>一読して、読み返して、何度も楽しめる良い漫画鉄腕バーディー ゆうきまさみ名無しYS(ヤング・サンデー)で連載された本作も、 YS休刊でBS(ビッグコミック・スピリッツ)で 連載された続編「鉄腕バーディーEVOLUTION」も 連載時に、どちらもほぼリアルタイムで読んでいた。 だが、あまりにも話が長く大きく内容も多岐にわたり、 正直、最初の頃がどうだったか途中でどうなったかとか 忘れていたりした。 なので改めて全巻通して読んでみたのだが、 やはり面白いし、 改めて読んだからこそ、ああそういうことで あのときそのあとこうなったんだったな、と ストーリーの機微や面白さや深さの再確認が出来たりした。 私の理解力や記憶力を棚上げにして言いますが(笑) 読んだ瞬間に面白く、読み返してまた面白い漫画です。 宇宙連邦の女性捜査官・バーディは異星人として 地球・日本で潜入捜査をしていたがミスで 地球人高校生男子・千川つとむ、を殺してしまいかける。 緊急措置としてバーディは自身の体に、つとむの意識を 取り込まざるをえず、本来のつとむの体の修復を完了し、 つとむの意識を本来の体に戻すまで、 一つの体に二つの意識を共有(もちろん周囲に秘密で)しつつ 地球人男子として日常生活を過ごすことになった。 しかし怪事件ともかかわらざるを得なくなり、 宇宙人捜査官・バーディとしての任務も 普通の男子高校生・千川つとむとしての生活も、 どんどんシッチャカメッチャカに。 さらに、怪事件は深く広く、宇宙的規模で 未来をも左右する大問題に拡大していって・・ 二心で一体という設定だけでも十分にSF的なのに、 そこからさらに多種多様な宇宙人や人造人間、 異種混血人や獣人からアメーバ的でいて知性がある生物など、 これでもかというほどに多士済々?なキャラが登場する。 そのうえで宇宙規模で連邦とか同盟とかの組織的対立もあり、 さらに宗教的黒幕も登場したり、旧帝国なんてのも出てくる。 よくもまあこれだけ多彩な登場人物と複雑な設定を 良い意味で面白い漫画として見せてくれたものだと思う。 とはいえ、さすがに話が大きすぎて複雑で、 そしてそれはそれで前述のとおり、 毎週にリアルタイムで読んでいた私は 理解や記憶が追い付かなくなってしまったが、 改めて今回に読み直して あ、やっぱ凄いわこの漫画、と思ってしまいました。 そういう意味では、今作品が単行本で全20巻、 続編のEVOLUTIONが全13巻と結構なボリュームなので 可能ならば1週間とか1か月とかの期間をかけて、 けれども間を開けずに続けて全てを読むのがおススメです。 一発でストーリー展開を全体像として 正しく理解したいならば。 そのように適度に集中しながら時間もかけて読まずに、 間を開ける読み方をしたらすぐにストーリーが 判らなくなりそう。(個人差はあるでしょうけれど) とはいえこれまた前述のとおり、 一話ごとの内容も面白いので、私みたいに一話ごとに 楽しみながら、気が付いたら色々と忘れていて あれこれってどういうことでこうなったんだっけ、と 思ったら改めて全巻を読み通すってのも良いかも知れません。 そういう意味で二度三度と読み返しても楽しめる漫画かも。 自分の脳力は棚に上げますが、面白さに太鼓判を押します(笑)。KAT-TUNが主題歌を歌っているドラマを見て知った1ポンドの福音 高橋留美子名無しとにかく意志が弱く、減量も失敗続きの主人公・耕作が、偶然出会ったシスターと恋に落ち、またそれを糧にしてリベンジマッチに燃える所がアツい!閲覧注意かもしれない初期代表作マイナス 完全版 山崎紗也夏名無し※ネタバレを含むクチコミです。音楽漫画好きは読めないと思うブラブラバンバン 柏木ハルコnyaeそうとうやばい漫画ですね。今はバリバリの社会派漫画を連載中の柏木ハルコ先生ですが元々のイメージはこうですよね。エロと変態性が強すぎて、これを音楽漫画と位置付けるのは正直難しい。