かしこ
かしこ
2021/02/23
毒親に育てられたミステリーコミックの女王による自伝漫画
高階良子先生の作品を読んだことはないのですが、本屋の新刊コーナーで「ミステリー&サスペンスコミックの女王」「高階良子引退作」「真実の実話的物語」という気になるワード満載の帯を見たら買わずにいられませんでした。 実母の葬式で泣くことが出来ず、むしろホッとしていた主人公。どうして自分がこんな気持ちになったのか過去を振り返るところから物語が始まります。主人公が生まれたのは戦後ですが、まだ母のお腹の中にいた頃、疎開する旅の途中で何度も空襲に遭いながら、母は「ああ苦しい…!こんな子いなければよかったのに…」思っていました。そんな出来事があったからなのでしょうか、5人兄弟の3番目に生まれた主人公だけが母から愛されることなく虐待を受けて育ちます。しかも母には虐待をしてる自覚がないというのが恐ろしいです。 主人公がまだ小さかった頃に命の危険があるような病気になってしまうのですが、母がロクに看病をしようとしないのを父が見兼ねて、子供を欲しがっていた自分の姉夫婦の養子に出そうとしますが、母と姉の関係が悪化した為に一年で元の家に戻されてしまう事がありました。これが主人公に「自分は母に捨てられ、叔母にも捨てられた…」という意識を植え付けていて読んでいてとても辛かったです……。 とにかく最近よく問題にされている「毒親」の事例がてんこ盛りです!しかも学校の先生にもいじめられるし、唯一の救いだった父も亡くなるし、ハード過ぎる人生が続きますが、「辛くても自分には漫画があるから大丈夫だった」という言葉と、これから漫画家として活躍されることを知っているので、安心して読むことが出来ます。高階先生にはこれまでのしんどかった出来事をすべて吐き出して頂きたいです。続きを楽しみにしております。 #1巻応援
野愛
野愛
2020/12/06
内臓までエンターテイメントにできる天才
世界一面白い闘病漫画ここにあり。 漫画家を目指すうら若き女の子に突然訪れた悲劇、なんだけど読んだら絶対笑う死ぬほど面白い漫画です。 漫画を描いては入院し手術し、退院して漫画を描いては入院し…という楽しくないはずの日常をひたすら楽しく見せてくれます。 クソな医者にあたったことも、駅のトイレ使っただけで感染症になったことも、成人式行けなかったことも全部全部笑いにするんだから全くん(お姉さんの呼び方で呼びたい)すげえな!かっけえな!ってなります。 全くんがストーマの袋たっぷんたっぷんにしながらプロレス観戦して一緒に写真撮ったスーパーマンタロウの中の人より元気に生きてるもんな。マンタロウの中の人は最近病んでてちょっと心配。嫁かわいいのにな。 いちばん笑ったエピソードは美容師にリーゼントにされて海に行った話なので病気あんまり関係ないですね。 腸があろうとなかろうとこの人は世に出ていただろうという面白さ。自分の内臓までエンターテイメントにできる人間なんてなかなかいないよ、天才としか言いようがない。 ガンマと言えば腸よ鼻よとはずネジが二大巨頭よね。異論は認めません!
六文銭
六文銭
2020/11/21
古き良きの出版業界の熱量を感じる
「今でこそ出版業界は新卒人気も高く、いわゆる育ちの良い高学歴出身が多いが、昔はどこも就職できない与太モンの集まりだった」 と、その昔、出版社に勤務していた時、60近いベテラン編集者に聞いたことがある。 そんな社会のはみ出しものたちで、同じように当時、社会に認められていない漫画市場をこじあけていったのだと思うと、感慨深いものがある。 本作は、特にジャンプ黄金時代の少し前、まさに生き馬の目を抜く激動の漫画時代に活躍した平松伸二の自叙伝的作品。 「ドーベルマン刑事」「ブラック・エンジェルズ」などの名作たちが、どのようにして産まれたのか、これを読むとよくわかります。 こうした平松伸二ファンはもちろんですが(おそらく、この層が多いと思いますが)あの当時の漫画業界の熱狂を知りたいという人にとっても非常に興味深い作品だったりします。 担当編集者との、口汚く罵りあうようなやりとり、時には蹴る殴るの暴行、今だったらありえないような状況を、熱量たっぷりに描いています。 あの時代の、編集者と創作者のいわゆる魂のやりとりともいえる行為は、昭和の良き時代のように感じるんですよね。 だから、必然的に内容も濃くなるのかなぁとか。 そんな濃厚な編集者たちと、今だったらハラスメントの嵐みたいなやりとりも多々ありますが、そうした中で良いものがうまれ、売上も上がりバブルとも言える出版業界の華やかな感じも描かれております。 特に、かの有名な編集者「鳥嶋和彦」(鳥山明などの担当)も出でてきて、その慧眼というか着眼点の鋭さに、後の大物ぶりを見せつけてくれます。 ジャンプ黄金期の手前という全体的に漫画市場が上り調子の時代。 歴史を知るもののとしては、これから起きるカンブリア爆発のような名作たちが産まれてくる胎動を感じずにはいられません。 平松伸二先生を知り尽くしたいだけでなく、漫画の歴史的な観点からも楽しめる1冊になると思います。
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男
2020/08/09
本宮ひろ志の半自伝的マンガ
これ最初の方は読んだことあって確か「少年ジャンプ愛読者賞」に掲載されていたと思う。主人公である本宮ひろ志が編集者に漫画を書くには「インテリジェンスが必要」と言われたあたりで終わってたと思うが続編があったことを知った。 最初のは学生自体の悪さと自衛隊のエピソードがメイン。特にすごいのが本宮ひろ志の父親が某宗教信者であり本宮ひろ志の友達を勧誘しようとする話だがこれを少年誌に載せたのがすごい話だ。 「インテリジェンスが必要」といわれたあとを後半とすると、どうも掲載雑誌が変わったのか青年誌向けのシーンが多くなったりするが、漫画家のアシスタントやヤクザの見習いなどをやりながら生活をしていくが最終的にはヤクザの見習いをやめることになる。中学時代の悪友たち言われてマンガを書きはじめて「男一匹番長列伝」の連載が始まる。どんどん人気が出て行きアニメ化までされているがこの後思いっきり実話っぽいエピソードが入る。 少年ダンプの三周年記念パーティで大先輩の漫画家たちに 「はっきりいって好かんな きみの漫画」 「まったくですなあぼくたちが何十年もかかって少しづつマンガを向上させたのがあのガラの悪い漫画で5・6年は後退してしまったよ」 「なんといってもインテリジェンスこれがまるで感じられんよ」などむちゃくちゃ言われていた。その後のスピーチでやり返すのだがすごい実話っぽさを感じた。 男一匹漫画大将もいいけどこっちもすごいよかった