大砲とスタンプ
“素人は戦術を語り、玄人は戦略を語り、プロは兵站(へいたん)を語る”銃の代わりにペンを持て!我らは「紙の兵隊」!!戦争の裏方、兵站軍所属の熱血官僚主義っ娘マルチナ・M・マヤコフスカヤ少尉。彼女の主な任務は物資の輸送や補給。前線兵士に馬鹿にされようが振り回されようが、私は信念貫きます!「私たちは書類で戦争してるんです!」唯一無二の“ミリタリー法螺”漫画!!
前夜祭
ある中学校伝統の奇祭を巡る謎と少女たちの冒険を描く表題作。突然超能力が覚醒した女芸人二人の試行錯誤が爆笑を誘う『サイキック・イン・サマー』。そして都市伝説を管理する極秘機関の悲哀を綴った『ワタ毛男』など、変幻自在のギャグ作家の盛りだくさんの最新作品集!!
手塚治虫文化賞・マンガ大賞受賞!フィクションと史実を絡ませ、『西遊記』を大胆にアレンジ。おなじみ孫悟空や猪八戒も人間という設定。──唐の孤独な少年・孫悟空は、妖怪「無支奇」に見込まれ、虐げられた民の怒りに触れると、激烈な戦闘力が発動するようになる。血塗られた運命を変えるため、旅の僧・玄奘に従い、悟空ははるか天竺を目指す!第二部、第1巻は「流沙河の章」を完全収録。漫画史に輝く大伝奇冒険活劇!!
三國さんのバラ園
三國玄一郎(みくに げんいちろう)63歳。バラ農家を引き継ぎ45年。丹精込めてバラを栽培する彼を、人は“職人”と呼ぶ。しかしこの男、貫禄あるシブい見た目とは裏腹に、趣味・趣向は誰よりも“乙女”であった。己の虚像によって願望がセーブされてきた三國だが、女子高生がアルバイトの面接にやってきたことから、そのブレーキは変調を来すようになり…!?
「男らしさ」を乗り越えろ!家事も育児もまかせとけ! ジョー・38歳、ジェイク・38歳、ハヴィエル・39歳。高校の同級生で全員シングルファーザー。不慣れな家事育児に困惑しつつも奮闘する中で、少しずつ家族、友人との関係、そして自分自身と人生を見つめ直していく。ホットでキュートなワケありシングルファーザーたちが、「男らしさ」の呪縛を乗り越えて家事に育児に奮闘する、あたらしいダディのススメ!
草木を駆ける素足
【モーニング月例賞2021年1月期佳作受賞作】木漏れ日に彩られながら過ごしたあなたとの日々。鮮烈なる筆致で魅せる56ページ読み切り!!(モーニング・ツー2021年5月号)
婚約を解消したばかりの図書館司書・眞と、庭師を引退したばかりの誠二郎。“終わったばかり”の二人が交流を重ねるうちに、それぞれの日々に新たな光が灯っていく。草花の命、読書の喜び、本当の痛み、自分の中に光る星。数々の光を掴みながら、二人は新しい人生を歩み始める。30歳の図書館司書と70歳の庭師が紡ぐ、新たな日々の物語。
「未来を知る」という謎の老人と出会い、1995年から2020年にタイムスリップしてきてしまった天才ゲームディレクター・宮友雄一。かつての右腕だった岩間は、出世して会社の社長になっていた! 現代で再会を果たした二人だったが、にわかに宮友本人とは信じることができない岩間は、その実力をたしかめるため、頓挫しかけのスマホゲーム開発プロジェクトの立て直しを命じる。宮友のひらめきによって、なんとか最悪の危機は脱したものの、完成までにはまだまだ課題が山積みで…。
親友の死にショックを受け、自分も死のうとトラックの前に飛び出した少女・ミカ。彼女を救ったのは、不死身の男・日々野と、神を自称する青年(?)だった。二人が黄泉の国を目指していることを知ったミカは、その旅への同行を志願する。友人との再会を夢見て……。
傀儡戦記
漫画界の最前線を走る、気鋭の作家陣が集結した、大型アンソロジー企画『傀儡戦記』。九つの異国を舞台に、王の器を巡る、運命の物語が、いま始まる。