なので青春部活モノや音楽をテーマとした漫画が好きでもこれはおすすめできない…! でもひとことでエロいといっても、これ以上いったらアウトってところのギリギリ手前でなんとか踏みとどまってる気がしたので最後まで読めました。乳揉み始めたあたりはギブアップしかけた。 みんななんで芹生さんを見限らないんだろうと思って読んでたけど、ブラスバンドの魅力を知ってしまったんでしょう。知ったが最後、なかなか抜け出せなくなるという気持ちは熱く伝わりました。 垣間見た大人の世界部屋においでよ 原秀則名無し※ネタバレを含むクチコミです。兄の存在感が強すぎる実録あだち充物語 あだち勉名無しあだち充先生の初期の絵柄が今と全然違ったのがびっくりです。それは当時の流行とかを取り入れて反映していたからと書いてあり、巨匠作家にもいわゆる下積み(というのか?)時代があったんだな、と。 あだち充物語と謳っていながらお兄さんの存在感の強さ半端じゃないですよ。もはや主役。実際にこの人無しでは今のあだち充は生まれてないんでしょう。きっと。あだち充の兄が書いたあだち充物語実録あだち充物語 あだち勉マンガトリツカレ男昔の古本屋ではよく見かけて機会があれば読もうと思っていたがいつの間にか見かけなくなって気づいたらプレミアがついていた。 実録あだち充物語とあるが本編の主人公はあだち充だけではなく、あだち充とあだち勉を含めて登場している。絵の感じとノリが1980年代後半でなんとなく懐かしい気分で読んだ。 「あだち充」は確固たる信念で漫画家を目指していたのではなく、あだち勉の協力があってこそで漫画家になったと言うのがよくわかった気もするが、全編通してギャグが多くていまいち信用しきっていいのかと思う部分もあった... 競輪漫画初めて読んだOdds―オッズ― 石渡治名無し間違えてodds VSの方から買ってしまったのでこちらを買い直し。 競輪漫画ってあったんですね…そりゃあるか! 正直詳しくないし競輪には賭けたこともないです。 でも面白い、というか主人公通して面白そう!と思えてくる。 主人公が競輪の壁の上部まで駆け上がって「怖えぇ〜〜!」って言ってるのがめちゃくちゃリアルですね。 ベテランの繊細な描写で臨場感伝わってきます。 スポーツ漫画として自転車好きな人は好きそう! 少女から大人への成長NAGISA 村上もとか名無し表紙の雰囲気に惹かれて読んでみたが一度読むと最後まで読む手が止まらないほどに引き込まれた。 主人公の少女・なぎさが湘南を舞台にして様々な出会いと別れを繰り返しながら、大人の女性へと成長していく過程が描かれている。 少女の将来に思いをはせる光を感じる一面と、出会った人との別れから漂う哀愁の雰囲気のバランスが絶妙で、読後感が切なくも心地いい。幕末史の入門としてオススメの漫画お~い!竜馬 小山ゆう 武田鉄矢くまぞう幕末史を題材とした漫画はたくさんあってどれから読もうか迷いますよね。もし自分が子どもや歴史苦手な人にオススメするとしたら「お~い!竜馬」を推したいと思います。 ”武田鉄矢史観”とも言うべき、驚異的に分かりやいストーリーに加え、小山ゆうの描く偉人たちの人間臭いこと! 細かい史実や、内容の正確など二の次で良いと言わんばかりの人物像のオンパレードですが、歴史に興味を持つ取っ掛かりとしては、これくらいで丁度いいのです。 大クセのある武田鉄矢、小山ゆうの思想が強いので、幕末のイメージが固定化されないよう注意が必要です。 「お~い!竜馬」を読み終わった後は、他の幕末作品(壬生義士伝や風雲児たち)を読むとバランスが取れると思います。 耕作はつくづく幸せ者1ポンドの福音 高橋留美子名無し 自分は現在必死にダイエットに取り組んでいるが、近くに好きな人やはっきりした目標が無いとどうしてもダレがちになってしまう。