時は7世紀、中央アジアの一隅で……。炎の名を持つ山の地下深く、縦横に広がる秘密の水路。さらわれた子供を救出すべく潜入した孫悟空の前に、誘拐犯たちが「あの人」と呼ぶ怪人の巨影が立ちふさがる。その頭部には…角! 果たして悟空の金箍棒(きんこぼう)は勝てるのか!? 天竺(てんじく)は未だはるか、シルクロードの彼方に。しゃく熱の山で待つのは大いなる謎と王宮の闇、そして…最・強・の・敵! 孫悟空を「呪われた宿命を変えようと戦う人間の少年」として描く西遊記漫画の異端にして金字塔、最激章の開幕。 『西遊妖猿伝』の孫悟空や猪八戒は動物の妖怪ではなく、唐の時代を生きた人間です。「西遊記」の物語をモチーフに、史実と空想を精妙に絡めて展開する大冒険旅行記なのです! ※本作は、1~6巻が発売中の『西遊妖猿伝 西域篇』の続きとなる新章です。
「ルームメイトのヘビオは蛇人間である。容姿も行動も蛇そのもの。皆そんな彼を恐ろしいという。でも僕は……」。田舎から上京してきて寮暮らしになった学。ルームメイトは、なんと人外(!?)ヘビオだった。怖がる寮生たちだが、学は共同生活の中で、ヘビオに不思議な気持ちを抱くようになっていく。「僕はヘビオを怖いとは思わない。だけど、毎日ドキドキしてばかりいる」。ヘビオと学の笑撃のノスタルジック寮生活が始まる。
学生の頃、友達の家にものすごいヨレヨレのエロ本の切れ端が置いてありました。あまりにも使用感丸出しで、若干引きながらも聞いてみると、「ひと夏の思い出なんだ」と彼は遠い目をしながら言うのでした。後からわかったのですが、それは山岳部の一月続く縦走の際に持っていたものとのこと。危険な山では、水と食料が最優先。一冊まるごとエロ本を持っていくことができないので、お気に入りのページを切り取って隙間に詰め込んでいたとのことです。なんだか、エロ本の切れ端が崇高なものにみえてくるではないですか!普段の生活で、我々はすぐ物が手に入る状況にいるのだなあと思い知った経験です。 戦争という極限状況で、何よりも大事な物資を手配する兵站を描いたのが『大砲とスタンプ』という作品です。この作品を読むと、補給線の大事さと、正論をタテに物事をうまく進める方法が同時に身につきます。 兵站軍は、輸送や補給を主な任務とし、直接戦闘に参加することはそう多くありません。ひたすらデスクワークの連続で他の部隊からは「紙の兵隊」と揶揄されています。 主人公はマルチナ・M・マヤコフスカヤ。アゲゾコ要塞補給廠管理部第二中隊に配属された女性少尉です。 戦場ではしばしば、現地の状況とかけ離れた命令を、少しの不正で上手く回らせていたりもしますが、彼女はそれを許しません。たとえ食糧が尽きた非常事態だろうが、奇襲をうけた戦闘状態だろうが「責任問題ですよ!」といってかき回していく四角四面の女。実際にいればかなりイヤなタイプです。 彼女のその並外れたクソ真面目さと融通のきかなさが騒動の素となり、時には武器になっていくのです。 あるとき、憲兵隊に睨まれた第二中隊は、ついに彼女に本気をださせることにします。「手を抜かず存分にやれ」といわれた彼女は、書類のつづりの間違い、書式の違い、ハンコの薄さなど、ありとあらゆる普通の人はどうでもいいことを指摘し伝票を突っ返し続けます。マルチナの言うことは言い返すことのできない正論。やがて憲兵隊の仕事はマヒしてしまうのです。ついに憲兵隊から「あの女は悪魔です!」と呼ばれるマルチナには悪意はなにもないのです。ただルールを守ることが彼女にとっての正しさなのです。 伝わっているいるはずの話が伝わってないとか、現場でいつのまにか独自ルールができていたりとか、やたら官僚的な人間によって引っ掻き回されてしまうとか、組織である以上、軍隊も会社となにもかわりません。ガタガタしながらもなんとなく組織が機能してしまうんですね。 戦場という極限状況でも、今の我々と変わらず命令ひとつで右往左往してしまう、そんな滑稽さがこの漫画にはあるのです。