その点常にシスターアンジェラに温かく見守られつつ、彼女への愛(というほど大袈裟ではないか…)を目標に日々減量に取り組める耕作はつくづく幸せ者だと思う。ボクシングシーンやその技術に関する描写が深ければなお良かったが、あくまでこれはラブコメディなので…懐かしいスポ根の雰囲気と少しエッチなレスリングドラマせかいイチ! 国友やすゆき名無し勝ち気な女の子が主人公のレスリング漫画。高校からレスリングを始めた愛野せかい。なんだか野暮ったいがどこか華があって、まずそこが好き。そして、だらしないけど腕の良いコーチ、強力なライバル、おちゃめな同級生と、良いサブキャラも揃っていて読んでいて楽しい。レスリングの基礎から、柔道との受け身の違いといった実践的な知識も交えつつ、合間には絶妙にエッチなサービスカットがあり、ちょっとドキドキさせてくれる。レスリングの世界を知らなくても充分楽しめる漫画だと思う。カッコカワイイ鉄腕バーディー ゆうきまさみ名無しカッコよくてカワイイ。力が強くて時にはちょっとエッチな主人公・バーディーの活躍を描いた漫画。見た目は可愛い女子でも、テロ組織に対抗する捜査官としてピカイチな仕事ぶりを発揮します。アクションシーンにも華があって良いです。SFとスパイ・アクションものが好きな人であれば合うと思います。 大河忍者漫画といえばいいのかムジナ 相原コージstarstarstarstarstarマンガトリツカレ男週刊ヤングサンデーの連載時に読んでいたが、その時も面白かったが最近読み直して本当の面白さを理解できた気がする。白土三平作品を読んでから読むとより面白い。 ストーリー上での伏線はほとんど消化しているし、過去の忍者マンガのパロディや、相原コージのギャグ漫画家としての実験や面白さも発揮されている。 白土三平の「カムイ伝」ばりの忍者内での階級闘争という重い内容でありながらエロやギャグを混在させて感動させるのはすごい 忍者武芸帳や伊賀の影丸とも違う忍者マンガの傑作だと思うダンディズムが溢れ出す野球漫画バッテリー かわぐちかいじ名無しかわぐちかいじ先生と言えば 「沈黙の艦隊」「太陽の黙示録」など、 国家問題・国際紛争レベルのテーマを扱った大作を 幾つも描かれた巨匠だ。 その巨匠が描いた野球漫画「バッテリー」。 最初は「え、かわぐち先生がスポ根物を描くの?」 と戸惑った。 とりあえず読み始めたら、 「沈黙の艦隊」の登場人物の海江田と深町を そのまんま野球選手にしたようなバッテリーが 主人公のようだった。 なのでああ野球が舞台だけれどスポ根ってわけじゃないんだ。 もしかして沈黙の艦隊の海江田や深町のキャラを 先生自身が気に入ったので、そのキャラを使って息抜き的に ゴラク作品を描く気にでもなったのだろうか。 などと思った。 海部は沈黙の艦隊の海江田をそのまま投手にしたような 天才肌で何を考えているかわからない男だったし、 武藤は深町をそのまま捕手にしたような 武骨な男だったし。 あのキャラを使った野球漫画ってのも面白いかもね、 くらいに考えていた。 プロ入りした海部が 「自責点ゼロ、失点したら引退」 を宣言し、 徐々にそれが現実的になっていく展開を読んでも 「風呂敷を広げまくる野球娯楽漫画か」 くらいに感じていた。 天才児・海部と努力家・武藤がそれぞれ成長して、 クライマックスは二人が桧舞台で勝負して、 とかになるんだろうな、と。 良い意味で裏切られ、自分の読みの浅さを思い知らされ そして感動した。 まさか、ラストに向かって、こんなにもダンディズムが 溢れる話になっていくとは思わなかった。 なんせ国際問題をリアルに描き切った大先生なんだから、 それに比べたらたかが球技を舞台にしては、どうやっても スケール的に小さい話で終わらざるを得ないと思っていた。 もちろんプロ野球の世界で「自責点ゼロ」を貫くことが とてつもなく困難な偉業であることはわかるが、 所詮は漫画なんだし、達成しました、大団円です、か 達成は出来ませんでした、これも人生です、か、 どっちかで終わるんだろうな・・くらいに考えていた。 だがそれだけじゃない、かわぐちかいじ先生流の ダンディズムが溢れ出しまくるいい終わり方だった。 面白かった。さすがは、かわぐちかいじ先生。 愛するという一つの例として純(ジューン)ブライド 𠮷田聡ナベテツまだ少年と呼ばれる頃に、何も知らずにこの作品を買って読みました。マセガギと言われても仕方ないし、母親にこっぴどく叱られたこともあります(それでも捨てられたりはしなかったんで良い親だと思います) 恋愛が甘い物である、ということは流石に否定出来ません。ただ、二人が一つ屋根に暮らすということは、終わらない「日常」に暮らすということでもあります。そこは決して天国ではないし、息が詰まるようなこともある。 それが「愛」という感情によって始まることだと、この作品はかつての少年に見せてくれました。恋人は決して美しいだけの存在ではない。自分と同じように肉体を持った存在であり、そのことで苦しめられることもあるんだと、異性のことを何も知らなかった頃に学んだものでした。 バブルの頃、恐らくこの作品のような生き方は現実感を失っていたのではないかと思います。今の時代にはどうでしょう。若者が貧しくなっている現実もありますが、こんな関係からは恐らく逃避するんじゃないかとも思います。ただ、作中に登場する人達は、自分自身を取り巻く日常に対して必死で生きています。誰に笑われても構わない。唯一人のために生きているという現実は、自分のためだけに生きている人間には、まっすぐで美しいものに映ります。 この時期スローニンやDADAを描いていた吉田聡先生にとって、明らかに異なる作品であり、ある年代にとっては忘れられない作品だと思っています。 月明らかに星稀なり月明星稀―さよなら新選組 盛田賢司マウナケア男子は一生に一度は幕末に憧れる、なんてよく聞きます。私もこの時代は大好きで、このコーナーでも坂本竜馬、小栗上野介、桂小五郎を主人公にした漫画を紹介してきました。今回はそんな幕末英雄譚の中でも最も好きな新選組、鬼の副長・土方歳三を取り上げてみようと思います。新選組といっても実はこの作品、多くのページを割いているのはそれ以前の歳三の多摩時代。このパートで描かれるのは彼の武士道を追求するゆるぎない信念がどのように培われたか、近藤勇や竜馬との出会いで何を身に刻んだかということです。そこがタイトルの「月明星稀」―月明らかに星稀なり―にかかってくる。このテーマが見えてくるくだりはこれぞ武士道、という感じでシビれます。そして本来ならこの後が「さよなら新選組」という副題にもかかるはずですが、残念ながら伊東甲子太郎が登場したところで雑誌連載は打ち切り。新見錦や斎藤一の独創的な設定や、芹沢鴨暗殺までのくだりなど目を見張るものがあっただけに箱館まで見たかったというのが正直な本音ですが、男の魅力的な生きざまは存分に堪能できると思います。竜馬の幼少期から始まる、熱き時代お~い!竜馬 小山ゆう 武田鉄矢マウナケア日本人の男子なら死ぬまでに一度は憧れるという”幕末”。かく言う私もつい先日、会津若松にあるという近藤勇の墓を見にいったりと、ちょっとした幕末オタク。そんなことはどうでもいいのですが、その時代の英雄にして日本史上最大のヒーローが坂本竜馬である、ということはほぼ異論がないでしょう。そこで表題作。竜馬について描かれた漫画はいくつかありますが、この作品で特筆したいのは幼少期の描写に枚数を割いていること。”龍の如く”活躍した維新前夜のイメージは沸くものの、なぜそういう行動に出たのかということは、少年時代を掘り下げないと見えてこないこと。土佐での上士・郷士といった身分制度や同世代の仲間など。これらが頭に入っていると、幕末の様々な関係がクリアに見えてくるというものです。さらに言えば、この時期の竜馬の行動なんて文献に残ってないはずなので、それを描ききってしまった、ということがスゴイ。眉唾だったり、かったるかったりする所もありますが、そこを読み終えると、熱い時代の新しい面が見えてくるのではと思います。この世の中で私が美しいと思うもののひとつ、それがハイキック赤×黒 上條淳士マウナケアこの世の中で私が美しいと思うもののひとつ、それがハイキック。滑らかな動きとか、凄まじい破壊力とか、ではなくて、うまく言葉では書けないんですが、積み上げてきたものの浄化、カタルシスあるというか。そんなシーンを見るのがこの上もない幸せ。まあこれは自分でも何百回と練習したあげくに腰をブッ壊し、結局それを実体験として味わえなかった苦い過去があるからかもしれないんですが。それはさておきこの作品、緻密な絵柄に定評のある著者のアクションストーリーで、主人公・シバのライバルがハイキックの使い手という設定。まあすぐわかるのでばらしてしまいますがこの男は能楽師で、なぜかハイキックだけに固執する。その思い入れの強さにのめり込んでしまいました。見開きがうまくつながっていないのはちょっと残念ですが、何度も出てくる至高の蹴りに、ため息状態。どうせなら、主人公との対決に至るまでをもっと長くやってほしかったと思うほどです。お話の方がこれからのシバの歩む道を示唆して終わっているだけにねぇ。ただ私としてはこのハイキックへのこだわりが美しい絵柄で読めただけで満足です。 表紙コメントの通りの漫画RAINBOW 二舎六房の七人 安部譲二 柿崎正澄やむちゃ戦後の貧しく荒れた日本。生きる為やむなく悪事に手を染め、少年院で生活を共にすることになった7人の少年達。彼らに人権はない。自由はない。でも夢がある。待っている家族がいる。彼らはシャバに出ることを目標に助け合い、絆を深めていくが…。 高校生の時初めて読んで、こんな暗い漫画あるんだ…と衝撃を受けました。子供を守るべき大人の、看守や里親からの暴力や性的虐待・売春・私刑等…現代では考えられないことばかりだけど、これで普通だったんだよなぁと思うと産まれた時代に感謝しかなくなりますね。なに気ない地獄愛がいそがしい さそうあきら(とりあえず)名無しさそうあきら、という涼やかな印象を与える名の通り、その作品世界は湿度が低く、登場人物には熱気が希薄だ。 しかしそこで描かれるのは、テーマは多彩であれ、常に、現代社会に宿痾として刻み込まれた「宿命」の地獄の物語である。 無類の才能だと思う。 その端正で淡泊な作風から見逃されがちかもしれないが、本書や『俺たちに明日はないッス』を読むといつも思うのだけれど、この漫画家はとてもストーリーテリングの演出(特に「引き」)が上手い。 抑制が効いているようで、実はかなり派手な(ベタな)展開を恐れない。 メジャーなエンターテイメントの骨法を知り尽くしているように感じられるのだ。山田太一や倉本聰、鎌田敏夫など「優れたドラマ脚本家」の手腕を思わせる。 スタイリッシュな個性に鍛え上げたテクニックを駆使して、漫画界の表舞台でずっと描き続けている、極めて特別な「なに気ない異才」だと、ずっと愛読しているのです。ドンちゃんのようにはなれないが…同じ月を見ている 土田世紀かしこ※ネタバレを含むクチコミです。 鋼鉄の義手を持つ伝説の護り屋「イージスの盾」!!闇のイージス 七月鏡一 藤原芳秀ANAGUMA想像したことはないだろうか。 どこか古びた喫茶店の指定席にいつも座っている謎の少女。 窮地に陥った者のみが彼女を通して秘密の仕事を依頼できる…。 それです。このマンガは。 弾丸すら弾き飛ばす鋼鉄の義手を持つ「イージスの盾」と呼ばれる伝説の「護り屋」が毎話非合法方面の護衛任務に挑む…。 中学生当時このあらすじによだれを垂らしながら食いついたのですが、本作の真のよさは重厚な人間ドラマにあります。 楯の前には毎話さまざまな事情を抱えた依頼人が現れるのですが、プロフェッショナルとしてどんな人間だろうと必ず護り通す。そこの交流が本当にシブいんですよ…。超ハードボイルド。 「護る」というテーマだけでこれほど話のバリエーションが出せるものかと驚きながら読んでました。 基本はオムニバスで短いシリーズがサクサク続いていくのですが、楯の仇敵の存在が明らかになり今までのキャラクターも関わって大きな物語に…という大好きなお約束も付いてきます。 続編の暁のイージスやクロスオーバーしたジーザスも合わせて読むともっと楽しいですよ!シスター懺悔します1ポンドの福音 高橋留美子むカロリーの高いもの食べる時、金が無いのに高級なご飯食べる時「懺悔します…」と1人勝手に呟いて食べます<<123>>
YS(ヤング・サンデー)で連載された本作も、 YS休刊でBS(ビッグコミック・スピリッツ)で 連載された続編「鉄腕バーディーEVOLUTION」も 連載時に、どちらもほぼリアルタイムで読んでいた。 だが、あまりにも話が長く大きく内容も多岐にわたり、 正直、最初の頃がどうだったか途中でどうなったかとか 忘れていたりした。 なので改めて全巻通して読んでみたのだが、 やはり面白いし、 改めて読んだからこそ、ああそういうことで あのときそのあとこうなったんだったな、と ストーリーの機微や面白さや深さの再確認が出来たりした。 私の理解力や記憶力を棚上げにして言いますが(笑) 読んだ瞬間に面白く、読み返してまた面白い漫画です。 宇宙連邦の女性捜査官・バーディは異星人として 地球・日本で潜入捜査をしていたがミスで 地球人高校生男子・千川つとむ、を殺してしまいかける。 緊急措置としてバーディは自身の体に、つとむの意識を 取り込まざるをえず、本来のつとむの体の修復を完了し、 つとむの意識を本来の体に戻すまで、 一つの体に二つの意識を共有(もちろん周囲に秘密で)しつつ 地球人男子として日常生活を過ごすことになった。 しかし怪事件ともかかわらざるを得なくなり、 宇宙人捜査官・バーディとしての任務も 普通の男子高校生・千川つとむとしての生活も、 どんどんシッチャカメッチャカに。 さらに、怪事件は深く広く、宇宙的規模で 未来をも左右する大問題に拡大していって・・ 二心で一体という設定だけでも十分にSF的なのに、 そこからさらに多種多様な宇宙人や人造人間、 異種混血人や獣人からアメーバ的でいて知性がある生物など、 これでもかというほどに多士済々?なキャラが登場する。 そのうえで宇宙規模で連邦とか同盟とかの組織的対立もあり、 さらに宗教的黒幕も登場したり、旧帝国なんてのも出てくる。 よくもまあこれだけ多彩な登場人物と複雑な設定を 良い意味で面白い漫画として見せてくれたものだと思う。 とはいえ、さすがに話が大きすぎて複雑で、 そしてそれはそれで前述のとおり、 毎週にリアルタイムで読んでいた私は 理解や記憶が追い付かなくなってしまったが、 改めて今回に読み直して あ、やっぱ凄いわこの漫画、と思ってしまいました。 そういう意味では、今作品が単行本で全20巻、 続編のEVOLUTIONが全13巻と結構なボリュームなので 可能ならば1週間とか1か月とかの期間をかけて、 けれども間を開けずに続けて全てを読むのがおススメです。 一発でストーリー展開を全体像として 正しく理解したいならば。 そのように適度に集中しながら時間もかけて読まずに、 間を開ける読み方をしたらすぐにストーリーが 判らなくなりそう。(個人差はあるでしょうけれど) とはいえこれまた前述のとおり、 一話ごとの内容も面白いので、私みたいに一話ごとに 楽しみながら、気が付いたら色々と忘れていて あれこれってどういうことでこうなったんだっけ、と 思ったら改めて全巻を読み通すってのも良いかも知れません。 そういう意味で二度三度と読み返しても楽しめる漫画かも。 自分の脳力は棚に上げますが、面白さに太鼓判を押します(笑)。